『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』あらすじとネタバレ感想!14年ぶりの戯言シリーズ
首を洗って待ってたかい? <戯言シリーズ>最新作
玖渚盾が挑むのは、古城×双子×首なし死体私立澄百合学園に通う玖渚盾(くなぎさじゅん)、十五歳。
Amazon商品ページより
“パパの戯言”と“ママの法則”を携えた「平凡な女子高生」が、
人類最強の請負人・哀川潤に誘拐されて、
玖渚機関の牙城“玖渚城”に送り届けられてしまう!
彼女を待ち受けていたのは、青髪青眼の少女たちとの邂逅と悲惨な殺人事件。
はたして盾は謎を解き、無事に帰還することができるのか?
新青春エンタの傑作<戯言シリーズ>、大団円の先の最新作、ここに結実!!
戯言シリーズが完結してから十四年。
戯言遣いと青色サヴァンの娘を主人公において、戯言シリーズが帰ってきました。
二人の要素を受け継ぎつつも、二人の娘だからこそ持ち得る特性。
それが原点回帰を誘いつつも、新たな幕開けを見事に打ち出してくれました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
事故
戯言遣いから多くの格言を授かり、青色サヴァンの容姿や特性を大きく受け継いだ娘・玖渚盾(じゅん)。
彼女は私立澄百合学園に通う高校一年生で、いたって平凡な少女です。
夏休みに入り、盾は帰省しようと四条河原町の交差点を横断していたところ、突如車にはねられます。
重傷を負いますが、車の運転手は慌てるどころか、盾が生きていることに感心し、寝転ぶ頭をさらに踏みつけます。
これこそ盾が父親から聞いていた人類最強の請負人・哀川潤との出会いでした。
拉致
盾は手当てされることなく車に乗せられ、どこかに連れていかれます。
いくら話しても埒が明かない中、潤が誰に依頼されて動いているのかはすぐに判明します。
玖渚機関。
それは盾の母親の実家であり、世界を牛耳るほどの大企業でした。
絶縁したはずの玖渚家が娘ではなく、孫に今更何の用なのか。
盾の疑問は解消されることなく、車は兵庫にある世界遺産・玖渚城に到着します。
衛星
潤は早々に立ち去り、盾は一人で祖父祖母をはじめとした玖渚家の面々やメイドと会います。
祖父が盾を連れてこさせた理由。
それは宇宙を飛んでいる九つの人工衛星を修理させるためでした。
約二十年前、盾の母親である友は一時的に玖渚機関に戻っていて、そこで話にあがった人工衛星もとい人象衛星を作り上げます。
これは世界中の人の流れを感知できる、というとんでもないものでした。
しかし、経年劣化によってその機能は衰え、しかも友以外にこの高性能機を直すことはできません。
そこで絶縁した共に代わって盾が呼ばれたわけですが、ここで大きな問題があります。
それは、盾が友に唯一言いつけられているのが、機械に触るなということでした。
感想
色あせない名作
十四年ぶりの新作となると、期待と同時に不安がわきおこった人も多いのではないでしょうか。
あれだけ記憶に残る戯言シリーズの、汚点になってしまうのではないか。
しかし、takeさんの描く盾を見ただけでその不安は払しょくされ、読み始めて僕の期待など軽く超えてしまったことをすぐに実感しました。
めちゃくちゃ面白い。
原点回帰しつつも、盾だからこそ出来る特性・役回りで見事に新たな世界観を打ち出してくれている。
もう嬉しすぎて、夢中で読んでしまいました。
ミステリ要素は控えめ
戯言シリーズというと、作品によりますがミステリが一定量あり、初期作品であればミステリ作品としても十分に楽しめました。
本書も初期の流れを汲んでいるので、とんでも能力のぶつかり合いというよりも、現場証拠から推理するミステリが主体となります。
これも懐かしさを覚えた要因ではないでしょうか。
ただ一点だけ注釈を入れておくと、初期に比べるとミステリ要素はやや薄めです。
両親の世代を受け継いでいる影響で、どうしても両親やその周囲の環境の描写が多くを占め、新しいパートはやや控えめです。
それでも十分面白かったので、本領発揮は次巻以降になりそうです。
おわりに
こんなに登場を喜んだ作品はここ最近あまりなかった気がします。
それくらい西尾維新さん、戯言シリーズに育ててもらい、ここでも活力を与えてもらったのだと感謝感激です。
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