ライトノベル

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』あらすじとネタバレ感想!本編に収まらなかった六編を収録した短編集

京都アニメーション大賞初の大賞受賞作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』から、6つの新規エピソードを収録した外伝が登場。 ヴァイオレットと依頼主の心温まる交流や、おなじみのC・H郵便社メンバーが大活躍する話など、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界をより堪能していただける1冊です。

Amazon商品ページより

上下巻で収めることの出来なかった六つの短編が収録された本書。

これまでヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語を読んできた人にとって、これ以上ないほど嬉しい内容になっていて、まさしくご褒美です。

ヴァイオレットの成長はもちろんのこと、彼女の居場所となっているC・H郵便社の面々の内面も丁寧に描かれていて、ますますこの世界観を好きになってしまいました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

王女と自動手記人形

ヴァイオレットの今回の依頼主は、ドロッセル王国。

ドロッセル王国では近隣諸国と婚姻を深めることで政治問題を解決して戦争を回避してきた経緯がありますが、一部国民はこれを良く思っていません。

そこで政略ではなく恋愛の末に嫁ぐのだと見せる必要があり、そこで生み出されたのが公開恋文でした。

今回、第三王女であるシャルロッテは隣国フリューゲルの王子・ダミアンと結婚することになっていて、ダミアンへの恋文を代筆するのがヴァイオレットの役目です。

ヴァイオレットの恋文が素晴らしいことはもちろんのこと、ダミアンから送られてくる恋文も情熱的で、国民はこのやりとりに夢中でした。

しかし、ダミアンの恋文もまた自動手記人形が書いたものであり、そこから彼の本音を見出すことは出来ません。

相手国に嫁ぐことに不安を募らせるシャルロッテですが、そこでヴァイオレットが提案したのはドロッセル王国の常識を覆すものでした。

永遠と自動手記人形

劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-』の元になった作品。

イザベラ・ヨークの身を置く学園はいずれ地位ある身分になるべく教養を磨く場であり、通う生徒にはそれ相応の品格が求められます。

イザベラにその品格はまだなく、そこで派遣されたのがヴァイオレットでした。

入学から一定期間、生徒は侍女を伴うことを許可されていて、その侍女として推薦されたのがヴァイオレットです。

元々推薦してきたのがドロッセル王国ということもあって断るわけにはいかず、ヴァイオレットは侍女としてイザベラに付き従い、彼女にあらゆる教育を教え込みます。

イザベラにとってヴァイオレットは唯一心を開ける相手であり、次第に彼女の事情や本音が明かされます。

ベネディクト・ブルー

C・H郵便社のポストマンであるベネディクトの過去が明かされる話。

彼がどのようにしてホッジンズに拾われたのかはもちろんのこと、妹がいることが判明します。

記憶をなくしていますが、ベネディクトには妹に対する強い思いが残されていて、そんな彼の目の前に妹を名乗る女性が登場します。

その女性は一体何者なのか。

ベネディクト・ブルーという人間が出来上がった理由や、彼が大事にしているものが見えてきます。

カトレア・ボードレール

C・H郵便社創設時のメンバーであり、優秀な自動手記人形であるカトレアですが、その美貌や相手に寄り添う姿勢によって求愛されることが珍しくなく、今回は調香師の男性から結婚を前提に交際を申し込まれていました。

断ったものの相手は引き下がらず、一度食事を一緒にするということで話は決まり、現在に至ります。

しかし、カトレアは相手の気持ちに応えるつもりはなく、彼女の心の中にいたのはなんとベネディクトでした。

いつもケンカばかりの二人ですが、カトレアにとって他の人とは違う特別な存在のベネディクト。

ところが、彼はカトレアに何の言葉も掛けずに休職し、すでに三ヶ月が経過していました。

ベネディクトはどこで何をしているのか。

彼にとって、カトレアはその程度の存在なのか。

様々な苛立ちや不安がカトレアを襲いますが、それを経ることで彼女は本当の自分の気持ちに辿り着きます。

ギルベルト・ブーゲンビリアとクラウディア・ホッジンズ

性格が正反対にも関わらず、お互いを本当の友人だと称するギルベルトとホッジンズ。

この物語では、ホッジンズの目線で二人の出会いが描かれます。

郵便屋と自動手記人形

多忙の中、久しぶりに一緒にいる時間を作れたヴァイオレットとベネディクト、カトレア。

束の間の安らぎを味わう三人ですが、その時、C・H郵便社が何者かによって襲撃され、ホッジンズと秘書のラックスが拉致されてしまいます。

相手はライバル社であるサルヴァトーレで、動機は仕事を邪魔するC・H郵便社への逆恨みでした。

事態を知ったヴァイオレットたちは怒りを露にし、拉致された二人を救い出すために行動を起こします。

スポンサーリンク




感想

ファンには嬉しすぎる一冊

本書ではヴァイオレットの成長ぶりがうかがえるだけでなく、C・H社の面々の明かされることのなかった内側が描かれます。

いつでも強気でヴァイオレットの居場所となってくれた彼、彼女の弱い部分や、どれだけヴァイオレットやC・H郵便社を大事にしているかが分かる内容になっていて、ここまで彼らを応援してきた人にとって最高の一冊に仕上がっています。

特にベネディクトやカトレアのエピソードが印象的で、ヴァイオレットが主体の物語だとどうしても出番の少ない二人なので、かなり貴重です。

とにかく胸がときめく

しかし、なんといってもヴァイオレットの出てくるエピソードは特に好きです。

人間として誰かを導けるほど成長した姿。

一方でギルベルトの前で一人の少女のようになり、ちょっとしたことで戸惑い驚き、隠せないほど喜んでしまう愛おしい姿。

もう最後のエピソードはときめきの連続で、ここまで絵になる恋愛はなかなかないのではないかと思います。

兵器としてではなく、一人の普通の少女として幸せに向かってちゃんと歩いている。

そのことが確認できたことが嬉しく、外伝とはいえ本編に劣らない最高の仕上がりでした。

おわりに

本編が終わっても、彼ら彼女らの物語はまだ続きます。

アニメも合わせてぜひ最後まで見届けてもらえればと思います。

ただ相変わらず入手しづらく、ネットで購入するとかなり割高になってしまうため、迂闊にオススメできないところが心苦しくあります。

KAエスマ文庫がもっと知名度を上げれば、どの本屋でも当たり前のように入手できるようになるかもしれないので、その日を心待ちにしています。

次の話はこちら。