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『ぼっけえ、きょうてえ』あらすじとネタバレ感想!閉塞感ある村から生まれた四編の怖い話

harutoautumn
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「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。

Amazon商品ページより

本書は第6回日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した短編集で、表題作の他に三つの短編で構成されています。

どの短編も明治、大正時代を舞台にしていて、差別や迷信が残る時代背景が恐怖をより際立たせています。

恐怖の対象が正体の分からない相手ではなく人間であるところも特徴で、古い時代の日本だからこそ出せる陰湿さが出ています。

まさに和風ホラーで、怪談が聞きたくなるような真夏の夜にぴったりの一冊です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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タイトルの意味

内容に入る前に、本書のタイトルの意味について。

『ぼっけえ、きょうてえ』とは岡山弁で『とても怖い』を意味していて、もうストレートにそのままの意味です。

どう怖いかはぜひその目で確かめてください。

あらすじ

ぼっけえ、きょうてえ

岡山の遊郭で働く女郎が視点となり、客に身の上話をするという形で物語が進行します。

女郎は岡山の貧困の絶えない村で生まれ、母親は間引き専業の産婆をしていました。

四歳の頃から母親の仕事の手伝いをしていて、女郎にとってそれは日常でした。

これだけでも普通ではありませんが、怖ろしい身の上話はこれだけではありません。

女郎には双子の姉がいて、二人とも間引きかされた末、女郎だけが二日に渡って生き残ったことで生かされたこと。

父親から受けた地獄のような仕打ち。

興味津々だった客もだんだんと気味悪がりますが、女郎の本当に怖ろしい話はこれからでした。

密告函

岡山県でコレラが流行していて、村役場は密告函を設置。

自分の近くにコレラに罹った人、もしくはその疑いのある人の名前を書いて投函するよう奨励します。

密告者の名前が知れ渡れば村八分もあり得る状況だったがゆえの手段です。

役場に勤める片山弘三は密告函の責任者を任されていて、『祈祷師の娘・お咲』の名前がいくつも投書されていることから調査に乗り出します。

お金次第で誰にでも体を預けるという評判の女で、弘三は自分の地位や家族のためにと気を引き締めます。

しかし、それは無駄な覚悟でした。

弘三は一目でお咲に惹かれ、全てを投げだしても良いという気持ちになってしまいます。

家族のお金をお咲に貢ぎ、それでも妻・トミの様子が変わらないことからうまくやっているように思えました。

しかし、すぐにそれが大きな勘違いだったことを思い知らされます。

あまぞわい

潮が引いた時にだけ顔を出す浅瀬や岩礁のことを『そわい』といい、長浜村と竹内島の間にあるそわいだけは区別して『あまぞわい』と呼ばれていました。

この島ではいい死に方をしなかった人間がそこに居着くと言われています。

この物語では岡山の中心地で働いていて、一年前にこの村に嫁いできたユミという女性が中心に描かれ、ユミが『あまぞわい』とどう関係してくるのかが語られます。

依って件の如し

シズと一回り上の利吉は両親を亡くし、死してもなお恐ろしい女の子どもというだけで村人から遠ざけられていました。

利吉はシズを養うために働き、ある時、自ら志願して戦争に赴きます。

シズは住み込み先で馬小屋をあてがわれ、ひどい扱いを受けますが、牛と心を通わせる中で言葉を上手に話せるようになります。

利吉の顔を忘れてかけていたある時、家に鎌を持った賊が侵入し、一家を惨殺。

生き残ったシズは竹爺に引き取られ、その一年後、戦争から戻ってきた利吉と再会します。

事件は結局、何の手がかりもなく犯人も分かりませんでしたが、シズはやがて真実に気が付きます。

事件の犯人、そして利吉の正体についてです。

感想

方言がリアリティを押し上げている

四つの短編は全て岡山弁で語られています。

そうすることによって岡山の村を覆っていた排他的な雰囲気がよく伝わり、不安や恐怖といった感情を強く煽ってきます。

標準語からかけ離れた方言だと読むだけでかなり労力が必要ですが、本書は岡山弁を知らない人でも十分読める程度で収まっているので、非常にバランス良く書かれています。

依って件の如しが特にオススメ

表題作ももちろん面白かったですが、個人的には最後の『依って件の如し』が特に面白かったです。

他の物語に比べて余計なエピソードが少なく、オチや面白い・怖いポイントが分かりやすいので、変に頭を使うことなく作品の持つ雰囲気を楽しむことが出来ました。

本書はホラー小説ですが、決して怪異や幽霊など非現実な存在を恐れているわけではありません。

本当に怖いのは人間です。

この点についてもスッキリ表現されていたので、この短編は本書の締めとしてふさわしかったと思います。

読みにくさもあった

十分読める程度の方言だと上述しましたが、それでも読みにくさはあります。

加えて本筋に関係しているのかどうか分からないエピソードが多く挟まれていることもあるので、なかなか集中して読むことが出来ました。

雰囲気を存分に楽しみたいという人は、あまり話の中身ばかりを追いかけず、ある程度の理解でサクサク先に進むくらいがちょうど良いかもしれません。

おわりに

僕は岩井志麻子さんの作品をはじめて読みましたが、これまでは有吉反省会のイメージしかなく、どんな作品なんだろうと不安がありました。

しかし読み始めてみると、方言を駆使した見事な和風ホラーだと分かり、怪談として誰かに話してほしいくらいに気に入りました。

最近、読み漁った多くのホラー作品ともまた違った魅力があり、真夏の夜に特に読んでほしい一冊です。

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