ホラー

『ししりばの家』あらすじとネタバレ感想!最強霊能者のはじまりを描くシリーズ第四弾

おかしいのはこの家か、わたしか―夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた果歩は、幼馴染の平岩と再会する。家に招かれ、彼の妻や祖母と交流し癒される果歩だが、平岩邸はどこか変だった。さああという謎の音、部屋中に散る砂。しかし平岩は、異常はないと断ずる。一方、平岩邸を監視する1人の男。彼は昔この家に関わったせいで、脳を砂が侵食する感覚に悩まされていた。そんなある日、比嘉琴子という女が彼の元を訪れ…?

「BOOK」データベースより

比嘉姉妹シリーズ第四弾となる本書。

これまで真琴と野崎の活躍が中心でしたが、本書では真琴の姉・琴子のはじまりの物語が描かれています。

時期として『ぼぎわんが、来る』以前の話なので、ちょっと頼りない部分もあり、琴子の人間らしい部分を見られる貴重な内容になっています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

どこかおかしい家

夫の転勤で東京に引っ越してくるも、なかなか馴染めずにいる笹倉果歩。

彼女はある日、偶然幼馴染の平岩と再会し、彼の家に招待されます。

平岩邸は、平岩とその妻・梓、そして平岩の祖母・淑恵の三人暮らしで、一見、平和な家庭に見えます。

しかし、果歩は違和感を覚えていました。

部屋の中には謎の砂が積もっているのです。

果歩は意を決して砂のことを聞きますが、平岩家の誰も砂のことを認識した上で気にしていませんでした。

明らかに何かがおかしい。

果歩は平岩邸に近づかないようにしますが、結婚指輪を落としてしまったかもしれないと再び足を踏み入れ、そこで化け物と出会うのでした。

過去

過去の話。

平岩邸の近くに住む五十嵐哲也は二十年近く前に、平岩邸がある場所にかつてあった幽霊屋敷に入り、それ以来、脳を砂が侵食するような感覚に悩まされていました。

ろくに人とも話せない状態で苦しんでいると、ある日、彼のもとを比嘉琴子が訪れます。

琴子と五十嵐は小学校の時のクラスメイトで、一緒に幽霊屋敷に入ったことがあったのです。

琴子も幽霊屋敷に入って変わり、その頃から今のように霊能力者として活動するようになったのです。

琴子は最近になって幽霊屋敷のことを思い出し、五十嵐を救うために戻ってきました。

五十嵐ははじめ、琴子が悪徳な商売を吹っかけてきているのではと不審に思いますが、やがて琴子が化け物を怖がりながらも退治に乗り出したことを知り、一緒に平岩邸に乗り込むことにします。

そこで二人を待っていたのは、ししりばと呼ばれる守り神でした。

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感想

得体の知れない恐怖

本書はこれまでと違い、恐怖が漠然としている印象を受けました。

声が聞こえたり、謎の砂が散っていたりと、直接的な恐怖ではありません。

しかし、いつまでも正体不明なのでずっと居心地が悪く、不安な気持ちで読み進めることになりました。

この構成はこれまでのシリーズ作ではあまり見られなかったもので、著者である澤村さんが次のフェーズに移行した、もしくは移行しようとしている現れかもしれません。

多少の物足りなさを感じる人がいるかもしれませんが、砂がいつまでも耳元でなり、体中に入りこんでくるような不快感は素晴らしく、シリーズを通して読んできた人であればまず楽しめると思います。

もちろんシリーズといっても本書は独立した物語ですので、はじめて比嘉姉妹シリーズを読むという人でも問題ありません。

琴子の意外な一面が楽しめる

『ぼぎわんが、来る』で登場する琴子のイメージが強い読者も多いと思います。

もちろん本書に登場する琴子もよくいえば冷静、悪くいえば冷徹な印象を受けますが、まだ経験が浅いこともあり、所々で胸の奥に隠している不安や恐怖を吐露します。

そして、自分がこの道に進んだことで犠牲になった両親や弟妹への謝罪の気持ち、会わなくなって久しい真琴への思いなど、読めば琴子のイメージががらりと変わるはずです。

そんな彼女がそれらを抑え込んで化け物と立ち向かう姿は頼もしく、つい応援したくなりました。

おわりに

まだまだ止まることを知らない比嘉姉妹シリーズです。

どこかで琴子と真琴が協力しないといけないような大きな事件があると面白いなと、個人的に思っています。