『太宰治の辞書』あらすじとネタバレ感想!大人になった私の周囲にある謎を描いたシリーズ第六弾
みさき書房の編集者として新潮社を訪ねた《私》は新潮文庫の復刻を手に取り、巻末の刊行案内に「ピエルロチ」の名を見つけた。たちまち連想が連想を呼ぶ。卒論のテーマだった芥川と菊池寛、芥川の「舞踏会」を評する江藤淳と三島由紀夫……本から本へ、《私》の探求はとどまるところを知らない。太宰が愛用した辞書は何だったのかと遠方にも足を延ばす。そのゆくたてに耳を傾けてくれる噺家。そう、やはり「円紫さんのおかげで、本の旅が続けられる」のだ……。《円紫さんと私》シリーズ最新刊、文庫化。
Amazon商品ページより
シリーズ第六弾となる本書。
前の話はこちら。

前作から十七年ぶりの新作ということで、リアルタイムでシリーズを追っていた人にとっては信じられないような気持ちだったのではないでしょうか。
個人的には米澤穂信さんの小市民シリーズ最終作が出た時の感動に似ているのかな?なんて思っています。
本書では現実世界と同様、前作からかなりの時間が流れていて、はじめから相当な衝撃でした。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
時の流れ
本書では、前作から大きく時間が流れています。
私は結婚していて、相手のことを『連れ合い』なんて表現しています。
さらに野球部に所属する中学生の息子がいて、関係も良好そうであることがうかがえます。
私は変わらずみさき書房に勤めていて、天城が上司として、ポイントではありますが円紫さんも登場し、変わっていない安心感も与えてくれます。
結末の違い
ここで登場するのは芥川龍之介の『舞踏会』です。
芥川の作品には結末が書き換えられている作品があり、最も有名なものが『羅生門』です。
そして、この『舞踏会』もまた初出時と単行本で結末が異なります。
なぜ結末を書き換えのか、という謎に対して私は挑戦します。
感想
帰ってきた私の物語
十七年ぶりの新作ということで、シリーズをずっと追いかけてきた人にとってさぞ衝撃的だったと思います。
僕は時間を置かずに本書を読んだので、新作というよりも、私含めた登場人物たちがかなり年を重ねていたことに驚いてしまいました。
恋愛とは縁遠そうだった私に連れ合いがいて、中学生の息子がいる。
正子には高校生になる子どもがいて、一気に僕の年齢を追い越してしまいました。
一方で、様々な描写でちょっとしたことに気が付ける瑞々しい感性が衰えていないこと、時間が経っても変わらない関係があることも分かり、シリーズを通して流れていた上質さを再び味わうことができました。
入り込みにくかった
変わらない上質な日常に、僕は満足しています。
一方で、なかなか物語に入り込めないと感じていて、それは本書で提示される謎に対して必要のない描写が多かったことが理由かもしれません。
元々、本シリーズは必要性だけで描かれておらず、謎解きには関係ない私のさりげない心情や誰かとのやり取りも取り入れているので、本書で大きく変わったわけではありません。
しかし、時間経過に応じて、変わったことが描かれるものの、謎とは関係がないので、謎は謎で背景含めてたっぷり描写されます。
そうすると、途中からこの描写を読んでも謎の解明は進展しないのでは、なんて無粋な気持ちが出てくるようになりました。
これは僕が本書の持つ上質さを受け取るだけの余裕がないからかもしれませんが、似たような感想を寄せている人も一定数いたので、決して外れ値的な感想ではなさそうです。
日常に潜む謎は良いけれど、文学的な謎になると、日常パートが足を引っ張っているように感じてしまう。
時間を置いて読めば、この感覚も変わるのかなと、今は淡い希望を抱いています。
おわりに
本書刊行から八年ほど経過するので、これがシリーズ最終作になるかもしれません。
前例を考えるとまだ新作が出る可能性はゼロではないけれど、読まない方が良い思い出で終わるような気もするし。
複雑な気持ちです。
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