ライトノベル

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター』あらすじとネタバレ感想!兵器が一人の女性になる物語の完結編

KAエスマ文庫リレー2020 連続刊行第3弾! 世界は回る。いつかは終焉を迎えるとしても。再会以来、新しい関係をゆっくり育んでいたヴァイオレットとギルベルト。しかし、人気自動手記人形と陸軍大佐・・・・・・。多忙な二人は会うことすらままならず、すれ違う日々が続いていた。また、C・H郵便社も変革の時を迎え、彼女を取り囲む世界が大きく変わろうとする中、ヴァイオレットは“夢追い人”の街・アルフィーネを訪れる。──お客様がお望みならどこでも駆けつけます。これは「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の物語である。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ 感動の最終巻!

Amazon商品の説明より

ついにヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語も本書でおわりです。

タイトルにつけられた『エバー・アフター(この後ずっと)』が自動手記人形として、そしてヴァイオレットという一人の女性の物語を締めくくるのにこれ以上ないほどふさわしい言葉で、読み終わった後、何度もその意味を噛み締めました。

アニメや映画とはまた違った内容になっているので、すでにそちらを視聴したという人にもぜひ見届けてほしい物語です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

薔薇と自動手記人形

ヴァイオレットは依頼主のもとに向かうために川を渡る必要があり、そこで船頭のヴァレンタインと出会います。

その頃のヴァイオレットは自動手記人形としてまだまだ駆け出しで、ヴァレンタインの目から見て美しいけれど普通の少女でした。

その後もヴァイオレットが依頼でその川を渡る度にヴァレンタインの船を利用し、二人は少しずつ相手のことを知っていきます。

ヴァレンタインはヴァイオレットの生き方を目の当たりにする中で自分の人生に疑問と迷いを抱き、やがてそれを打ち明けます。

夜と自動手記人形

ライデンシャフトリヒで明日に開店を控えた画廊において、関係者だけを招いたプレパーティーが行われていました。

そこで偶然出くわしたヴァイオレットとディートフリート。

過去のことからディートフリートが一方的にヴァイオレットのことを毛嫌いし、気まずい空気が流れる中、事件が起きました。

何者かによって画廊が襲撃され、ゲストとして招かれた関係者全員が危険にさらされることになってしまいます。

誰一人傷つけられることなく、どうやって襲撃者を撃退するか。

目的を達成するために、ディートフリートは今一度ヴァイオレットの主として作戦を実行に移します。

旅と自動手記人形

とある雨風が激しい日。

郵便社としての仕事はままならず、ホッジンズをはじめ創業時のメンバーやラックスで集まって穏やかな時間を過ごしていました。

その中で語られたのは、C・H郵便社の今後でした。

分社化され、創業時メンバーも新たな立場で活躍することになる。

そこには門出の喜びがある一方で、変化に伴う寂しさも感じられ、時がどうしても少しずつ流れているのが分かるエピソードです。

親愛なる貴方と自動手記人形

ギルベルトやヴァイオレットをはじめ、それぞれの手紙のみで構成された話。

誰もが相手のためを思って丁寧に手紙を綴りますが、そこで思わぬ誤解が生じてしまいます。

夢追い人と自動手記人形

夢の街と呼ばれるアルフィーネ。

ヴァイオレットはそこで歌手になることを夢見ているレティシアと知り合います。

自動手記人形としてアルフィーネでの仕事を終えたヴァイオレットですが、とある事情で帰りの交通費を失ってしまい、困っていました。

レティシアはヴァイオレットに仕事を紹介し、二人の奇妙な生活が始まります。

ギルベルトとの手紙のやりとりの中で、誤解によって傷ついてしまったヴァイオレット。

自分の夢に自信を持てないレティシア。

似たところのある二人は一緒に過ごす中でお互いのことを知っていき、やがて大きな転機が訪れます。

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感想

堂々の完結

本書にて小説でのヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語は完結です。

全四冊とは思えない濃密な読書時間で、ライトノベルと安易に括ることのできない感動に何度涙したか分かりません。

本書を読んでからまた上巻を読み直すと、ヴァイオレットがいかに劇的に変化したのかが分かり、感動はさらに増します。

彼女の兵器から一人の女性に変わる過程は決して平坦ではなく、ギルベルトやホッジンズをはじめ、多くの人が彼女のことを心配し、時には相手を思って叱ったと思います。

それは全ての物語を見届けた読者も同様であり、最後はまるで一人の娘を育て上げ、嫁がせたくらいの達成感があります。

こんな体験が出来る作品というのは、まずありません。

どれだけ著者の暁佳奈さんが心を込めてこの物語を描いたのかが分かります。

これからも続く物語

これでヴァイオレットの物語は終わりますが、暁さんのメッセージはきっとこの物語を読んだ誰かに届いて、これからも誰かの中で生き続ける。

そんな気がしてなりません。

『それでも生きる』という人を応援するための物語。

本書は、暁さんの意思を見事に体現しています。

そして、心の中で念じれば、いつでもヴァイオレットが自分を訪ねてくれるような気もします。

それはどれだけ距離を隔てても揺れることのない絶対的な安心感で、この物語の持つ強さであり優しさだと思います。

心の潤いがなくなったいつの日か、また本書を読んで彼ら彼女らに勇気づけられ、またこの現実で頑張りたいと思います。

おわりに

時に読み進めることが辛いこともあった本シリーズですが、まさに読む苦しみというか、それが全て報われるほどの圧倒的な感動と達成感がありました。

僕は映画から入ったのですが、映像作品とはまた違った物語があり、小説という媒体が本書の中心の一つである手紙とリンクする部分があり、温かさをより感じることが出来ました。

読み応えがあり、ややくどくて読みにくい部分もあります。

しかし、その言葉だからこそ伝わるものがあり、生きた物語を感じることが出来ます。

ぜひ小説、アニメ、映画と全てのヴァイオレット・エヴァーガーデンの楽しんでもらい、また必要になった時にこの物語に戻ってきてもらえればと思います。