ホラー
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『化物園』あらすじとネタバレ感想!化物がひしめく世界を恒川光太郎が描く

harutoautumn
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「私は人ではありません。数百年を旅して回り、メンタマグルメに興じています」

公園の雑木林を狩り場に、人間のメダマを狙う《猫》。
かかわったものに呪いをかけ、どこまでも追いかける《蛇》。
甘言で家を乗っ取り、金だけさらっていく《狐》。

古今東西、人間の陰に生き、喰らい、時に育てる化物たち。
その醜くて愛おしい姿を、とくと、ご覧あれ!

醜悪、異様、狡猾、艶然――。
恒川光太郎が描く、身の毛もよだつ究極のホラー七篇!

Amazon商品ページより

タイトルと表紙の時点でそそられる本書。

七つの短編にはいずれも化物が登場し、人間の理解を超えた本性で恐怖をあおってきます。

ホラーを読むたびに人間が一番怖いと思いつつも、まともにならない化物もまた怖いのです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

猫どろぼう猫

上田羽矢子は気がつくと、雑木林の中に倒れていました。

両手と両足が結束バンドでくくられ、目の前には白い髭の老人がいます。

老人は『ケシヨウ』という化物を追っていて、ケシヨウが女性に化けているではと疑い、羽矢子を殴ってこうして拘束したのでした。

ここから状況説明がされてきますが、ここから人間ドミノのように悪夢が加速していきます。

窮鼠の旅

久間王司の父親は、遺書をのこして自殺します。

王司はプライドが高く、何かしたら理由をつけてあらゆることを避けてきて、四十二歳の現在まで一度も働いたことがありません。

残されたお金だけで今後生き続けられるはずもありませんが、王司は自殺した父を責め、自分はそれまでと同じように暮らします。

お金をけちって父親の遺体を放置しますが、やがて家の中から父親に似た声がするようになります。

十字路の蛇

私は七歳の時、田舎町に引っ越してきます。

住宅地の西側には十字路があり、そこにいつもギターを持った男性が座していました。

ストリートミュージシャンがいるような場所ではなく、歌っているわけでもありません。

様々な噂が飛び交い、誰も近づこうとしませんが、私はとある時に男性と話す機会を得てしまい、そこから男性に人生を侵食されていきます。

風のない夕暮れ、狐たちと

たえはお手伝いさん募集という求人を見て、応募します。

相手は上品な女性で、たえはすぐに気に入られて、採用されます。

これで暴力的な彼氏との生活から抜け出せる。

たえの仕事先は女性の住むお屋敷で、そこには女性の息子も住んでいました。

たえは女性の意図を汲んだ上でうまく立ち振る舞い、お給金以外にもお金をもらうことになりますが、そんな豊かな生活は長くは続きませんでした。

胡乱の山犬

私は幼い頃、小さな生き物をよく殺していました。

理由があるわけではなく、殺したくて殺したのでした。

そのことは村で問題になり、僧による強い叱責によってしばらくは抑えられていました。

しかし、それもずっと続いたわけではなく、私の中にある残虐性が再び外に漏れ出てしまいます。

日陰の鳥

リュクは港町にある、流木やゴミ、漂着物が小山を作っている場所の近くに住んでいました。

両親は物心ついた時からおらず、一緒に住んでいた老人もいつの間にかいなくなり、リュクは一人です。

リュクは町の人々の話す言葉がほとんど分からず、まともなコミュニケーションがとれません。

町にはダウォンと呼ばれる化物の話があり、リュクはそのダウォンと遭遇し、人生が大きく変わっていきます。

音楽の子供たち

私は乳母の銀穂と暮らしていました。

そこは妖精国だと思っていて、風媧という存在がいます。

風媧は宙に浮いていて、描写からも人間とは思えませんが、私は風媧を妖精国の女王様だと思っていました。

風媧は術理なるものの解き方を教えてくれて、私は不思議な力を身に着けていきます。

やがて同じような境遇の子どもが他にもいることが分かり、そこから彼らとの交流が始まります。

感想

化物も様々

化物というと、どうしても危なくて怖い存在と思い込みがちですが、本書では必ずもそうとは限りません。

確かに人智を超えた存在で、場合によっては人間に容赦なく危害を加えてきますが、必ずそうなるというわけではありません。

化物には化物なりの行動原理があり、利害が一致すれば意思の疎通だってできます。

この辺りの考え方は恒川さんの作品に共通しているもので、化物だから危険、と安易に結びつかない物語構成が良かったです。

それによりただ怖いだけでなく、時に哀愁漂う雰囲気もあり、胸が何度も切なくなりました。

このテイストは恒川さんでなければ得られないもので、相変わらずのリーダービリティの高さもあり、一冊をあっという間に読み終えてしまいました。

前半はホラー味が強いですが、後半は切ない系も多く、作品の中でもグラデーションがあるのも特徴です。

個人的なオススメ

どれも甲乙つけがたいですが、僕は『十字路の蛇』が一番好きです。

はじめは何が蛇なんだろうと思っていましたが、ギターの男性と結びついてくるところでまず怖いです。

私はどうなってしまうんだろうと思いながら読んでいると、そこには私の描かれていなかった秘密が隠されていて、これもまた面白かったです。

恒川作品は信頼できない語り手がわりと登場するので、この誤認はさらっと読んでいるとまず引っかかります。

おわりに

タイトル通りなんだけれども、単なるタイトル回収では終わらない。

このバランス感覚が素晴らしく、恒川さんの作品を久しぶりにリアルタイムで楽しめました。

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