『十三番目の人格 ISOLA』あらすじとネタバレ感想!悪魔の人格に隠された秘密とは?
賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格〈ISOLA〉の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
Amazon商品ページより
貴志さんのデビュー作であり、第3回長編賞佳作を受賞した本書。
ジャンルとしてはホラーになりますが、多重人格や事件について考える点についてはミステリ要素もあり、現実と非現実のバランスが非常によくとれた作品になっています。
二十年以上経っても古臭さを感じずに読むことが出来るので、貴志さんの作品を追いかけている人は必見です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
多重人格の少女
加茂由香里は幼い頃から他人の感情を読み取ることができ、そういった能力を持つ人間をエンパスといいます。
この能力のせいで由香里は周囲とうまくいかず、家族に黙って状況。
普段は向精神薬を服用することで能力を抑えています。
そんな中、阪神淡路大震災が発生し、精神的に傷を負った人がたくさんいました。
由香里はこの能力を活かして被災者に寄り添い、たちまちのうちにボランティアスタッフの間で話題になります。
しかし、森谷千尋という少女と出会って、由香里は驚愕します。
彼女の内にはいくつも人格がある、いわゆる多重人格だったのです。
年齢や性別がバラバラな人格がいくつも混在する中、ひと際異質な人格がありました。
その人格は『イソラ』という名前でした。
あまりの攻撃性の高さに恐怖を覚える由香里でしたが、イソラはすぐに意識の底に沈んで感じ取れなくなりました。
過去
由香里は高校のカウンセラー・野村浩子と会い、千尋がどのようにして今の多重人格を獲得したのかを知ります。
全ては過去の経験に基づき、苦しみから逃れるために必要なことでした。
浩子は熱心に千尋のカウンセリングをしていましたが、イソラのことは知らず、つまりイソラは阪神淡路大震災後に生まれた十三番目の人格ということになります。
このままではイソラが何か大きな問題を起こす可能性があるため、千尋の人格を統合する必要があります。
しかし、千尋の叔父は非協力的で、何をどうしたら千尋を救えるのか見当もつきませんでした。
謎の連続不審死
そんな時、叔父が心臓マヒで死亡。
さらに千尋の同級生や教師も謎の死を遂げ、嫌な予感を覚えた由香里は千尋に会いに行きますが、その道中でイソラを見つけます。
イソラは幽体離脱して怨念のように人に憑りつき、心臓を意のままに止めようとしていたのです。
しかも、千尋の他の人格はイソラに毒されて由香里に対して非協力的になり、このままでは犠牲者を増やす一方です。
由香里は千尋に興味を持っていて、阪神淡路大震災で亡くなった心理学者・高野の同僚の真部に接触し、少しずつ今回の事件の概要を理解してきます。
イソラについて、由香里は大きな誤解をしていたのでした。
感想
練られた設定
エンパスの主人公と多重人格の少女。
これだけでも面白い物語を想像できる設定ですが、本書では細かい設定に至るまでよく練られています。
千尋には十三もの人格が存在しますが、どの人格に関してもちゃんと生まれた理由があり、特徴があります。
千尋という少女を描くにあたって十三の人格を巧みに使い分けていて、そこがまずうまいと感じました。
それから、それぞれの人格の名前の漢字には意味が込められていて、より興味をそそられるように設定されています。
しかもこの名前によって危険とされる人格『ISOLA』の正体を誤認することになったので、読者に伝わるエンタメに仕上げるのが初期の頃から上手かったんだなと感心させられました。
戦うヒロイン
由香里は主人公でありヒロインのような立ち位置ですが、守られるだけの弱い存在ではありません。
逆に大切な人を守るために勇気を出せる人で、戦うヒロインといえます。
系統は違いますが、澤村伊智さんの『比嘉姉妹シリーズ』に登場する比嘉真琴を思い出しました。
気丈に振舞う場面もあれば、真部に対して年相応の女性の部分をのぞかせることもあり、非常に魅力的に描かれています。
結末が良い
僕は特に結末が気に入っています。
詳しいことは書きませんが、スッキリ終わらない、不吉な予感を残した終わり方が印象的で、自分の中で物語が続いているような余韻がたまりませんでした。
おわりに
貴志さんのホラー作品はどれも違った魅力がありながらも、どれもただ過激な描写で怖がらせようとしないところに共通点があり、本書もそのうちの一作品です。
『黒い家』、『天使の囀り』などにはまったという人であれば、本書も読んで間違いありません。
ぜひデビュー作という先入観を抜きにして楽しんでもらえたらと思います。
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