『クジラアタマの王様』あらすじとネタバレ感想!現実と夢の間に見られる思いもよらない関係とは?
記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?――製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこには思いもよらぬ「繋がり」があり……。伊坂マジック、鮮やかなる新境地。(解説・川原礫)
Amazon商品ページより
伊坂幸太郎さんのエンタメ作品が、また新たな境地を切り開いた。
そんな新鮮さと、純粋な喜びを本書から得ました。
また詳しいネタバレになってしまいますので詳細は割愛しますが、本書は発売時にはとても予想できなかった現実での出来事を違った形で描いていて、一種の予言書としても多くの読者を驚かせました。
様々な年代の人におすすめですが、その中でも社会人になって青春時代のドキドキをなくしてしまった人には特に読んでほしいです。
現実は世知辛いけれど、夢ではゲームのように敵と戦うという設定は、今や奥底に沈めらてしまった少年心がくすぐられました。
本書に関する伊坂さんへのインタビューはこちら。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について解説します。
『クジラアタマの王様』とはハシビロコウの学名の和訳です。
学名は『Balaeniceps rex』というラテン語で、これを日本語に直すとタイトルである『クジラアタマの王様』になります。
読めばすぐに分かりますが、本書にはハシビロコウが登場し、物語において大きな役目を担います。
タイトルの意味については物語のラストにも明示されていますので、ぜひそちらでもご確認ください。
あらすじ
大ヒット
本書の主人公は、製菓会社の広報部に所属する岸です。
妊娠中の妻と二人暮らしで、何気ない日々を送っていました。
そんなある日、テレビで人気ダンスグループのメンバーである小沢ヒジリが岸の勤める会社のお菓子を食べていることを明かし、人気に一気に火が付きます。
在庫がなくなるほど売れまくりますが、ここで事件が起きます。
クレーム
岸の会社に、大ヒットしたお菓子に画鋲が入っていたとクレームの電話が入ります。
この時、正しく対応できていれば事態は変わったかもしれませんが、担当した社員がお客をぞんざいに扱ったために事態は悪化。
お客はこのことをSNSで訴え、瞬く間に拡散して多くの人から会社への非難の声が挙がります。
会社はこれ以上被害が広がることを恐れ、記者会見に踏み切ります。
岸はこれまでのお客様対応能力を買われ記者会見のマニュアルを作成しますが、事態はさらに悪化します。
記者会見に出席した広報部長は岸のマニュアルを持っていくのを忘れ、謝罪どころか問題の一件を真っ向から否定。
火に油を注ぐ形となりましたが、事態はさらに急展開を迎えます。
夢の話
池野内征爾という都議会議員は、画鋲混入について妻の捏造だったことを明かします。
それによって岸の会社に非がないことが証明され、何とか一難が去ります。
ところが、池野内は一社員である岸に対して、夢を見ないかと話を持ち掛けます。
池野内いわく、彼は夢の中でハシビロコウとよく会い、また岸にそっくりな人とも会うのだといいます。
これだけであればただの偶然か勘違いですが、岸にもハシビロコウに対して既視感があり、否定しきれないところがありました。
そして、池野内の夢にはもう一人の人物が登場するのだといいます。
それは小沢ヒジリでした。
感想
少しずつ見えてくるリンク
本書の序盤で、池野内から夢の話が出ます。
また物語の合間に夢の中の出来事と思える漫画が挿入されていますので、読者はすぐに夢の中で戦いに勝つ(負ける)=現実で良い(悪い)ことが起こるという図式に気が付きます。
しかし、物語はそう単純ではありません。
夢の中に登場するハシビロコウは無感情に、時に嘲笑うかのように不敵な笑みを見せるので、よくないことが起きるのではと嫌な予感を覚えながら読み進めることになります。
物語が進むに従って、起きる事件はその規模を増します。
物語はどこに着地するのか。
岸たちは、現実と夢で奮闘して最悪の事態を回避できるのか。
現実サイドがありそうな展開ゆえに、こんなことがあったら自分はどうするだろう、と久しぶりにワクワクしながら読むことが出来ました。
ラストがもう一歩ほしい
現実と夢。
二つの世界を股にかけて本書は壮大なラストを迎えます。
それ自体は望んだ結果なのですが、個人的にはもう一歩踏み込んでほしかったというのが正直なところです。
得られた結末に対して、必然性を感じられなかったというか、なぜこんな物語になったのかという説明が不足していて、やや消化不良でした。
気にならない人もいると思いますが、個人的な感想としてここに書いておきます。
おわりに
ゲーム要素を夢という形で取り入れ、うまく現実世界とリンクさせた本書。
伊坂さんだからこそできた良質なエンタメ作品であることは間違いありません。
乾いた日々に潤いを与えたいという人には特におすすめです。
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