サスペンス
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『坂の途中の家』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子供を殺した母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの光と闇に迫る、感情移入度100パーセントの心理サスペンス。

「BOOK」データベースより

本書は、柴咲コウさん主演でWOWOWにて連続ドラマ化されて話題になりました。

内容について、子育て中の女性がとある刑事裁判の補充裁判員に選ばれ、子どもを殺害した母親についての証言を聞くうちにそこに自分を重ね、今の自分の人生そのものに疑問を抱くというもの。

正直、賛否両論分かれる作品だと思います。

僕は現在、主人公の女性の夫と似たような境遇にあるため、自分のしてきたことが正しかったのか見つめ直す良い機会となり、得るものがたくさんありました。

一方で、あまりに緻密すぎる心理描写に息苦しさを感じたり、どちらかというとネガティブな主人公の気持ちに共感できず、途中で読むのをやめてしまう方もいると思います。

もし購入を迷うようであれば、一度ドラマをご覧いただき、それから原作である本書に戻ってくるのもいいかもしれません。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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タイトルの意味

内容に入る前に、まずはタイトルの意味について説明します。

刑事裁判の被告人である安藤水穂は、夫の寿士、生後八か月だった娘の凜と一緒に坂の途中にある一軒家に暮らしていて、主人公である山咲里沙子はその家にいつか自分たちが買うのだろうと思っていた一軒家を重ね、水穂に自分を重ねていきます。

夢のマイホームを手に入れ、幸せを手に入れたのだろうと誰もが羨むような家庭。

しかし、現実では母親が娘を殺害し、幸せとは程遠い場所にあったのです。

里沙子はこの経験を通じ、似たような一軒家を見るうちに今回のこと、そして自分の境遇について悩むのだろうと、容易に想像がつきます。

裁判が終わっても気持ちはそう簡単に切り替えられない。

平凡なタイトルとは裏腹に、裁判の判決を下すことの重さ、自分の日常にも今回の事件のような危うさが潜んでいることを表す、本書の内容に合ったタイトルとなっています。

あらすじ

序章

山咲里沙子は夫である陽一郎、もうすぐ三歳になる娘・文香と一緒に暮らす、ごくありふれた主婦。

そんな彼女の元に裁判所から手紙が届き、内容は裁判員候補に選ばれたというものでした。

慌てて辞退しようと電話をすると、あくまでまだ候補であり、選考の際に事情を説明してほしいと言われ、里沙子はひとまず安心します。

調べてみると、裁判員に選ばれると毎日十時から夕方五時まで、十日間も拘束されることが分かり、その時は文香を義両親の家に預けないといけません。

まさか自分が選ばれるはずがない。

里沙子はそう思っていました。

公判一日目

選考会場である霞ヶ関の東京地方裁判所には七、八十人の候補者が集まり、担当することになる事件の説明がされます。

それは乳幼児の虐待死事件でした。

都内に住む三十代の女性・安藤水穂が生後八か月の娘・凜を水のたまった浴室に落とし、殺害したという内容です。

事件の説明後、裁判官と面談をしますが、里沙子は緊張からか思っていることを言えませんでした。

その後、法廷に入り、実際の水穂を目の当たりにしながら、検察官と弁護人冒頭陳述を聞きます。

同じ事件を扱っているにも関わらず、両者の言い分は全く異なり、里沙子にはどちらが正しいのか判断がつきません。

また水穂のこれまでの人生の話を聞き、里沙子自身も忘れていた自分のことを思い出し、つい感情移入してしまいます。

結果、水穂は補充裁判員に選ばれました。

裁判員が欠席した場合、代わりに裁判員を務めるというもので、それでも毎日法廷に行き、審理を聞かなければいけません。

陽一郎は社会復帰の一環だと考えればいいと楽観的で、里沙子もそこまで深刻には捉えていませんでした。

公判二日目

文香を義両親の家に預けると、里沙子は東京地裁で説明を受けます。

裁判員の中でも既婚で子どものいない芳賀六実と会話を交わすような仲になります。

義実家に戻ると文香は残りたいといい、嫌な予感がしつつも預けて帰ります。

ところが予想通り、帰っている途中の電車の中で、義母から文香が帰りたいと泣き出したと電話がきます。

疲れをおして迎えに行きますが、その帰り道、ついいつもよりも厳しめに接してしまいます。

今夜文香に何かあったら、自分も疑われるのだろうか、と里沙子は不安になります。

帰ると陽一郎はすでに帰宅していて、自分の分だけ夕飯を買ってきていました。

彼から連絡はあったため、それを無視した自分がいけないと分かりつつも、なぜ自分の分も買ってきてくれないのかと苛立ってしまいます。

その苛立ちが陽一郎に伝わったのか、たった二本ビールを飲んだだけで飲み過ぎだと指摘され、里沙子は誰にも理解されないことに落ち込むのでした。

公判三日目

この日は水穂の夫、寿士の話を聞きます。

どこにでもいる男性、というのが里沙子の第一印象で、水穂に対して強い憎しみを抱いているに違いないと覚悟していました。

ところが、家族を養うために転職、さらに部署移動もしたこと、自分の実家の援助も含めて可能な限り、水穂と子どものために尽くしてきたことが判明。

むしろ水穂が育児疲れから被害妄想的になっているのではと考えていました。

水穂と寿士は目を合わせません。

里沙子は二人の住んでいた坂の途中の一軒家に、目の前の二人を重ね合わせます。

それからその一軒家を、以前陽一郎と一緒に購入しようか検討していた一軒家に重ねていきます。

どんな理由で二人はケンカしたのだろうと思う一方で、昨日の腹立たしさも思い出します。

寿士は水穂のことで、元恋人である穂高真琴とメールで連絡をとり合ったり、時には一緒に食事をしていたことが分かっています。

メールの文面などから異性関係を匂わせるような文面はありませんでしたが、それをどう水穂が捉えるかは別問題です。

里沙子にも一時期、陽一郎の浮気を疑った時期があったため、他人事とは思えません。

帰り、義実家で料理を持たせてもらい、文香を連れて自宅に戻ります。

悪戦苦闘しながら文香を寝かしつけると、陽一郎が帰ってきます。

陽一郎は昨日のことを引きずっていて、二本ビールを飲んだだけの里沙子をキッチンドランカー呼ばわり。

それは怒るというよりも、馬鹿にするといった感情でした。

里沙子はふいに、事件のあったあの家の中で何があったのかは、寿士と水穂しかいないのではと思い至ります。

公判四日目

この日は寿士の母親、邦枝の話を聞きます。

どちらかというと理解のある姑でしたが、それでも寿士との結婚自体手放しで喜んでいなかったこともあり、彼女は明らかに寿士の味方でした。

その証拠に、凜の夜泣きがひどい時に、寿士に外泊を勧めたのが邦枝でした。

里沙子は邦枝の話を聞くうちに、彼女は嘘をついていなくとも、寿士が不利にならないよう言葉を選んで話していることに気が付きます。

里沙子は邦枝が寿士を庇っているのではと口にしますが、他の裁判員はむしろ邦枝は理解のある姑であり、誰も不快に感じていませんでした。

義両親の家に寄った後の帰り道、ぐずった文香がしゃがみこんでしまい、里沙子はすぐについてくるだろうと文香を置いて先に行ってしまいます。

ところが文香はついてこず、慌てて戻りますが、その現場を帰宅途中の陽一郎に見られてしまいます。

里沙子は咄嗟に事情を説明しますが、話せば話すほど嘘のように聞こえ、陽一郎は里沙子の対応を非難。

その夜、陽一郎は里沙子に裁判員は荷が重いから、やめられないのかと言ってきます。

補欠なんだからと。

明らかに陽一郎は、里沙子では力不足だと馬鹿にしていました。

公判五日目

翌日、義両親の家に向かうと、義母は里沙子と文香に泊っていくよう勧めます。

それは、里沙子に内緒で連絡した陽一郎の差し金でした。

どんな風に里沙子のことを説明したのか。

東京地裁に向かう途中の電車で、里沙子はずっと考えていました。

この日は証言台に立つはずだった水穂の友人が急病で来られなくなってしまい、早めに帰れることになります。

里沙子は義両親の家での宿泊を辞退し、誰も帰ってこない家で束の間の自由を味わいます。

また友人の木澤南美にメールで話を聞いてもらい、少しだけ気持ちを休めます。

週末

一人、ゆっくりと目を覚ました里沙子。

残念ながら南美は仕事で会うことはできませんでした。

一夜経っても、里沙子への誤解は解けていませんでした。

陽一郎や義両親への怒りを感じつつも、裁判が終わればこんな日々も終わるのかと里沙子は思うのでした。

公判六日目

この日は水穂の友人、紀谷有美枝の話を聞きます。

彼女は寿士と瑞穂の幸せな姿を目の当たりにした中で、二人がお互いにしか分からない方法で相手を攻撃しているように感じていました。

里沙子は彼女の証言に、自分の現状を重ね、共感します。

ところが、有美枝の話は他の裁判員にうまく届いておらず、むしろ水穂に肩入れするような発言を繰り返す里沙子に対して違和感を感じているようでした。

その後、水穂の母親である安田則子の話を聞きます。

親子仲は悪く、気が付けば水穂はすでに寿士と入籍していました。

不満は多くありましたが、娘を思う気持ちはありました。

しかし、何かをして親子の縁を切られることを恐れ、押しかけてまで援助するようなことはありませんでした。

この話を聞いて、裁判員たちは水穂への印象をより悪くし、里沙子の思っていることと離れていきます。

帰り際、里沙子は六実と言葉を交わし、自分はおかしくないと少しだけ自信を取り戻します。

しかし、陽一郎との関係は相変わらず冷え込み、誤解は解けるどころかひどくなっていました。

公判七日目

朝、陽一郎が文香を義両親の家に連れて行ってくれると打診してきますが、里沙子はつい邪推してしまいます。

自分のいないところで何かを言われるのが嫌で、自分で連れていきます。

この日の水穂はこれまで違い、少し派手な格好をしていて、裁判員たちの印象を悪くします。

さらに水穂は検察官の問いに覚えていないと繰り返し答え、弁護人と打ち合わせしたような答弁でした。

水穂のブログが提示され、里沙子は泣き出しそうになります。

事実とは違うことを書くことで気を休めるその行為に、ますます自分を重ねていきます。

帰り際、六実から裁判員をやった人たちが作った会があることを教えてもらいます。

裁判が終わっても何事もなかったように日常に戻れるとは限らないから、一度出席してみないかと。

里沙子はその存在に希望を見出し、陽一郎にそのことを話します。

ところが、彼は里沙子が精神疾患の治療が必要なのだと勘違いしてしまうのでした。

公判八日目

昨日のことは陽一郎から義両親にも伝えられていて、里沙子はますます居場所を失っていきます。

今の自分と水穂を重ね、陽一郎の一連の発言が、自分のことを人並み以下だと言っていることに気が付きます。

この日は検察官の論告と弁護人の弁論があり、水穂の最終意見陳述がありました。

午後からは評議が始まります。

やはり水穂に非があるという意見が大多数を占め、里沙子の必死な訴えも届きません。

しかし、里沙子は分かっていました。

自分の言っていることは水穂のことではなく、自分のことなんだからと。

次第に自分のことを言わないようにと黙り、最後に水穂の責任能力について話し合って終わります。

明日はいよいよ量刑を決めますが、補充裁判員である里沙子は参加できず、来ても傍聴席に座ることしかできません。

義両親の家に向かう途中、里沙子は考えます。

この裁判を通して、里沙子は陽一郎が自分のことを、ずっとおとしめ、傷つけてきたことに気が付きました。

文香を引き取ると、自宅に戻るために電車に乗ります。

そこで里沙子は乗り過ごしそうになって慌てて外に出ますが、そこで文香を電車に取り残してしまいます。

幸い、次の駅で文香は保護されていて、里沙子は何度も文香に謝ります。

これまでのことを考えると、陽一郎にこのことを知られるわけにはいきません。

しかし、文香が言ったらどうしよう?

里沙子は恐怖に陥り、それ以上におかしくなってしまった自分に恐怖を覚えます。

その夜、陽一郎に否定されることを覚悟で、文香が幼稚園に入ったらまた働こうかなと口にします。

すると、陽一郎はいいんじゃないかと肯定し、肩透かしをくらう里沙子。

自分が被害妄想にとらわれてしまったのかと不安になります。

評議

判決当日。

午前中、昨日に引き続いて責任能力について話し合いがあり、あったと全員一致。

里沙子は午後の評議を抜け、自分の母親について考えます。

閉鎖された地方特有の、里沙子を抑えつけるようなことばかりしてきた母親ですが、ここでそれが母親なりの愛情表現だったのではと思い至る里沙子。

そしてこの先、文香が成長した時、自分もそうなるのだろうかと考え、慌ててその考えを振り払います。

そして、もしかしたら陽一郎の自分に対する言葉や態度も彼なりの愛情であり、それしか知らないのではと気が付きます。

それは、水穂も同じなのでは。

この裁判を通じて、里沙子は水穂ではなく、自分自身を裁こうとしていたことに思い至ります。

里沙子は途中から評議に参加し、言いたいことは全て口にしまし。

結末

傍聴席に座る里沙子。

白いワンピースを着た水穂に言い渡されたのは、懲役九年でした。

責任能力があるとされつつも、酌むべき事情を考慮した結果です。

閉廷すると、里沙子は六実と連絡先を交換し、これから飲みに行こうと外に出ます。

移動の途中、里沙子は呼ばれた気がして振り向きます。

行き来する人の中に見知った顔はないはずなのに、里沙子は確かにそこに白いワンピースを着た水穂がこちらを見ているのを感じました。

里沙子はさようならと呟いて一礼すると、六実とまた歩き出すのでした。

おわりに

まるで自分のことを書いたような本だと感じてしまうほどの、圧倒的な心理描写でした。

結局、里沙子がこの後、どうするのかは分かりません。

離婚するのかもしれませんし、真実に少し気が付き、うまく折り合いをつけて生きていくのかもしれません。

どちらにしろ、水穂と同じ末路だけは辿らないことを願っています。

理由は関係なく、自分の子どもを殺めてしまうことほど悲しいことはありません。

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