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『成瀬は天下を取りにいく』あらすじとネタバレ感想!我が道をいく主人公が爆誕

harutoautumn
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「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」幼馴染の島崎みゆきにそう宣言したのは、中学二年生の成瀬あかり。閉店を間近に控える西武百貨店に毎日通い、ローカル番組の中継に映るといいだした。さらに、お笑いコンビ・ゼゼカラでM-1に挑み、高校の入学式には坊主頭で現れ、目標は二百歳まで生きること。最高の主人公の登場に、目が離せない! 本屋大賞を受賞した圧巻の青春小説!(解説・森見登美彦)

Amazon商品ページより

話題沸騰で普段名前を知らない一般層にまでその名前を知らしめた本書。

主人公の成瀬のぶれない姿勢が主役感満載で、コロナ禍の鬱屈したタイミングで読者の心に刺さったのではと想像しています。

一方で、成瀬の視点で見ると彼女もまた普通の少女であることが分かり、そのギャップも魅力的であり、彼女にちょっとした親近感が増します。

本書に関する宮島未奈さんへのインタビューはこちら。

宮島未奈さんインタビュー「滋賀を自虐の文脈で語るのも、持ち上げるのもやめようと思って書きました」

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

ありがとう西武大津店

十四歳の成瀬あかりは、この夏を西部に捧げることを幼なじみの島崎みゆきに宣言します。

成瀬は幼い頃から何でもできて、それを鼻にかけない姿勢で同級生たちの注目を集めていましたが、現在では他人を寄せ付けないようになっていました。

今回の宣言も、常人には理解できないものでしたが、島崎は慣れっこです。

大津市にある西武大津店は一ヵ月後に閉店予定で、成瀬は夏休みの間、毎日西武に通うのだといいます。

島崎は成瀬あかり史の新たな一ページを目撃するべく、マイペースに付き合うことにしました。

膳所(ぜぜ)から来ました

成瀬がお笑いの頂点を目指そうと言い出します。

具体的にはM-1グランプリに出るのだといいます。

M-1グランプリは漫才大会であり、成瀬一人では出場できません。

当然というか相方に指名されたのは島崎で、一回戦まで三週間しかありません。

ここまでくると島崎に拒否権などなく、お笑いのことを全く知らない成瀬と共に漫才を考えることになります。

階段は走らない

西武が閉店する前年の十月の話。

敬太は幼なじみのマサルと久しぶりに西武で待ち合わせ、偶然他の小学校時代の同級生とも会って簡単な飲み会をします。

そこで同級生の笹塚拓郎が卒業前に転校してから連絡がとれていないこと、同窓会をやろうなどと話が膨らみます。

その後、コロナ禍によって同窓会の話が延期になってしまいますが、そこで時系列は前述の成瀬たちと重なり、物語が交差します。

線がつながる

高校の入学式。

大貫かえでは成瀬の中学時代の同級生で、高校でも彼女と一緒になります。

成瀬は坊主頭で入学式に現れ、はじめて彼女を目にしたクラスメイトを唖然とさせ、高校デビューを飾ろうとしていた大貫に絶望を与えます。

この時点で大貫は成瀬のことを一方的に嫌っていますが、その認識がその後の出来事を経て変化していきます。

レッツゴーミシガン

全国高等学校小倉百人一首かるた大会選手権団体戦。

西浦航一郎は成瀬の競技姿に惹かれ、大会中に声をかけます。

成瀬は怪しむどころか表情を緩め、明後日に大津港に来てほしいと伝えます。

ミシガンに乗って、大津の魅力を伝えるためでした。

思わぬ形で西浦は成瀬とデートすることになりました。

ときめき江州音頭

唯一成瀬目線の話。

成瀬と島崎のM-1をきっかけに「ゼゼカラ」というコンビを組んでいて、地元で行われる夏祭りの総合司会を務めるようになっていました。

二人は高校が別のため頻繁に会うことはなくなり、夏祭りの準備がきっかけになり久しぶりに会います。

そこで島崎は東京に引っ越すことを打ち明けました。

父親が東京に転勤することになり、大学受験のタイミングだから一緒についていくことにしたのだといいます。

なんてことのないように島崎は言いますが、成瀬にとってそれは青天の霹靂であり、心を大きく乱されることになります。

感想

ぶれない芯

本書は一行目からぶっ飛んでいます。

地元唯一の百貨店が閉まるからといってそこに夏を捧げる人間は皆無なわけで、これだけで読者の心が掴まれます。

登場人物たちが読者と同じく唖然としても、成瀬は当たり前のことを言ったとばかりに冷静で、どこまでも自分のしたいことをしたいようにします。

誰が何と言おうと変わらず、成瀬がマイペースでぶれない芯を持つ少女であることが分かります。

最近の小説や漫画では変わったヒロインあるいは主人公というのは見かけなくなったような気がしていたので、なんだか新鮮でした。

実は島崎もすごい

本書では成瀬と対比で描かれるのが島崎です。

彼女は成瀬とたまたま幼なじみになっただけで、常に成瀬と志を共にして行動してきたわけではありません。

あくまで成瀬が紡いでいく偉大な歴史に興味があり、それを見られるだけで満足できる性格です。

いわゆる一般人ポジションですが、よくよく読んでいくと島崎もまたすごいことが分かります。

成瀬がどんなことを言い出しても受け入れ、時には巻き込まれても対応できる柔軟性を持っていて、なかなかできることではありません。

後半では成瀬も島崎のコミュニケーション能力を褒めていて、成瀬と長年一緒にいる中で鍛えられたのかもしれません。

はじめは優劣のようなものがついているように見えて、次第に二人は対等な関係として描かれていることが分かり、特に成瀬視点の話ではなんだか胸が熱くなり、目頭がジンジンしました。

巧みなPR

本書が秀逸だなと思ったのが、PR能力の高さです。

本書は滋賀県大津市にある膳所が物語の舞台で、成瀬たちの口を通して様々な魅力が語られます。

読み終える頃には膳所を「ぜぜ」と当たり前のように読めるようになっていて、なんだか親近感すら沸きます。

なんと巧妙なPRでしょう。

文庫特典である『ぜぜさんぽ』では成瀬が著者の宮島さんを案内するという体で、膳所のあちこちを巡ります。

この著者が作中に出てくる手法は十年以上前の携帯小説などでよく見た光景で、懐かしさと微笑ましさが止まりませんでした。

おわりに

話題だからという理由だけで手に取りたくないと思っていましたが、読んで大正解でした。

最高の主人公に、偽りなし。

青春小説ですが、内容的にはその時代が過ぎた大人にも刺さるものがあり、あらゆる世代に読んでほしい一冊です。

読む前よりも呼吸が楽になり、少しだけ自由に生きられるようになれるかもしれません。

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