サスペンス
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『ヒートアップ』あらすじとネタバレ感想!麻薬密売人を殺害したのは麻取?

harutoautumn
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七尾究一郎は、おとり捜査も許されている厚生労働省所属の優秀な麻薬取締官。製薬会社が兵士用に開発した特殊薬物“ヒート”が闇市場に流出し、それが原因で起こった抗争の捜査を進めていた。だがある日、殺人事件に使われた鉄パイプから、七尾の指紋が検出される…。誰が七尾を嵌めたのか!?誰も犯人を見抜けない、興奮必至の麻取ミステリ! 

「BOOK」データベースより

明言されていませんが、『魔女は蘇る』の続編のような位置づけの本書。

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『魔女は蘇る』に登場した麻薬取締官(通称:麻取)の七尾究一郎が主人公となり、攻撃本能を高める麻薬『ヒート』を追いかけます。

ヤクザと手を組んだり、組織の意向を無視したりと破天荒で無茶苦茶な捜査が刺激的で、程よい緊迫感を楽しむことが出来ます。

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あらすじ

特殊体質

麻薬取締官の七尾究一郎は捜査第一課のエースでしたが、その理由は彼の特殊体質にありました。

通常、麻薬は体内のレセプターを外部から刺激することで作用しますが、七尾のレセプターは人並み外れて鈍いという特徴がありました。

それによってどんな麻薬にも一定の耐性があり、おとり捜査をして仮に麻薬を投与されたとしても、依存症になることはありません。

七尾はその体質を活かしたおとり捜査で抜群の検挙率を誇りますが、自分の身を顧みない捜査方法には危うさをはらんでいました。

そんな七尾が今回追いかけているのは『魔女は蘇る』に登場したヒートと呼ばれる麻薬で、彼が心酔していた警察庁生活安全局所属の宮條貢平はヒートを追って二か月前に殉職していました。

宮條の無念を晴らす目的もあり、今回の七尾はいつも以上になりふり構わず捜査に乗り出します。

ヒートの行方

ヒートはスタンバーグという製薬会社のMR(医薬情報担当者)・仙道寛人が売り歩いており、七尾たちの目下の目的はこの仙道を捕まえることにありました。

しかし、仙道は警察だけでなくスタンバーグからも逃げていることから異常なほどに慎重で、ヒートに関係した人物を逮捕したところでなかなか情報が得られません。

そんな時、七尾に謎の情報提供者が現れました。

待ち合わせ場所に現れたのは宏龍会という広域指定暴力団の渉外委員長・山崎岳海でした。

宏龍会はヒートによって被害を負っていることから、七尾たちと同じく市場より排除することを目的にしていて、同じ目的のため手を組まないかと持ち掛けます。

通常であれば許されるはずのない契約ですが、宏龍会の情報網は七尾たちの予想を遥かに上回り、七尾は独断という形で山崎と手を組むことにしました。

嵌められた七尾

懸命な捜査によって仙道の居場所を突き止めることに成功し、取引場所付近で逮捕する予定でした。

ところがその前に仙道は何者かによって殺害されていました。

凶器となった鉄パイプからは一種類の諮問のみが検出され、それは七尾のものでした。

警察は七尾が犯人だと決めつけ警視庁へ移送されることになりますが、途中で山崎とその部下がパトカーを襲撃。

七尾は仲間にも内緒で山崎と行動することになり、疑いを晴らすには自分自身で真実を突き止めるしかありませんでした。

追手から逃れるために、七尾は誰も近づかない場所に逃げ込むことを提案。

その場所とはかつてヒートの研究を行っていた研究所の跡地で、今はヒートによって辺り一面が汚染されていました。

七尾たちは隠れながら真相究明のために捜査を続けますが、恐るべき魔の手が忍び寄っていました。

感想

緊迫感を味わえるサスペンス

前作『魔女は蘇る』では抗いようのない圧倒的な恐怖が魅力的でしたが、本書ではそれとは違ったヒリヒリするほどの緊迫感が楽しめました。

麻取とヤクザの共闘。

冤罪からの逃走。

ヒートが引き起こしたさらなる騒動。

話のスケールが一気に拡大し、後半からはずっと圧倒されっぱなしでした。

前作よりもサスペンス方面に振り切れていて、個人的にはこちらの方が好みです。

多少のご都合主義

とはいえ、出来過ぎていると感じた展開がいくつかありました。

創作なのでそういった展開があっても不思議ではありませんが、それでもちょっとご都合主義過ぎる、と感じてしまったのは事実です。

この傾向は『魔女は蘇る』にもあったので、そういう作品として深く考えずに楽しんだ方が吉かもしれません。

叙述トリックが賛否分かれる

七尾が冤罪を吹っかけられた事件について、本書ではとある叙述トリックが仕掛けられています。

僕は本当にたまたま、とある漫画でそのパターンを読んでいたので、すぐにピンときました。

叙述トリックとして、決して無理のあるものではありません。

しかし、単純にそれだけで読者を騙すにはお粗末というか、物足りなさを感じてしまいました。

あれだけ生死をかけるほどの盛り上がりを見せておいて、結末がこれではどうにもしまりが悪い。

内容として悪くないだけに、非常に残念な気持ちになりました。

おわりに

批判的な内容もいくつか書きましたが、『魔女は蘇る』を読んで続きを知りたい人であれば、読んで損することはありません。

グロテスクな描写もかなり減っているので、前作ほど人を選ぶということもありません。

ぜひ本書を読んでヒートにまつわるエピソードにしっかり止めを刺してほしいと思います。

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