サスペンス
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小野不由美『屍鬼 2巻』あらすじとネタバレ感想!村を襲う不吉な予感がますます加速する

harutoautumn
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「尋常でない何かが起こっている」。死者の数は留まるところを知らず、村は恐怖の連鎖に陥っていた。山々に響き渡る読経、毎日のように墓場に消えていく真白き棺。さらにそのざわめきの陰で、忽然と姿を消している村人たちがいた―。廃墟と化した聖堂に現れる謎の少女。深夜、目撃されるトラックの残響。そして闇の中から射る、青白い視線…。目が離せない展開、戦慄の第二幕。

「BOOK」データベースより

『屍鬼』の第二巻です。

前の話はこちら。

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前巻ではあまりに多い死者数に疑念が生じ、外場村で何かが起きていることがほのめかされた状態で終わっています。

本書においてはその不安をさらに膨らませた内容になっていて、やや中だるみが見られますが面白い展開になってきました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

あらゆる検討

あまりに人が死に過ぎるため、敏夫と静信は原因を考えます。

敏夫は医学方面から検討しますが、既存の伝染病には当てはまらず、多くの死者に共通しているのが貧血症状から始まって数日中に一気に容態が悪くなって亡くなることだけ。

死因も何らかの臓器異常、不全など人によって様々で、原因を突き止めるまでには至りません。

静信は亡くなった人の行動を調査して、この謎の病気が感染する際のルートを探りますが、こちらも一向に成果は出ませんでした。

急な引っ越しと退職

外場村では急な引っ越しと退職があり得ないほど急増していました。

誰にも何も言わずに引っ越していく村民。

唐突に退職したいと申し出て、そのすぐ後に亡くなる村民。

引っ越しはともなく、静信は謎の死の原因と退職の間に何らかの関係があるのではと考えますが、医師である敏夫からすれば信じられない話で、本書においては一定の結論は出ません。

不思議な少女

誰も住んでいなかった兼正の家に、桐敷家が越してきます。

両親と娘の沙子(すなこ)、使用人の辰巳にお抱え医の江渕など大所帯で、妻と沙子は全身

性エリテマトーデスを罹患しているものの、一見、何の問題もなさそうに見えます。

一方で、桐敷家の引っ越しの前後から一連の騒動が起きているため、彼らに対して不信感を抱く住人は多くいました。

沙子は数少ない静信の小説のファンで、彼が廃墟と化した教会で一人の時間を過ごしている時、よく顔を出すようになります。

十三歳にも関わらず大人びていて、時に静信も舌を巻くほど難しい言葉で話します。

それでいて子どもらしい一面も持ち合わせていて、不思議な雰囲気をまとっています。

起き上がり

結城夏野は有り得ない人物を目撃します。

それは、一連の出来事の中で亡くなったはずの清水恵でした。

見間違いかもしれない一方で、それが本当に恵だとすれば、死者が甦った、つまり起き上がったということになります。

夏野は外場村で誰よりもその可能性に早く気が付き、独自に調査を始めます。

感想

嫌な予感がさらに広がる二巻

前巻に引き続き、多くの人がほとんど前触れもなく次々に亡くなります。

あまりに連日のように亡くなるので悲しいと思う暇すらなく、村民の間にはただ動揺が広がります。

それだけに留まらず、急な引っ越しに退職も相次ぎ、伝染病では片付けられない何かが起きていることは確実。

兼正の家に引っ越してきた桐敷家も一見友好そうに見えますが、村民からの不信感がなくなったわけではありません。

事態をうまく飲み込めず、村民の中には桐敷家が一連の騒動の原因だと考える人もいます。

起承転結でいう『承』に当たる話で、次巻に向けてまだまだ助走しているという印象を受けました。

散りばめられたヒントの数々

敏夫と静信が懸命に調査しても説明できないことが多くありますが、少しずつ死の共通点が見えてきます。

貧血の症状から始まる臓器不全による死。

急な引っ越しと退職。

姿を見せてもなお謎を秘めている桐敷家。

夏野が目撃した恵の姿。

これらのヒントが次巻以降に活かされるので、ミステリ好きの人はここで自分なりに仮説を持って次巻以降を読むとより楽しめると思います。

やや盛り上がりに欠ける

前巻に引き続き、面白かったです。

面白かったのですが、やや平坦すぎて盛り上がりに欠けていました。

ここまで連続して人が亡くなると、主要人物でなければほとんど衝撃を受けなくなります。

失礼な話ですが、『あ、またか』とこの程度にしか思いません。

作品として、事例が増えることで死の関連が見えてくるので意味はあるのですが、何度も調子が悪くなる→いきなり亡くなる→法事の段取りをつける→村民が噂話する、の流れを見せられるのは正直しんどかったです。

文庫本で五〇〇ページ近くあるので、全部にちゃんと付き合おうとするとなかなか骨が折れます。

正直、読み飛ばして後で困るシーンはそう多くないので、ある程度流し読みでも問題ありません。

次巻以降、グッと面白くなるので、ここはなんとか耐えて欲しいと思います。

おわりに

嫌な予感が増すばかりで終わった本書。

本格的に面白くなるのは次巻以降なので、ぜひここで心を折られずに、気楽に読んでもらうと良いかもしれません。

もちろん雰囲気づくりなどかなり丁寧に作り込まれているので、それを楽しむのもオススメです。

次の話はこちら。

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