『怪人二十面相』あらすじとネタバレ感想!変装の名人と名探偵が繰り広げる名勝負
犯行を事前に予告したうえで狙ったものを次々と見事に奪い去る「怪人二十面相」が、今度は国立博物館所蔵の美術品を盗むと知らせてきた!何しろ二十の顔を持つ変装の天才で、どんな人物にもなりすまして相手をだます恐るべき盗賊だ。もはや頼れるのは日本一の名探偵明智小五郎をおいて他にない。小林少年をはじめとする少年探偵団とともに、悪を相手の真剣勝負が始まった!小学上級から。
「BOOK」データベースより
江戸川乱歩といえば本書から始まる『少年探偵団シリーズ』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
学校の図書室や図書館でも大体蔵書されていると思います。
僕は本書をきっかけにミステリに目覚めましたが、今読んでも当時気が付かなかった部分に面白さを感じ、その楽しみ方は底が知れません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
怪人二十面相
東京では怪人二十面相という盗賊の噂が絶えませんでした。
怪人二十面相は二十の全く違った顔を持ち、どれだけ近寄っても見破れないほどの変装上手。
宝石や美術品など美しくて珍しく、高価なものばかり盗み、人に危害を加えることはありません。
そして、盗む前に必ず予告状を送り、相手の警備をすり抜けて盗み出すことをモットーにしていました。
助手・小林少年の奮闘
怪人二十面相には警察も手を焼き、彼を捕まえられるのは日本一の名探偵と呼ばれる明智小五郎だけ。
しかし、明智は重大な事件のため海外へ出張中で、手を貸すことができません。
そこで立ち上がったのが明智の助手・小林少年でした。
年齢は明示されていませんが、小学校高学年~中学一年生くらいを想像してもらえれば良いと思います。
少年とは思えない頭脳と度胸を兼ね備え、警察でさえ手に負えない怪人二十面相とある程度対等に勝負しますが、それでも勝てるほど怪人二十面相は甘くありません。
小林でもダメとなると、残された手はもう一つしかありません。
明智 vs. 怪人二十面相
明智がついに海外から帰国。
すぐに怪人二十面相と対面し、早々にバチバチと火花を散らします。
怪人二十面相は相変わらず緻密な計画を立てて自分の目的を達成しようとしますが、明智は何でもないようにそれらをことごとく防ぎ、まさに名勝負です。
そして怪人二十面相は、国立博物館の美術品を全て盗むと予告。
かくして二人の壮大な対決が始まるのでした。
感想
思い切りの良い非現実さが面白い
この記事を書くにあたり改めて本書を読みましたが、驚くほど非現実のオンパレードで、自分の記憶の中の本書とのギャップに驚いています。
まるでアニメや漫画をノヴェライズしたような無茶苦茶さで、しかしその思い切りの良さがとても面白いと感じました。
登場人物のスペックが有り得ないくらい高く、特に明智や怪人二十面相、小林少年はその中でもずば抜けています。
しかし、決してその能力に頼り切っているわけではありません。
しっかりとトリック部分にも楽しめる仕掛けが施されていて、しかも小中学生でも分かるようシンプルにおさえられています。
このバランスが秀逸で、大人になった今でも十分楽しめる内容でした。
飽きのこない展開
本書は長編としては短めですが、その中でいくつも事件が起き、一つの事件の中でも展開が二転三転することは当たり前です。
優勢だったのにいつの間にか劣勢になり、そこからまた盛り返す。
この繰り返しで、読んでいる側はいつまでもハラハラドキドキが止まりません。
これなら読書の習慣がない、あるいは苦手だという人も抵抗なく読むことができると思いますし、読書が好きになるかもしれません。
ぜひ少年少女時代に読んでほしい
大人になった今読んでももちろん面白いのですが、やはり一度は少年少女の時代に読んでほしいと思います。
本書から得たインスピレーションをきっかけに想像を膨らませ、次の物語に思いを馳せる。
これができればいつまでも読書を楽しむことが出来ます。
本書は読書習慣の土台を作ってくれる要素であふれています。
小学生からすると、分厚くてとっつきにくいかもしれませんが、読み始めればそこまで抵抗なく読めるはずです。
ぜひあなたの周囲に少年少女がいれば、本書を薦めてほしいと思います。
おわりに
僕のミステリ好きの原点となった本書。
あの時とは読んだ印象は違いますが、それでも面白いと感じたことに違いはありません。
あらゆるミステリを楽しむにあたって、本書は欠かせない名作の一つだと思います。
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