『冷たい密室と博士たち』あらすじとネタバレ感想!S&Mシリーズ第二弾は密室殺人
同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。
「BOOK」データベースより
S&Mシリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
前作『すべてがFになる』では状況、犯人ともにかなり特殊でしたが、本書は大学で起きた密室殺人ということで正統派ミステリになっています。
しかし、そこは森作品ということで、出てくる人の多くは研究に携わる理系で癖強め。
さらに犀川の数少ない友人である喜多も登場し、萌絵含めた三人の掛け合いを楽しむことができます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
密室殺人
前作『すべてがFになる』から一年後の話。
冒頭、犀川と萌絵はすでに事件に巻き込まれていて、それを振り返るという形で事件の概要が語られます。
犀川には高校時代からの親友がいて、名前を喜多といいます。
同じN大で助教授として働いていて、犀川は建築学科、喜多は土木工学科です。
喜多の在籍する施設は『極地環境研究センタ』略して『極地研』といい、キャンパスから十キロほど離れた場所にありました。
犀川と萌絵は極地研の実験施設を見せてもらうために訪れますが、ここで事件が起きます。
実験後が終わって飲み会をしていると、研究室の学生が二名いなくなっていることに気が付き、一同は探します。
その結果は、二人は見つかりますが、何者かによって殺害されていました。
現場はセキュリティに加えて電動シャッタが故障して動かないこともあり、密室状態でした。
誰が何のために殺害したのか。
一同の間に緊張が走ります。
自殺?
警察が捜査を進める中、三年以上も誰も入っていなかった屋上を調べ、そこで白骨化した遺体が見つかります。
遺体の状態や現場が密室だったことから、警察は自殺だと考えます。
遺体は二年前に姿を消した当時の研究室の学生・増田だと判明します。
彼はなぜここで自殺をしたのか。
最初の密室事件との関連は見られませんでしたが、やがて繋がりが見えてきます。
謎のユーザー
犀川に萌絵、喜多はお互いに推理をしながら事件の全容を掴もうとして、萌絵は真実に辿り着きます。
しかし、それを誰かに打ち明ける前に襲われ、危うく死ぬところでした。
なぜ犯人は萌絵を襲ったのか。
そこで『shika』という名前が登場します。
極地研のコンピュータには、指導官や学生のユーザー名が動物の名前でつけられることが明らかになりますが、『shika』というユーザー名だけが誰のものか分かりませんでした。
『shika』はシステム権利者の権限が与えられ、あらゆるネットワークに侵入していたことから、犀川たちのメールのやりとりを見ていたことになります。
極地研の崩壊
これで終わりかと思いきや、今度は極地研のトップである木熊も亡くなった状態で発見されます。
現場の状況や目撃証言から自殺と見られますが、犀川は違和感を覚えます。
違和感はやがて事件の全貌を捉える鍵となり、事件の犯人に辿り着くのでした。
感想
ストレートなミステリ
本書は冒頭で書いた通り、いたって正当なミステリです。
日常生活の中で殺人事件が発生し、状況や証言から犯人を導き出す。
殺人方法も動機も理解の及ぶ範囲のもので、前作の真賀田四季がいかに常軌を逸していたのかがよく分かると思います。
しかし、だからといって本書が面白くないというわけではありません。
森さんの描く登場人物は相変わらずユーモアに溢れていて、事件を追う過程の楽しさは他のミステリ小説では味わえない唯一無二のものがありました。
三人の掛け合い
本書ではS&M(犀川と萌絵)に加えて、喜多が日常パートに登場します。
犀川とは正反対の社交的なタイプですが、二人の間に入っても違和感がなく、二人とは違った知性を持って推理を披露してくれます。
現在の犀川がどのようにして作られたのか。
今後の犀川と萌絵の関係において、どんな役割を担うのか。
絶妙な距離感で二人を見守ってくれるので、本シリーズにおける重要人物であることは間違いありません。
犀川にとっての萌絵
犀川にとって萌絵は他の学生とは違います。特別です。
しかし、それは萌絵の父親が犀川の恩師であるなどに起因していて、彼女自身が特別かといと何ともいえませんでした。
ところが本書では、犀川は萌絵のことを特別な存在だということを認めます。
そのことが嬉しいと思えた僕は、このS&Mシリーズを心底愛しているのだと感じることができました。
あと犀川が女性に全く興味がないわけではないことが分かり、彼の人間的な部分が見られたことも嬉しかったです。
おわりに
前作ほどのインパクトはありませんが、一方で理系の人たちの日常が本当に頷けるものばかりで、森ミステリの真髄が光る作品でした。
加えて犀川と萌絵のユーモアのセンスは相変わらずなので、それだけでも安心して読むことが出来ました。
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