ミステリー

『風間教場』あらすじとネタバレ感想!シリーズ第四弾は初の長編作品

第百二期短期課程の仮入校を控える警察学校で、新任の久光校長が風間公親教官に命じたのは「退校者ゼロ」の教場作りだった。一人でも落伍者が出た場合は、責任者の風間に辞めてもらうと言い渡す。
刑事指導官時代に現場を共にした平優羽子を助教に、第九十八期の卒業生・宮坂定を現役警察官兼生徒の「世話係」に迎え、新学期が始まった。備品の紛失、生徒の妊娠発覚など、教場では問題が続く。生徒を厳しく指導して篩にかけ、警官の資質がないと判断するや即はじき出してきた鬼教官が、新たなミッションに挑む!
初の長編作品となるシリーズ第四弾。

Amazon商品説明より

ドラマ化第二弾が発表され、そのタイミングで出版された本書。

https://www.youtube.com/watch?v=_PxKpCYlO04

ドラマ『教場Ⅱ』は小説『教場』、『教場2』、『風間教場』が原作です。

内容がミックスされている上、登場人物がドラマ用にアレンジされているので、ご注意ください。

本書はシリーズ初の長編ということで、これまでよりも各登場人物の関係が密接していて、作品としてよりまとまりがあります。

また風間視点で語られることから、彼がどのようにして学生と接しているのかが分かり、新たな気付きが得られます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

落伍者ゼロの教場

風間公親は教場の教官として、第百二期の学生を迎えるところでした。

助教の平優羽子と共に、半年間の指導に当たります。

指導に当たって、今年の異動で校長になった久光より、ある課題を与えられます。

それはこの半年間、落伍者を一人も出さないというものでした。

もし一人でも落伍者が出れば、その時は責任をとって風間も辞めることになります。

例年、落伍者が十人は出ているので、この課題がいかに無理難題かということが分かります。

しかし風間に拒否することは出来ず、かくして例年とは違った指導が始まるのでした。

様々な問題を抱える生徒

これまでとは違った意識で指導に臨む風間ですが、問題はどうしても起きてしまいます。

時間の感覚が人とは異なり、度々遅刻してしまう学生。

喫煙の許されない教場においての、女性学生の喫煙の噂。

入学してすぐの退学を考えている生徒の存在。

不思議な恋の相談。

例年であれば辞めさせているところも、今年の風間にその選択肢は与えられていません。

一見、退学を回避できないように思える案件に対して、風間はこれまでに培った知識と経験をもって指導に当たります。

助教の指導

風間が指導するのは学生だけでなく、助教の優羽子もその対象です。

指導する立場とはいえ、風間からすれば優羽子もまだまだ未熟なところがいくつもあります。

日々生徒たちの指導に当たって悩み苦しむ優羽子に対して、風間は時に優しく、時に突き放した指導をします。

その成果は終盤、そしてエピローグに表れているので、ぜひその目で確かめてみてください。

ちなみに風間と優羽子の関係についてもっと知りたいという人は、『教場0~刑事指導官・風間公親~』も合わせて読んでみてください。

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感想

長編だけど従来のような構成

これまでのシリーズ作は登場人物ごとにエピソードが独立していて、その人物を徹底的に掘り下げるという手法がとられていました。

一方で、本書は学生を辞めさせないよう奮闘する風間が主役のため、風間視点の長編という形が採用されています。

これによって短編よりも作品としてまとまりが出来て、各生徒とのエピソードが後に活きるようにできています。

しかし、読んだ印象としてはあまり長編という感じはなく、これまでのように各生徒ごとのエピソードを一つずつクリアしていく構成なので、従来とそう変わらない印象を受けました。

風間の新たな一面

冷たい炎のようなイメージの風間ですが、本書ではそこまでの鋭さはなく、どちらかというと温かく見守る優しさが目立ちます。

それは生徒に対しても、助教である優羽子に対してもそうです。

これまでが生徒を蹴落として這い上がらせるという指導だとすれば、今回は落ちそうになる生徒を支えてあげるという指導です。

生徒によってこれらを使い分けられる風間の柔軟さに感心させられました。

また、優羽子やかつての教え子である宮坂からの信頼・尊敬が感じられ、彼のこれまでの行いが間違っていなかったことを感じさせます。

全体として緊迫感のあるシーンが少ないためか、穏やかな気持ちで学生たちの苦難と成長を見守ることができました。

学生の印象が薄い

風間の様々な一面が見られて良かった一方で、学生の印象がこれまでの作品に比べて薄かったのが残念でした。

これまでにも様々なバリエーションを生み出してきたこともあって、今回の学生の問題の根底にある動機がやや薄弱で、そこまでするか?と疑問に感じることが何度もありました。

しかしその分、風間と同じ立場で学生の指導にあたる優羽子に焦点が当てられ、指導する立場にありながら風間の指導を受けて成長する彼女の姿を楽しむことが出来ました。

特にエピローグの展開は驚きと喜びが詰まっていて、本書の締めくくりとしてこれ以上のないものだったと思います。

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おわりに

シリーズの締めくくりのような結末で、本書を持ってもしかしたらシリーズが完結したのかもしれません。

もう少し読みたいと思ってしまいますが、どうしても教場という限られたシチュエーションの縛りがあるので、この辺りで終わらせるのがちょうど良い気もします。

本書を原作にしたドラマも素晴らしい出来で、作品に対する多くの人の愛情が感じられました。

偶然書店で見かけた時は、ここまで心に残る作品とはこれっぽっちも思っていなかったので、この出会いに感謝しかありません。

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