『切り裂きジャックの告白』あらすじとネタバレ感想!現代に甦ったジャックの目的とは?
東京都内の公園で臓器をすべてくり抜かれた若い女性の死体が発見された。やがてテレビ局に“ジャック”と名乗る犯人から声明文が送りつけられる。その直後、今度は川越で会社帰りのOLが同じ手口で殺害された。被害者2人に接点は見当たらない。怨恨か、無差別殺人か。捜査一課のエース犬養刑事が捜査を進めると、被害者の共通点としてある人物の名前が浮上した―。ジャックと警察の息もつかせぬ熾烈な攻防がはじまる!
「BOOK」データベースより
『刑事犬養隼人』シリーズ第一弾となる本書。
沢村一樹さん主演でドラマ化、第四弾の『ドクター・デスの遺産』は綾野剛さん、北川景子さ共演で映画化など、一般的な知名度がかなり高く、中山七里さんの作品の中でも特に人気のあるシリーズです。
以下はシリーズ第二弾『七色の毒』を元にしたドラマですが、雰囲気は伝わるかなと思います。
本書では物語の中心に『切り裂きジャック』があり、これだけでもミステリファンであれば大興奮ですが、面白さはそれだけではありません。
中山作品でお馴染みの古手川と主人公である刑事・犬養のコンビネーションや現代医療の抱える問題、犬養と娘の絆など見所が満載で、中山作品の中でも特にオススメしたいシリーズです。
以下は本書に関する中山さんへのインタビューです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
臓器が抜き取られた死体
深川署のすぐ近くにある公園で臓器を全て抜き取られた死体が発見されます。
状況から現場で摘出されたことが分かり、またその手さばきやスピードから熟練した技術を持つ医療関係者が容疑者として挙がります。
その残忍な犯行から警察では異常者による犯行との見方も出ています。
本庁に所属する犬養隼人は主人公となり、この事件の捜査に当たります。
現代に甦ったジャック
テレビ局に奇妙な手紙が届きます。
差出人はなんと事件の犯人で、現代に甦ったジャックを名乗ります。
犯人のいうジャックとは1888年にイギリス・ロンドンを震撼させた殺人鬼で、切り裂きジャックと呼ばれていました。
五人の売春婦を殺害し、臓器を持ち帰る。
新聞社に対して挑発的な犯行声明文を送りつける、いわゆる劇場型犯罪のはじまりとなり、百年以上経った今でも犯人は分かっていません。
テレビ局は警察に通報することなく独断でこのことを報道し、世間の関心を集めます。
警察にはもはや幾何の猶予もなく、一刻も早くジャックを捕まえる必要がありました。
臓器提供を巡る問題
その後もジャックによる同様の犯行は続き、相手の目的が臓器提供によって生き永らえた人たちの殺害であることが判明します。
臓器提供を受けた人、これから臓器提供を受けようと考えていた人たちは恐怖のどん底に追い込まれ、世間では臓器提供を巡る問題が再燃します。
犬養の娘・沙耶香も腎臓の臓器提供を望んでいましたが、ジャックのせいで臓器提供を拒否するようになってしまいます。
すでに親子の縁が切れているとはいえ、犬養にとって沙耶香が血の繋がった娘であることは間違いありません。
犬養は沙耶香のために一刻も早く犯人を見つけることを改めて決意。
埼玉県警の古手川との懸命な捜査が実を結び、二人はやがて真実に辿り着きます。
しかし、そこには予想を裏切る展開が何度も用意されていました。
感想
見所満載のミステリ
記事の触りでも書きましたが、本書はミステリとして見てもエンタメとして見ても非常に面白い作品です。
切り裂きジャックを名乗り、鋭利な刃物で遺体のあらゆる臓器を持ち出すという残忍極まりない犯行。
犬養と古手川が被害者に共通を見つけて犯人を追いかけても、一向に見えてこない犯人の姿。
さりげなく散りばめられたミスリードの数々。
落ち着いて読めば決して辿り着けない真実ではありませんが、読み流していると二度も三度もどんでん返しが起こり、驚きの連続であること間違いなしです。
ミステリとしてそこまで難易度が高いわけではないので、ぜひ犬養や古手川の視点に立って一緒に事件を追ってみてください。
抜群のコンビネーション
中山作品では渡瀬×古手川のコンビが多いので、未熟な古手川を渡瀬が叱責する、というのがこれまでのパターンでした。
しかし、今回古手川がコンビを組む犬養はしっかり古手川の有能な部分を見抜き、お互いを補完するような立ち回りをしています。
犬養は渡瀬ほどの頭脳は持っていませんが、男であれば嘘を見抜くことが出来ます。
また犬養をアクセルだとすると、古手川は踏みっぱなしアクセルという感じで、とにかく勢いがあります。
捜査に感情を持ち込むことがあまり良いとはいえませんが、だからこそ分かることや訴えかけてくるものがあります。
読んでいて非常に気持ちの良いコンビで、本書が面白かった要因の大きな一つになっています。
一人の人間としての犬養
犬養は一人目の妻・成美と娘の沙耶香とはすでに縁が切れたような状態で、辛い透析治療を受ける娘をただ見守ることしか出来ません。
まあ、読み進めれば犬養のせいで家族が崩壊したことが分かるので心底同情することは出来ませんが、それでも同じ子どもを持つ父親として、共感できる部分も多くありました。
捜査を進めれば進めるほど事件の背景と沙耶香が重なり、冷静な判断を下すことが難しくなる。
刑事と一人の親の間で揺れる犬養もまた見所になっています。
最後に二人の関係に変化が訪れたような記載がされているので、今後のシリーズ作品においても注目すべきポイントだと思います。
おわりに
中山作品は特にミステリとエンタメが見事に融合した作品が面白く、本書もその例外ではありません。
もちろん本シリーズだけでも楽しむには十分ですが、僕は『連続殺人鬼カエル男』、『ヒポクラテスの誓い』などで本書とはまた違った古手川の姿を見てきたので、合わせて読むことで楽しみが何倍にも広がったと思います。
中山作品は登場人物で繋がる作品が多数あるので、ぜひ様々作品と絡めながら本書を楽しんでもらえたらと思います。
次の話はこちら。
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