『屍者の帝国』あらすじとネタバレ感想!屍者蘇生の技術が普及した世界を舞台に描く
屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔が完成させた奇蹟の超大作。
「BOOK」データベースより
本書は、今は亡き伊藤計劃さんがほんの少しの試し書きと簡単な設定だけを残し、彼と繋がりを持つ円城塔さんが後を継いで完成させた作品です。
内容としては歴史改変もので、死者を労働力、兵器として当たり前のように使うことで本来進むはずだった道とは違った歴史が描かれています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
屍者が動く世界
十九世紀末のロンドン。
フランケンシュタイン博士によって『霊素』という概念が生み出されます。
人間は亡くなると生前と比べて体重が二十一グラム減るため、これが霊素の重さだと考えられています。
フランケンシュタインは疑似霊素を死者にインストールすることで、世界ではじめて死者を蘇らせることに成功します。
以来、屍者復活の技術は普及し、労働力や戦争の駒として利用されています。
本書はこの発見によって歴史が改変された世界を描いています。
屍者の王国
医学生のジョン・H・ワトソンは優秀な頭脳を認められ、大学の教授からMという人物を紹介されます。
Mはウォルシンガム機関という政府の諜報機関に属していて、ワトソンは諜報員としてスカウトされます。
活動の場はアフガニスタンでした。
ワトソンの目的は『屍者の帝国』について調査することです。
屍者の帝国は人間のように滑らかに動くことのできる屍者で構成されていますが、その正体は不明。
ワトソンは旅の記録をつけてくれる青年型の屍者・フライデーや仲間と共に屍者の帝国を目指し、やがてそこに隠された真実を知ることになります。
感想
伊藤さんの作品ではない
あらかじめに申し上げておくと、本書を伊藤さんの作品として読むとおそらくミスマッチが生まれます。
伊藤さんが残したのはプロローグと簡単な設定だけで、残りは全て円城さんが構成を考え、執筆したものだからです。
プロローグとそれ以降を比べて分かる通り、二人の表現方法は明らかに異なります。
伊藤さんのスタイルはカジュアルで、エンタメ性に優れています。
一方で円城さんは細部まできっちり描かれていて、重厚感があるもののくどさがあります。
二人の違いは正反対といって差し支えないほど離れているので、『虐殺器官』や『ハーモニー』のような作品を求めて本書に手を出すと少々痛い目を見るかもしれません。
内容の感想に入る前に、まずはそのことに触れさせてもらいました。
重厚そうに見えるエンタメ
あとがきで円城さんが書いている通り、本書はSFではなくエンタメとして描かれています。
屍者が動くことに理屈はありませんし、そのことはさほど重要ではありません。
屍者が当たり前のように受け入れられた世界では、どんな未来が待っているのか。
屍者が生きているように動くとなった場合、人間を人間たらしめる魂とはどんな存在なのか。
こんな点を軽い気持ちで読むと、本書を手軽に、そして十分に楽しめると思います。
難解な物語である
僕は本書を少なくとも三回は読んだし、アニメ映画も見ました。
それでもこの物語の半分も理解できていないと思うくらい、本書は難解に感じます。
やや冗長な文章に難解な設定が多数出てくるおかげで思考のリソースの多くを占有され、展開が非常にもっさりと感じられました。
リソースを奪われるわりに設定がいつまでもしっくりこず、そのまま物語を追っていくと、今なんでこうなっているの?といつの間にか迷子になっていました。
じゃあ映画であれば理解できるのかというと、そうではないところにこの物語の難しさを感じます。
映像と音声が加わることで本来であれば理解がしやすくなるはずなのですが、映画を見ていてもなぜそう展開したのか分からない部分が多々あり、いつになっても消化不良感が消えませんでした。
原因を考えるに、円城さんにとって物語性のある作品は得意としておらず、かといって伊藤さんのアイディアのため好き勝手するわけにいかないという制約があったためだと思います。
伊藤さんの作品とはもちろん呼べないし、かといって円城さんの作品と呼べるほど彼の強みが活かされていない。
そんな、悲しき宙ぶらりんな作品なんだと思います。
円城さんもそのことを重々承知の上で執筆されたと思うので、伊藤さんの遺作として世に出てきてくれたことだけでも感謝です。
おわりに
まだ理解できていないけれど、いつか理解できれば本書はきっと素晴らしい作品だ。
何度挫折を味わっても、そんな感覚が抜けません。
僕は時間をおいてまた挑戦するつもりなので、皆さんも気楽に前向きに楽しんでもらえればと思います。
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