『残照の頂 続・山女日記』あらすじとネタバレ感想!あの感動の連作小説が帰ってきた
亡き夫への後悔を抱く女性と、人生の選択に迷う会社員。失踪した仲間と、共に登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。……日々の思いを嚙み締めながら、一歩一歩山を登る女たち。山頂から見える景色は、苦くつらかった過去を肯定し、これから行くべき道を教えてくれる。
Amazon商品ページより
様々なものを抱えた人たちが山を登る。
それだけなのに、新たな感動が生まれて仕方がない名作です。
ちなみに続編ではありませんが、前作はこちら。
山を登ったことがある人も、そうでない人も必読です。
以下は、本書に関する湊かなえさんへのインタビューです。
湊かなえさん「残照の頂 続・山女日記」インタビュー 山で見つめ直す人生、それぞれの次の一歩へ
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
後立山連峰
綾子は知り合って間もない、娘ほど年齢が離れた麻実子と一緒に五竜岳という山に登ることを決めます。
目的は登山ガイドの山根の存在で、彼の撮った写真がきっかけで一緒に登りたいと思ったのでした。
一見、ただの良い話に見えますが、麻実子は山根に対して妙に冷たく、初対面ではない様子を見せます。
綾子はそれに気が付いていないようで実はそうではなかった、という短い中で様々な展開があります。
北アルプス表銀座
ユイは声楽科に入り、伴奏者を探すことになります。
そこで出会ったのがピアニストのユウとバイオリニストのサキでした。
女性二人は共に伴奏者を探していて、そこから三人の奇妙な関係が始まります。
音楽を通じて仲を深め、三人で山を登ったりもしますが、その関係は永遠のものではありませんでした。
立山・剱岳
夏樹は二歳の時に父親を亡くし、それから母親と二人で生きてきました。
はじめは新聞記者になりたいと思っていましたが、大学で山岳部に出会い、山岳ガイドがしたいと思うようになりました。
それに対して母親は理由をいわずに反対。
親子の関係はギクシャクしてしまいますが、そこに夏樹がメスを入れます。
山岳ガイドとして、母親をガイドするのだといいます。
こうして母娘の登山が始まり、母親の態度の理由が明かされます。
武奈ヶ岳・安達太良山
向井英子と桜井久美は同じ大学の山岳部に所属し、いくつもの山を一緒に登りました。
月日が流れて久美が結婚・出産すると、自然と疎遠になり、年賀状を送る程度しかしていませんでした。
新型コロナウイルスが流行して世界が激変する中で、英子は久しぶりに登山をします。
そして久美に手紙を書きます。
そこには英子の気持ちが綴られていて、それをきっかけにして久美の心情も語れられることになります。
感想
神聖な話
神聖と書くとホーリーなイメージを持たれるかもしれませんが、言い換えると「尊い」でしょうか。
帯にある再生の場所にふさわしく、山は多くの悩み苦しむ人たちをたやすく包み込み、蘇らせてくれました。
人間どうしても他者と上手くいかないことがあり、仲直りしようと思ってもできないことなんていくらでもあります。
そこに悪意の有無は関係なく、いたって冷徹です。
しかし、山は人が被った建前を取っ払ってくれ、隠された本音を引き出してくれるので、それによって蘇えるものがあり、本書はそれを四つの物語にして届けてくれます。
なんでいつも素直でいられないんだろう。
そう自分を責める人を包み込み、ありたい姿にしてくれる山への感謝が止まらない物語です。
読む立場によって変わる
本書は様々な年齢、立場の人が登場します。
学生同士、二十年来の友人、親子など、とにかく様々です。
一人の人間にフォーカスを当てても、年齢や立場によって気持ちなんていくらでも変わるもので、本書も同様です。
きっと今読んだ感想と、十年後に読んだ感想は大きく異なるのではと感じました。
僕にとってユイたちの物語はどこか過去に置いてきたものに見えて微笑ましかったし、夏樹の物語は親目線としていずれやってくるのだろうか、と期待半分不安半分で読んでいました。
年齢問わず感動が生まれるところも山のすごさであり、湊さんの圧倒的な実力なのかもしれません。
おわりに
前作と比べる人もいますが、僕は気になりませんでした。
いずれも山で全てをさらけ出した人たちの物語であり、そこには純度の高い人の思いがありました。
反響の大きさから、時間がかかってもさらなる続編があるのかもしれません。
その時、自分は誰に感情移入してどんな本音が浮かびあがるのだろうと、ちょっと楽しみです。
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