『罪人が祈るとき』あらすじとネタバレ感想!いじめにあった少年の元に現れるピエロの正体とは?
主人公の少年が住む町では、三年連続で同じ日に自殺者が出たため「十一月六日の呪い」と噂されていた。学校でいじめに遭っている少年は、この日に相手を殺して自分も死ぬつもりでいた。そんなときに公園で出会ったピエロが、殺害を手伝ってくれるという。一方、いじめによる自殺で息子を喪った男は、妻にも後追い自殺される。家族を失くした男は、息子を追い詰めた犯人を捜し始めるのだが……。
Amazon内容紹介より
小林由香さんの作品は本書がはじめてです。
あらすじにもありますが、自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親が出会うとき、そこに新たな物語が生まれます。
それぞれの立場の辛さだけでなく、ミステリ要素も絡んできて、後半に入ると一気に駆け抜けるような疾走感もあります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
十一月六日の呪い
本書の冒頭に提示される話。
この呪いは中学生の少年Sが自殺したことから始まります。
Sは自室で首をカッターで切り裂いたところを発見され、間もなく死亡が確認されました。
近くにはSが誰かを呪うと血の文字で書かれたノートが残されていましたが、肝心の名前は飛散した血で読むことができません。
この後、翌年と翌々年の同じ日にSの母親、SのクラスメイトのYが立て続けに自殺し、この呪いが言われるようになりました。
いじめ
高校生の僕はクラスメイトたちにいじめられていました。
死にたいと思いつつも、死ぬのはいじめてきたクラスメイトたちを殺害してから死にたいと復讐心を燃やします。
十一月六日の呪いにちなみ、この日を『復讐の日』と捉え、しかしそう簡単に行動に移せるわけではありません。
僕は反抗的な態度をとりますが、クラスメイトたちのエスカレートしていくいじめに屈しそうになります。
ピエロ
そんな時、僕のもとに一人のピエロが現れます。
ピエロは何も話さず、いじめてくるクラスメイトたちを翻弄します。
決して積極的に攻撃するわけではありませんが、得体の知れなさには一緒に恐怖が伴っていました。
クラスメイトたちがいなくなると、ピエロは僕に話し掛けます。
ピエロはペニーと名乗り、僕に代わり、クラスメイトたちを殺害することを提案してきました。
感想
共感度の高い作品
本書は読者の感情移入を強く誘う構成や内容になっています。
自殺という重たいものが取り扱われ、自殺する側のそこに至るまでの深い絶望、自殺した人の家族目線での深い絶望が繊細に描かれます。
自殺までいかなくとも、人生に失望を覚えて理想とのギャップに苦しんだ経験は多くの人にあるのではないでしょうか。
そういった人にとって本書は共感ポイントが多く、時には心を癒し、時にはそこに至る寸前でストッパーになってくれるのではと思いながら読んでいました。
引っかからない違和感
ただ個人的にはあまりはまりませんでした。
違和感があるというよりも、引っかからないことに違和感がありました。
人の絶望と希望、あるいは再生について丁寧に描かれているし、十一月六日の呪いというホラーあるいはミステリ要素も盛り込まれています。
しかし、どれもありがちなもので、本書ならではの迫ってくるような魅力には至らず、頭にあまり残りませんでした。
特に呪いについてはそこまでミステリとして魅力を発揮したわけではなく、とってつけたような設定感が否めません。
色々なレビューを見ると、本書がかなり好意的に受け止められていたので、僕が少数派なのかもしれません。
感覚的には、おそらく小林さんの作品が合わないのだろうと思っています。
おわりに
否定的な内容が多くなってしまいましたが、人に刺さる作品ではあることは間違いありません。
タイトルやあらすじ、表紙のテイストで惹かれた人であれば、読んでみて大きく外れることはないと思っていますので、ぜひ読んでみてください。
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