『斜め屋敷の犯罪』あらすじとネタバレ感想!大胆不敵なトリックが魅力のシリーズ第二弾
北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館―通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!?日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場!
「BOOK」データベースより
御手洗潔シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
斜め屋敷なる建てた目的不明な奇妙な建物が登場しますが、ミステリではお馴染み、建物を利用した殺人事件が起きます。
トリックには斜め屋敷を建てた目的が関係していて、これがかなり難解です。
トリッキーな推理が楽しめるので、読み応え抜群です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
斜め屋敷
北海道のオホーツク海を見下ろす高台の上に、斜め屋敷と呼ばれる建物があります。
かの有名なピサの斜塔のように傾いています。
この建物を造ったのは、ハマー・ディーゼル株式会社会長・浜本幸三郎で、彼はこのおかしな屋敷に人を招いては、彼らが困惑する様を楽しんでいました。
一九八三年のクリスマスの夜、斜め屋敷にて殺人事件が起きます。
パーティー
幸三郎は仕事関係の人間を斜め屋敷に招待して、パーティーを開きます。
親族や屋敷の関係者もそこに加わり、それぞれの思惑が交錯しつつも、表面上は和やかに進みます。
そんな中、おかしなことが起きます。
宿泊客の一人は夜、窓の外から自分を覗く気味の悪い男性を見たのだといいます。
結局、その時は誰か分かりませんでしたが、問題は他にも起こります。
出席者の一人、上田一哉が死体となって見つかります。
解けない謎
通報を受けた警察がやってきて調査を始めますが、すぐに難航します。
いくら調べても犯人に繋がる有力な情報はなく、むしろ謎は深まるばかり。
その後も事件は起こり、お手上げになった警察は東京に応援を求めます。
すると、東京の刑事・中村は心当たりがあるといって、とある人物を呼びます。
シリーズを読んできた人であれば、中村刑事が登場した時点でピンときたと思いますが、それは御手洗と石岡でした。
感想
とんでもトリック
本書を読んで一番思ったことは、こてこてのミステリということです。
そのトリック、本当に出来るの?
リアリティを疑うようなトンデモトリックが用いられていて、これは絶対に解けないと思わず笑ってしまいました。
それでいて、斜め屋敷である必要性はちゃんと説明できているし、このトリックが決まったらさぞ気持ち良いだろうなと思ってしまいました。
ここまでやられれば、これはもう島田さんの勝ちです。
賛否両論は避けられませんが、それだけ尖らせたからこそ一部の人に強烈に刺さる素晴らしいミステリになったと思います。
御手洗の魅力
御手洗が登場するのは中盤以降で、それまでは彼に全く関係のない人物だけで物語が進行します。
大成功を収めた人間と、その後をついて回る金の亡者たち。
美しい娘と、それを取り合う男たち。
いかにもミステリにありそうな展開で、これはこれで面白かったです。
そして、いよいよ御手洗が登場すると、物語の風向きが変わります。
物語の中心は一気に御手洗に移り、彼の行動によって大きく左右されるという形にシフトします。
僕は色々な作品を読んできましたが、ここまで作品の印象をがらりと変えられるキャラクターはそうはいません。
改めて御手洗潔という人物の魅力を知る良い機会となりました。
同じように物語を変えてしまうほど強烈なキャラクターとして思い浮かぶのは、西尾維新さんの描く哀川潤くらいでしょうか。
特にどこがどう似ているというわけではありませんが、そんな気がしました。
おわりに
建物を最大限に利用した素晴らしいミステリでした。
細かいことにこだわらず、その壮大なロマンに酔いしれる。
これもまたミステリの魅力の一つだと思います。
次の話はこちら。
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