小説

『これは経費で落ちません!7』あらすじとネタバレ感想!幸せって何だろう?

会社合併を控え、異例の若さでの主任昇進を打診された沙名子の悩みはつきない。
給料は大して増えないのに、責任が増えると思うと憂鬱になる。
女性活用を推進したい会社の方針で、優秀だからではなく女性だからという理由の昇進なのだろう。結婚や出産することは会社に迷惑をかけることになるのか。
合併予定の会社のひとつ、トナカイ化粧品でほぼひとりで経理を担ってきた槙野という童顔の男と経理システムについての調整作業をする中で、彼のつけている腕時計がトナカイ化粧品の給料からするとずいぶん高級な物だと気づいた沙名子は、詮索してしまう自分を戒めるが……?
同期入社の入浴剤開発者・鏡美月の結婚式も行われ、沙名子と太陽の関係にも重大な変化が!?大人気シリーズ第7巻!

Amazon商品ページより

人気シリーズ第七弾となる本書。

二つの会社との合併に向けた調整がメインで、社内の人間関係だって大変なのにそこに社外の人間も加わり悩みや苦労が倍増します。

また沙名子と太陽の関係も新たな局面を迎えるので、これまで以上に読み応えがある内容になっています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

お祝いなんて言えないなあ、いろいろ知ってからじゃないと

天天コーポレーションは来年度、三社合併に向けて大忙しであり、沙名子は二十代にして主任昇進の打診を受けます。

後に正式にこの打診を受けることになりますが、今まで以上に業務に追われて余計な気苦労をすることになります。

この話では、いかに女性の昇進について会社が慎重に、悪い言い方をすればネガティブなイメージを抱いているのかが分かります。

結婚や出産など本来祝うべきイベントなのに会社は業務に穴が空かないかばかり気にして、予定がないか確認された沙名子が怒るのも当然です。

また総務部の平松由香利の結婚の噂が流れ、あることないこと話が飛び交います。

結婚とは当人同士が納得していればいい話で、他人がとやかく言うものではないなと改めて思わされるエピソードです。

自分がいないとまわらないと思っているのは本人だけだ!

合併会社の一つ・トナカイ化粧品の経理を一人で担当する槙野と沙名子たちが今後について打ち合わせをする話。

トナカイ化粧品は業績が傾いているはずなのに、牧野の腕には高級時計。

沙名子は疑問を抱き、やがてトナカイ化粧品を置かれた現状を知ることになります。

章タイトルはまさにその通りと言いたくなる言葉で、まわらない時は会社に問題があるんですよね。

人によっては突き刺さる言葉であり、もっと楽に仕事をしてもいいんだと見直すいい機会になるエピソードです。

自分が幸せになりたいかどうかって話です。人の幸せに奉仕するんじゃなくて

室田千晶が広報部の正社員になり、ショールーム担当として橋口優芽が契約社員として入ってくるという話。

千晶は頼りない優芽の文句ばかりを口にしますが、沙名子の目には違う風に映っていました。

これまでの巻で千晶がどのようにして契約社員時代を過ごしたのか知っている人であれば、優芽の態度には驚くかもしれません。

どちらが正しいとは一概に言えませんが、やはり何をするにも自分がどうしたいのかを明確に決め、他人に責任を押し付けたり、他人を口実に使ってはいけないと気づかされるエピソードです。

たまには悔しいこともあるわけですよ、俺だって

沙名子と太陽の関係が描かれる話。

太陽と付き合うようになってこれまで知らなかった感情を覚え、人として変わっていく沙名子が微笑ましいのですが、そこに太陽が大阪に異動するという話が舞い込み、二人の関係に変化をもたらします。

このエピソード自体見応えがありますが、次巻以降にどう影響するのかも注目です。

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感想

簡単にはいかない合併

ニュースでM&Aや合併の話がよく取り上げられていて、わりと簡単な話かと思い込んでいましたが、自分の認識の甘さをまざまざと突き付けられました。

社内でさえ様々な人間がいるのですから、違う規模・文化の会社で育てばもっと大きくタイプの違う人がいてもおかしくないですよね。

幸い、天天コーポレーションは立場的に上なのでリストラなどの心配はありませんが、沙名子の気苦労は増しそうです。

幸せってなんだろう

由香利や沙名子の同期の美月の結婚エピソードが披露され、改めて幸せってなんだろうと考えさせられました。

もちろん結婚しなければ幸せになれないわけではありませんが、結婚を望む人にとってそれは間違いなく幸せなことです。

しかし、それを祝ってくれる人ばかりではありません。

また遠回しに結婚や出産にネガティブなことを言う人もいます。

それから千晶と優芽のエピソードを読んでも、幸せかどうかは結局その人次第なのだと実感しました。

イベントが人生のゴールになるわけではなく、結婚しても正社員になっても人生はずっと続きます。

やっぱり日々の出来事から大事にして、自分の気持ちと常に向き合わなければならないと誓い直す良い機会となりました。

二人の関係の行方

合併の話だけでもボリュームたっぷりなのに、追い打ちをかけるように太陽の異動の話が浮上します。

このダブルパンチが沙名子の安定した生活を脅かすことは間違いなく、太陽との関係が変わらないわけがありません。

お互いに別れるつもりがないことが確認できているので一安心ですが、次巻も目が離せない展開が待っていることは間違いありません。

おわりに

惰性で続いているわけではなく、ちゃんとシリーズ作品を重ねる意味を持っている本シリーズは本当に追いかけ甲斐があります。

本書は文句なしに面白かったですが、次巻でそれを塗り替えてくれるのはと期待できる展開だったので、ますます目が離せません。