『厭魅の如き憑くもの』あらすじとネタバレ感想!二つの旧家がもたらす怪死事件とは
戦慄の本格ホラー推理!山深い村に蔓延る恐怖の連続! 神々櫛(かがぐし)村。谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家、2つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶(とうじょうげんや)」シリーズ第1長編。
Amazon商品ページより
刀城言耶シリーズ第一弾となる本書。
昭和という時代、二つの旧家に横たわる独特な風習や因縁が物語の根底にあり、怪奇的な事件が起きるには十分すぎるほどの条件が揃っています。
本書には『さぎり』という名前の女性が六人も登場し、その他にも名前が似た登場人物が数多く登場するため、慣れるまで頭が混乱するかもしれません。
視点も入れ替わるため複雑なものになっていますが、中盤あたりで慣れてくると面白さがグッと出てくるため、それを踏まえて読んでもらえると嬉しいです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
本書の構成
冒頭、刀城言耶がこの物語が自身の小説の原稿であることを明かします。
取材ノートだけでなく、入手した関係者の手記など交えていて、言耶だけでは入手できない情報も含まれています。
また一人称でも三人称でも今回起きた事件の全貌を描くことはできなかったと語っており、本書が様々な手法を混合して構成されていることが前置きされます。
これが実はヒントとなっていて、読んでいる最中に感じる違和感を紐解く時の助けになります。
終盤に違和感の正体は解明されますが、ぜひこの辺りも念頭に置きながら読んでみてください。
舞台
本書は明示されていませんが昭和の話で、物語の舞台である神々櫛村(かがぐしむら)には二つの旧家がありました。
それが憑き物筋の谺呀治(かがち)家と非憑き物筋の神櫛家で、両家は対立していました。
言耶は因習や信仰を取材するために村を訪れるわけですが、村に向かう途中の人たちの様子からも異様で、よそ者を受け付けない様子が見て取れます。
その異様さは村に着くとより一層深まり、言耶は予想もしていなかった事件に巻き込まれることになります。
異様な事件
本書は言耶が村を訪れるまで、事件が起きずそこまで進行しません。
人に憑いたものに対してどのようにお祓いをするのか、村の中の人間関係はどのようになっているのかが中心に描かれ、インプット多めです。
どうしても退屈になりがちですが、第三者である言耶が訪れて情報を整理、結びつけを行うことで読者の頭の中も活性化してくるので、その辺りから一気に面白くなります。
そして、面白くなってきたあたりでついに異様な事件が起きました。
感想
膨大な設定
僕は読み始めてすぐに圧倒されてしまいました。
本書は六〇〇ページ近い厚みはもちろんですが、設定や名称がかなり細かく設定されていて、何となく読むだけでは到底理解が追いつかなかったからです。
登場人物の一覧や家系図、村の配置などが丁寧に冒頭に挿入されているので、迷った時のサポートは一応なされていますが、それでも読み進めることは容易ではありません。
特に『さぎり』について、漢字こそ違えど同じ分に複数の『さぎり』が出てくることも多く、ながら読みしていると混乱して仕方ありませんでした。
そのあたりは言耶も承知していて、作中に出す時にどこどこのさぎり、など注釈をいれてくれるので、それをガイドにしていくとだんだん頭の中に入ってきます。
最初の越えるべきハードルが高いことが難点としてあげられるため、そこをまずご承知おきください。
ミステリとホラーの融合
三津田信三さんというとミステリとホラーの融合において評価の高い作家さんというイメージがあり、それは著作を読んで実感してきましたが、本書でもそれを強く感じました。
言耶が出てくるまでは憑き物などホラー描写が強く、それがどのような厄災を招くのか読者を期待させます。
一方で、言耶が情報を入手していくと、村人たちの様々な思惑があり、事件には人間が大きく関与していることが分かります。
こうしてホラーとミステリが良い塩梅で取り込まれ、どちらともいえない、全く新しいものに昇華されているのが本書です。
謎解きパートでは当然ミステリに寄るわけですが、それでもホラーらしさが抜けきらないところがポイントで、さじ加減で絶妙でお見事でした。
おわりに
読むにはハードルが高めですが、その甲斐があるほどの読み応えと面白さでした。
シリーズは次第に整理されてリーダービリティがあがるという話も見かけましたので、そのあたりにも期待しながら次巻以降も読んでみたいと思います。
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