『山月記』あらすじとネタバレ感想!中島敦の代表作といえる短編小説
昭和初期に活躍したが惜しくも早世した小説家、中島敦の代表作とされる短編小説。1942(昭和17)年の「文學界」に、「文字渦」とともに「古譚」と総題して発表された。中国唐代の伝記「人虎伝」に基づき、詩に執心して、ついに虎に変身してしまった男のすさまじい宿命の姿を描いて、作者の自嘲と覚悟を語る作品。
Amazon商品ページより
昭和初期に活躍した小説家・中島敦の代表作ということですが、僕は『新釈 走れメロス 他四篇』で本書の存在を知り、手を付けました。
清朝の説話集『唐人説薈』中の『人虎伝』が元になっていて、タイトルの『山月記』は虎に変わった李徴の詩の一節「此夕渓山対明月」から取られています。
ここでは本書の身ならず、森見登美彦版の『山月記』との簡単な比較も行っています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
唐の時代の中国。
博学の李徴は若くして科挙に合格しますが、李徴はプライドの高さから周囲に馴染めず、すぐに役人を辞めてしまいます。
彼が次に目指したのは詩人でした。
ところが詩人としてうまくいかず、日々の暮らしは苦しくなるばかり。
数年後、妻子の衣食のために地方の役人になりますが、これまで気にもしていなかった連中に命令されることで自尊心は傷つき、その一年後、李徴は発狂してどこかに消えてしまいます。
さらに一年後、李徴の友人で監察御史となっていた袁傪が山林の中を歩いていると、一匹の虎と遭遇します。
虎は人間の言葉を話し、袁傪にはその声に聞き覚えがありました。
そう、虎は李徴でした。
李徴は山林に入り込んで気が付くと虎になっていましたが、心だけは時折人間に戻ります。
すると虎として自分のしてしまった行いを情けなく、恐ろしく思いますが、だんだん人の心でいられる時間は短くなっていきました。
李徴は完全に虎になる前に自分の詩を後世に残したいと袁傪に伝え、その部下は長短あわせて三十篇の詩を書き取ります。
どれも李徴の非凡な才能を感じさせるものばかりでした。
書き取りが終わると、李徴は自分が虎になった理由について語ります。
彼には臆病な自尊心と尊大な羞恥心があり、人から遠ざかることで自尊心は飼いふとらせました。
また誰もが性情という猛獣を飼っていますが、自分にとっては尊大な羞恥心こそが猛獣であり虎だったのだと語ります。
李徴は最後の願いとして妻子には自分が死んだと伝えて欲しいと伝え、妻子のことより先に自分の詩のことを気にかけるような男だから虎になったのだと自嘲します。
袁傪と別れる際、自分はやがて人の心を失ってしまうからこの道を通らないで欲しいと李徴はいい、出発して振り返る袁傪一向に自分の虎としての姿をはじめて見せるのでした。
感想
他人事ではない李徴の姿
実力があるにもかかわらず、他者とうまく交われない。
そのことに嫌気がさし、ますます自分の殻に閉じこもって、気が付けば取り返しのつかないところまできてしまった。
これは現代でも当てはまる話で、寛容さが年々失われつつある今だからこそより身近な問題として捉えられるのではないでしょうか。
本書を読んで、李徴に自分の姿を重ねる人もいるかもしれません。
感情移入がしやすい一方で、自尊心を傷つけられた男の後悔をひたすら聞く話なので、全体的にかなり暗いです。
李徴の気持ちが分からない人にとっては、自業自得だと簡単に切り捨ててしまえる内容なので、好みかどうかは分かれるところです。
『新釈 走れメロス 他四篇』との違い
簡単に森見登美彦版『山月記』とも比較したいと思います。
基本的には尊大で周囲に馴染めない男が発狂して姿を消し、人間をやめるという点は同じです。
物語の枠が緩いだけに作者次第でどうとでも話を広げることができ、森見さんの場合、李徴と対応するキャラクター・斎藤が李徴以上に救いようのない人物に仕上がっています。
彼が救われる道はいくつも用意されていたにも関わらず、彼はその手を振り張ってしまう。
そして後悔した時にはもう遅いというもので、こちらの方が現代を生きる僕らにとってより感情移入できるかもしれません。
おわりに
僕はこういうただ後ろ向きに終わる作品が得意ではないのですが、特に森見登美彦さんの『山月記』は読んでいてキツいものがありました。
ちょっとでも見に覚えがあるとドキっとした人は、取り返しがつくうちに自分を変えた方が良いかもしれません。
でないと虎や異形のものになり、もう人間には戻れなくなってしまいます。
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