『感応グラン=ギニョル』あらすじとネタバレ感想!退廃的な世界観が詰まった短編集
昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋。ここでは夜ごと、ある特殊な条件のもと集められた少女たちによる残酷劇が演じられていた。その日、容姿端麗で美しい声を持つ新人がやってくる。本来ここには完璧な少女は存在してはいけないはずなのに。彼女の秘密が明らかになるとき、〈復讐〉が始まる――。分かち合えない痛みと傷を抱えて生きる孤独な魂を描いた全5編。
Amazon商品ページより
タイトル、表紙を見た瞬間に、絶対に読みたいと思って手に取った本書。
表題作を含めた五つの短編で構成されていて、どこか退廃的な世界観の中で描かれる数々の孤独、痛み。
こんな作品を読んでしまうと、この成分を他で補充するのは厳しそう。
それくらい独創的で面白い作品でした。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
感応グラン=ギニョル
座長が立ち上げた『浅草グラン=ギニョル』という劇団。
芝居に『れありてー』を求めていて、座員はみな何らかの欠損を抱える少女。
鼻がない少女、全身に傷を持つ少女、目が見えない少女など。
客はそんな少女たちが見たくて、劇場に押しかけます。
そんなある日、劇団に無花果という少女が入団します。
彼女には傷らしい傷が見当たらず、座員から不満の声が挙がりますが、入団の理由はすぐに分かります。
無花果には心がありませんでした。
地獄を縫い取る
時代が進み、視覚や聴覚だけでない五感全てがどこでも誰でも享受できる技術が普及していました。
さらに感情までも記録されていれば、それすらも経験できてしまいます。
そんな中、ジェーンはクロエという女性にスカウトされ、JD(ジェーン・ドウ)というプロジェクトを一緒に進めます。
ジェーンたちは、世界中の大人たちに犯されるための女の子(AI)を創り出そうとしていました。
それだけでも様々な問題がありますが、JDにはさらなる秘密がありました。
メタモルフォシスの龍
この世界では恋をしてそれに敗れると、とある病を発症します。
発症した人が男性であれば蝦蟇に、女性であれば蛇に変容してまうのです。
テルミもまた蛇になりはじめた一人で、人々が暮らす共同体を抜けたところで、半蛇半人のルイと出会い、彼女と一緒に行動することにします。
二人には共通の目的は、島に渡って想いビトを喰らうこと。
恋をすることが禁じられた世界で、二人は共に生きますが、テルミには秘密がありました。
徒花物語
舞台は、とある学校。
ここには訳ありの少女たちだけが集められています。
彼女たちは花屍(かばね)化が進行しているところで、果実が熟していくように体の変化に応じて纏う香りが濃くなっていき、やがて熟れすぎて悪臭を放つようになる。
その先に待っているのは死でした。
戦時中の中で、学校内だけはいつでも平穏で、まるで残された時間をせめて楽しんでほしいという思いが込められているかのようでした。
この物語の一方で、『徒花物語』という本が断片的に描かれますが、そこには重要な意味が込められていました。
Rampo Sicks
『感応グラン=ギニョル』の後の世界を描いた物語。
ここ浅草では美しいことが罪とされていて、美醜値が一定以上になると、美醜探偵団が現れてその人の顔を傷つけ、適度に醜くします。
そのため、生まれ持って美しい人は断罪されないよう適度に自分を醜くする必要があります。
そんな世界において、美醜値を気にする必要がないほど醜いといわれている不見世が主人公となり、この町に真実に気が付いてしまいます。
感想
目を離せない痛みと孤独
本書はどの物語も基本的に独立していて、テーマに一貫性はありません。
しかし、どの物語にも共通して誰にもはかり知ることのできない痛みと孤独が込められていて、僕は一編目から作品に取り込まれていました。
醜く変貌、あるいは元から傷を持つ少女たち。
少女たちの中でも序列があり、その中でも痛めつける者と痛めつけられる者に分かれています。
彼女たちを不安になりながらも率先して読んでいる自分は、浅草グラン=ギニョルを見に来た浅ましい客と同じじゃないかと思うこともありましたが、とても止められるものではありません。
痛みと孤独の先にはさらなる驚きが待っていて、救いとは言い難いものばかりです。
その物語に何を見出すのか。
読者を選ぶ作品であることに間違いありません。
しかし、本書にしかない鋭さ、甘さがあり、久しぶりに周囲のことが気にならないほど物語に没頭してしまいました。
書き下ろしも秀逸
本書には書き下ろしが一編収録されているのですが、これがまた秀逸です。
『感応グラン=ギニョル』と続いているものの、違った角度から人間の醜さを描いた物語。
詳しいネタバレは避けますが、アニメ『PSYCHO-PASS』を連想させるような内容で、結末はある程度予測できるものでした。
それでも作品の持つ圧倒的なパワーがそんな些末なことなど押し流してくれ、もう面白いの一言です。
おわりに
どんな時代でも、新たな感動や驚きを得ることはできる。
このどこか耽美で退廃的な雰囲気は僕が最も好きなものの一つで、その中でも異質で圧倒的な物語を見せつけてくれました。
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