『カエルの楽園2020』あらすじとネタバレ感想!新型コロナウイルスの蔓延する世界を描いた寓話
二匹のアマガエルがたどり着いた夢の楽園は悲劇的な末路を迎えたはずだったが、悪夢の翌朝、二匹はなぜか再び平和な地にいた。今度の世界では、ウシガエルの国で「新しい病気」が流行っていたが、楽園のカエルたちは根拠なき楽観視を続ける。しかし、やがて楽園でも病気が広がり始め……。国難を前に迷走する政治やメディアの愚かさを浮き彫りにし、三通りの結末を提示する、警告と希望の書。
Amazon商品ページより
新型コロナウイルスが世界中に広がり、僕らの生活は一変しました。
各メディアは連日このことを報道しますが、言っていることはコロコロ変わり、何を信じていいのか分からない状況です。
SNSなどでも不安を煽るようなデマも流れているので、誰もが不安を抱えて生きているのではないでしょうか。
そんな中で、百田尚樹さんは新型コロナウイルスの広がった世界を別の形で描けないかと考え、その結果、生まれたのが本書です。
2016年に書かれた『カエルの楽園』の続編としての寓話という形をとっていて、『シリーズものは書かない』という百田さんの信念を曲げてでも書きたいという熱意が感じられる内容になっています。
元々はネットで公開されていましたが、読者の数々の要望によって書籍化が決まったことからも、今の時代に求められていることが分かります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
どこか違う世界
『カエルの楽園』のラストから始まります。
アマガエルのソクラテスとロベルトは、ウシガエルに占領されてしまったカエルの楽園『ナパージュ』を去る決意をして、翌日を迎えます。
ところが、二人を奇妙な出来事が待っていました。
ウシガエルに殺害されたはずのツチガエルのローラが生きていて、二人を知るはずのツチガエルたちは誰も二人のことを覚えておらず、去ったはずのワシのスチームボートもまだナパージュにいました。
考えた末に、ソクラテスたちは何らかの理由で過去に戻ったのだと結論付けます。
しかし、この世界は二人の知る過去とは微妙に違っていて、その違いを少しずつ確かめます。
ソクラテスたちはナパージュをウシガエルに占領されないよう立ち上がります。
新しい病気
ソクラテスたちが知っている過去よりも、ナパージュはウシガエルと仲良くしていました。
しかしウシガエルの凶暴さは二人が知るそのままで、何者かの利益ありきの思惑が見え隠れしています。
ここからどう行動するのかを考えなければいけませんが、問題はこれだけではありませんでした。
ウシガエルの国で『新しい病気』が流行り出したのです。
早い段階で新しい病気の怖さを訴え、予防とウシガエル招致反対を訴えるカエルもいました。
しかし誰も彼の言葉に耳を傾けず、議会はウシガエルを招致する方向にどんどん傾いていきます。
楽観的な意見がナパージュを包む中、新しい病気はナパージュに持ち込まれ、誰も予想していなかった悲劇を生むことになりました。
三つの結末
本書には三つの結末が用意されています。
一つは、ソクラテスたちの努力も虚しく、悲劇を迎えてしまった世界。
一つは、百田さんが現実世界の現状(執筆当時)と打開策を訴えかけるもの。
そして最後は、ナパージュを救うためにはどうしたら良かったのか。
それを描いた結末です。
後ろ二つの結末は書籍化に当たって追加されたもので、それがあることで本書のメッセージが高められ、読者に与える影響が大きくなっています。
感想
寓話の良さ
本書は寓話ということで、主な登場人物はみなカエルで、人間は登場しません。
それによって現実の事柄はカエルの世界のことに置き換えられ、生々しい嫌な話がかなり和らげられています。
政治的な話が苦手、嫌いという人でも読める内容になっています。
一方で、現実世界では複雑に絡み合っている問題が、寓話にすることでかなり簡略化されています。
当然、そんなに簡単な問題ではありませんが、理解する上での取っ掛かりになってくれます。
新型コロナウイルスの広がった世界のこと、それに対して思うことをただ書くのではなく、受け手にどのように伝えたいのかまで考えた上でこのスタイルを選んだ配慮がとても素晴らしいと思いました。
正直、作家を抜きにした百田さんはあまり好きではありません。
しかし、本書を読んで作家として非凡で、魅力的な人であることを改めて実感しました。
捉え方は人それぞれ
本書を読んで、読者はどのように思うでしょうか。
単純にカエルの世界のこととして捉えるかもしれないし、現実世界とのリンクを一つずつ確かめ、今を正しく理解するためのツールとして利用するかもしれません。
僕は前者です。
政治的なことはあまり分かりませんが、そんな僕でも本書で描かれたことのいくつかは現実世界と結びつけることが出来ました。
ちゃんと調べれば、本書の意図するところがしっかり理解できると思います。
しかし、そうはしませんでした。
単純に面倒で、正しく理解したところで僕がこの新型コロナウイルスに対して出来る最善を尽くすというスタンスは変わらないからです。
そして、本書が一つの作品として面白かったからです。
自分の利益を優先して常識が通じない議会。
誰もが不安を抱き、大きな声を出す人の言う事を鵜呑みにしてしまう状況。
そんな世界がどんな結末を迎えるのか、どうしたらもっと良い結果を迎えることが出来たのか。
新型コロナウイルスのことを抜きにしても読んで面白い寓話ですので、変な先入観を持たずに読むと良いのではないでしょうか。
希望がある
本書は厳しい状況を描くだけではありません。
三つの結末の中で、しっかりと希望を提示してくれます。
もちろんそれは一つの考え方で、正しい選択だとは限らないし、世界が良い方向に進まないかもしれません。
しかし、僕は淡々と書かれた最後の結末に確かに希望を感じました。
今を頑張って、これまでの生活、それ以上の未来を迎えたいという気持ちがあれば、まだやれることはいくらでもあるのだと思うことが出来ました。
僕一人ではどうすることも出来ませんが、本書を読んで一人でも多くの人が胸に希望の抱いてくれれば、何かが変わると信じています。
おわりに
正直、政治臭がして手を伸ばすことを躊躇しました。
しかし、読んで本当に良かったと思います。
本書の意図を正しくくみ取るのも良いし、一つの寓話として楽しむのもアリだと僕は考えます。
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