『ストロベリーライフ』あらすじとネタバレ感想!これからの農業、家族の姿
農業なんてかっこ悪いと思っていた―父親が倒れ、やむなく家業の農業を手伝う恵介。両親は知らぬ間にイチゴの栽培にも手を出していた。農家を継ぐ気はないが目の前のイチゴをほうっておくことはできない。一方、東京においてきた「農業反対」の妻との間にミゾができ始め…富士山麓のイチゴ農家を舞台に、これからの農業、家族の姿をみずみずしく描き出す感動作。
「BOOK」データベースより
荻原さんの文章はいつも素朴で温かく、心に染みわたってくるのが好きなのですが、本書もまさしくそんな作品でした。
父親が倒れて突然舞い込んだ苺栽培、本当に自分がしたいことと家族との温度差。
悩みが尽きることなく襲い掛かってきますが、一つ乗り越えるごとに新しいものが見えてきて、徐々に自分の本当の気持ちに気が付いていきます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレはしませんが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
父親が倒れた
グラフィックデザイナーとして東京で働く望月恵介ですが、ある日、父親が倒れたのを機に帰省します。
昔から両親は農業をしていましたが、今は投資をして苺栽培を始めていました。
最初は母親だけでは作業が大変なのではと手伝いますが、苺栽培は恵介の想像を何倍も超える難しさでした。
手伝うのはほんの一時だけ。
そう思っていた恵介ですが、ハウスに実った苺のおいしさに魅せられてしまいます。
グラフィックデザイナーとしての仕事がうまくいっていないこともあり、気持ちは徐々に苺栽培に向かっていくのでした。
苺栽培
とはいえ、素人がいきなり苺栽培を始めてうまくいくわけがありません。
恵介は慣れない作業に四苦八苦します。
しかし、周囲の人の助言や援助を受け、やがて自分の追い求める苺栽培、そしてライフスタイルを見出していくのでした。
夫婦の温度差
恵介は苺栽培に本格的に取り組むようになり、不満を抱いたのが妻の美月です。
息子の銀河もいる中で、なぜ夫がそこまで苺栽培に取り組まなければならないのか。
恵介の三人の姉は強烈なキャラで、恵介の実家近くに引っ越すなんて嫌だ。
恵介はこのあたりの説明が下手なため、徐々に美月の気持ちとの間に溝が生まれ、美月はかつて仕事にしていたパーツモデルを再開し、自分らしさを取り戻していきます。
夫婦は別々の道を歩む中で、何に気が付くのか。
本書のメインテーマとなる『家族』がこれでもかと描かれています。
感想
現代日本に通じる問題
よく仕事が嫌になって、田舎で農業をして暮らしたいという話を聞きます。
しかし本書にある通り、農業は下手な仕事よりもずっとハードで、休みなく続けなくてはいけません。
どんなに努力をしても、天候によっては努力も全て水の泡になってしまうかもしれません。
人間関係が特に重要で、自分の力だけで何とかなる問題ではなく、周囲と手を取り合っていかなくてはいけません。
本書はそんな現実を、恵介を通じてがっつりと教えてくれます。
農業をしたいと願う気持ちは大切です。
しかし、何かから逃げるために農業を選んではいけない。
そんな当たり前のことを思い知ると同時に、普段食卓に並ぶ野菜や果物がどれだけの手間暇かけて作られたものなのか再認識しました。
農家の跡継ぎが減っていることも問題になっていて、本書は現代日本で実際に問題になっていることを教えてくれます。
素朴で温かい作風
慣れない農業に家族間の不和など暗いテーマが並びますが、それをそこまで感じないのは荻原さんの素朴で温かい文章のおかげだと思いました。
恵介は小さなことに気が付いては喜び、考えを常にアップデートしていく。
その喜びは瑞々しく、頼りないけれどつい応援したくなりました。
距離の出来てしまった妻・美月の視点からも描かれていますが、これも非常に良かったです。
お互いに不満を持ちながらも、冷静になって家族を続けたいという気持ちを忘れていないところが愛おしく、結末に不安を抱くことはありませんでした。
本当の家族とは何か
僕も家庭を持っているということもあり、恵介と一緒に何度も『自分ならどうするか』と考えました。
仕事を優先すれば住む場所が変わるかもしれないし、それで家族が犠牲になるかもしれません。
家族を優先したいと心に嘘をついて、やりたくもない仕事で心をすり減らさないといけなくなるかもしれません。
考えてみて思ったのは、まず何よりも何が大切なのか。
これを考えることから始めたらいいのだと思います。
そしてそれを失わないために、何を手放すのかを考える。
当然、夫と妻、子どもや親族の考えもありますので、そう簡単には決まりません。
だから話し合いが必要で、そこをこれからもしっかり重視していきたいと思いました。
正解はなく、自分たちの望む形でいいのだと気づかされました。
最後がもう一歩
心に染みわたる作品でしたが、最後がもう一歩だったかなと思っています。
盛り上げるだけ盛り上げて、ちょっと拍子抜けというか。
書き過ぎて蛇足になるのもあれですが、この点だけが気になりました。
おわりに
問題に真摯に向き合う姿と、徐々に浮かび上がってくる本当の家族のあるべき姿。
荻原さんの読みやすい文章も手伝って、読み手を選ばない作品になっています。
強いていうと仕事をしている人、家族を持つ人には特に刺さる内容になっていますので、ぜひ読んでみてください。
あと自然と苺に詳しくなるので、イチゴ狩りの時に知識が役立つかもしれません。
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