『作者不詳 ミステリ作家の読む本』あらすじとネタバレ感想!一冊の本が現実の侵食する
虚構が現実を侵食しはじめる恐怖――
地方都市の片隅に位置する杏羅町。三津田信三は、そこで好みの古書店〈古本堂〉を見つける。そこで奇怪な同人誌『迷宮草子』を入手する。素人が作ったかのような、下手な革装のその本は、「霧の館」という短編をはじめ、7篇の奇妙な味わいの作品が収録されていた。だが、読み進めるごとに、現実の世界で奇妙なことが起きるようになる。三津田は、親友の飛鳥信一郎とともに短篇に隠された謎に挑むのだが……。
Amazon内容紹介より
革装の本に隠された恐ろしい秘密とは……?
古書店で入手した不思議な同人誌「迷宮草子」。読み進める三津田信三と飛鳥信一郎だが、謎を解いたと思っても、怪異は明らかに現実を侵食している。読み進めるごとに不穏さはまし、さらには本そのものに隠されたメッセージにも二人は震撼する――。「迷宮草紙」に隠された恐ろしい秘密とは。読む者をも巻き込む恐怖の物語。
Amazon内容紹介より
作家三部作の第二弾である本書。
前の話はこちら。

本書もまたミステリ×ホラーが高次元で融合した作品で、迫りくる恐怖から逃れるためには謎を解かないといけません。
本書中に登場する一冊の本の中に謎があるわけですが、それによって現実の創作の境界が曖昧になり、幻想的な雰囲気が流れるのも特徴で面白いです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
杏羅町
僕こと三津田信三は奇妙に心地が良い場所として、杏羅町に出会います。
サラリーマンになって安定した生活を得たものの、自分の意志で人生を歩む友人たちにどこか劣等感を感じる日々。
その中で僕は休みになると散歩して、見慣れた町に新たな発見をすることを習慣にしていました。
杏羅町と出会ったのはそんな時で、散歩は杏羅町を巡ることと同義になります。
少しして古本屋を見つけ、僕は常連になっていました。
同人誌
僕はしばらくして親友の飛鳥信一郎に杏羅町や古本屋を紹介します。
彼もまた気に入り、古本屋で『迷宮草子』という同人誌を見つけ、破格の価格で購入します。
迷宮草子は七人の作家による合作で、本書では一話ずつ描かれ、合間に僕と信一郎のやり取りが描かれます。
現実への影響
僕が仕事を終えて退社すると、霧が出ていました。
信一郎から連絡があり、自宅に寄るよう言われて彼に会いに行きます。
そこで信一郎が言ったのは、この霧が見えているのは彼と僕の二名だけだということです。
信じられない話ですが、僕はここに来るまでに車に轢かれそうになり、まるで霧などないかのようなスピードだったため、可能性として十分考えられます。
原因として考えられるのは迷宮草子で、この本は同時には一冊しか存在せず、古本屋にも売ったものが必ず戻ってきているのだといいます。
調べると迷宮草子を手にした人は二名おり、いずれも失踪している可能性があります。
この霧が迷宮草子の影響であれば、このままでは二人も同じ末路を辿ります。
そこで信一郎が考えたのは、迷宮草子の中にある謎を解くことで、この現象から逃れられるのではないかということでした。
感想
超大作
僕は全面改稿された本書ではじめて読んだのですが、三津田作品の中でも上位にくる面白さでした。
ボリュームからいっても、超大作といっても過言ではありません。
迷宮草子の謎を解く段階はミステリですが、現実に襲い掛かってくる恐怖はまさにホラーです。
しかも謎解きがタイムリミットありなので、恐怖が現実を侵食してくるヒリヒリさは読んでいてたまりませんでした。
ここまでどっしりしたホラーを生み出せる三津田さんは改めてホラー界隈の中でも特別だと、強く思いました。
謎の面白さ
本書の中に登場する迷宮草子には七つの物語が収録されていて、それぞれに謎が内包されています。
現実では謎にちなんだ恐怖が襲い掛かってくるのですが、この謎がまた面白いんです。
信一郎が披露する推理はこじつけがないこともないですが、それを差し引いても大胆で意外性があり、新たな発見があって楽しいです。
おまけに謎解きが進行してくると、今度は迷宮草子というおおもとの謎も出てくるので、頭の回転が止まることはありません。
そんなハードな読書をなんなくできてしまうのは純粋な面白さ、そしてリーダービリティの高さがあるからで、このバランスも本書を超大作と思わせてくれる理由です。
おわりに
作家シリーズではありますが、個人的には前作を読んでいなくても十分楽しめる作品だったので、本書から手にとってもまったく問題はありません。
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