『粘膜人間』あらすじとネタバレ感想!あらゆる常識や倫理観を覆す異色ホラー
「弟を殺そう」――身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐二は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲む“ある男たち”に依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか? そして待ち受ける凄絶な運命とは……。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。
Amazon商品ページより
シリーズ四冊合併本がセールだったので、思わず購入してしまいました。
タイトルや表紙からもその異様さが分かりますが、読むとグロやエロの連発で、弱っている時には読めないほどの異様さがどこまでも広がっていました。
言葉だけは知っていた『ぐっちゃね』もようやく分かり、好きかどうかは別として、この段階で読めて良かったです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
あらすじ
殺意
溝口利一、祐二の兄弟は、末弟の雷太を殺害することを決意します。
雷太は父親の再婚相手の連れ子で、十一歳とは思えない体格で父親ですら手に負えない強さを有していました。
再婚相手は別の男性と結ばれるために失踪し、家は雷太の暴力に支配されていました。
このままでは誰かが雷太に殺害されてしまう。
そんな危機感から、利一と祐二は雷太殺害のために動き出します。
河童
決意したものの、利一と祐二では雷太に適うはずがなく、方法を考えないといけません。
そこで登場するのが、蛇腹沼に住む三匹の河童です。
河童は人間とつるまない生物ですが、唯一、ベカやんと呼ばれる男性だけが河童たちとコミュニケーションをとることができました。
そこで利一と祐二はまずベカやんに接触します。
ここで不快な要求を呑むことで河童との交渉術の学び、二人は蛇腹沼に向かいます。
条件
蛇腹沼にはモモ太、ジッ太、ズッ太という三匹の河童が住んでいます。
利一と祐二はベカやんの教え通り、長男のモモ太に頼み事をし、問題なく引き受けてくれるように見えました。
報酬が必要なことは分かっていましたが、モモ太が要求したのは村の女でした。
これは利一と祐二がモモ太をおだてすぎたことによる失態ですが、もうモモ太の気持ちを変えることはできません。
追い込まれる中で、祐二の脳裏に浮かんだのは同級生の成瀬清美でした。
清美は、兄が兵役を前にした失踪により非国民と認定されており、家から出てこなくなっていました。
清美なら、差し出しても問題ないはず。
祐二は勢いに任せて話を進めますが、ここから話はさらに予想外の展開を見せます。
感想
濃縮された気持ち悪さ
本書を一言で表現するのであれば『気持ち悪い』です。
これはもちろん褒め言葉です。
まずは描写。
シチュエーションの時点でよくこんなことを思いついたなと思うほどの状況で、頭で想像することが途中で苦しくなるほどの嫌悪感がこみ上げます。
さらに描写力もすごくて、シチュエーションを誰でも想像できるようどこまでも緻密に描いています。
電子書籍なのに、このページが汚らしい。
そんな錯覚を覚えるほどで、この気持ち悪さは間違いなく本書の魅力です。
人は間違いなく選ぶ
ここまで読んだ人は分かると思いますが、本書は万人向けではありません。
間違いなく人を選ぶし、ホラーやグロテスクな作品が好きな人でもさらに選別されるのではないでしょうか。
それくらい振り切ったからこそ魅力が生まれた作品なので問題はなく、僕は読めるけれど大好き、という感じではありません。
でも新たな刺激を受けるという意味で面白く、気が向いた時にシリーズ四作品を読み進めたいと思います。
ただ過激な描写が大半なので、電車など第三者の目線がある時はくれぐれもご注意ください。
おわりに
噂にたがわぬ強烈な作品でした。
匂い立つような作品なので、この気持ち悪さを最大限に楽しむであれば夏に読むと良さそうです。
もちろんにそれ以外の季節に読んだところで本書の気持ち悪さは損なわれないので、ご安心ください。
次の話はこちら。
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