『チョコレートコスモス』あらすじとネタバレ感想!残酷で美しい演劇の世界を描いた名作
芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを―。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。
「BOOK」データベースより
オーディションの話を書きたい。
そこから着想を得て生まれた作品で、ガラスの仮面のオマージュとなっています。
本番ではなく練習やオーディションがほとんどを占めているのに、その描写は残酷で美しくて、演劇という文化の果てない魅力をこれでもかと表現しています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
チョコレートコスモスとは実際にある花の名前で、名前の通り、茶褐色をしたコスモスです。
そもそもコスモスという花はギリシャ語の『kosmos(美しい)』が由来となっていて、ここから宇宙を意味する『cosmos』と呼ぶようになりました。
ピンク色のコスモスに華やかさでは叶わないチョコレートコスモスですが、そこに何かを感じ、脚本家の神谷はその名前を次の芝居のタイトルにするのでした。
あらすじ
無名の天才
W大一年の佐々木飛鳥は、芝居未経験で演劇研究会から外れた者たちだけで集まる団体に入部。
その演技は圧倒的で、どんな役にもすぐになれる才能を持っていました。
見る者を圧倒し、時には演目の空気を徹底的に壊す天才。
はじめての公演でもその存在感を示し、賛否両論を得ます。
彼女の圧倒的な演技は演劇関係者の目にも止まり、様々な段階を越えていきなり大きなステージに立つことになります。
オーディション
伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎。
彼の企画する芝居のオーディションが開催されると噂が立ち、芹澤が厳選した女優やアイドルに声が掛かります。
しかし、今が旬の若き天才・東響子には声が掛かりませんでした。
納得のいかない響子はオーディション会場に乗り込み、参加できないものの芹澤とともに内緒でオーディションの様子を見学します。
そこには飛鳥の姿もあって、その演劇は響子にとっても衝撃的なものでした。
響子の迷いは払拭され、二次オーディションの相手役として抜擢されることになりました。
どこまでも続く世界
飛鳥含めた四人の女優やアイドルと、響子が一つの演目を行う二次オーディション。
そこには目に見えない駆け引きや攻防があり、見る者には分からない動揺や恐怖、そして興奮がありました。
響子は三人の参加者との演目を終え、ついに飛鳥と同じステージに立ちます。
そこで繰り広げられたのは、飛鳥も響子も知らなかった演劇の無限の可能性でした。
感想
文字の表現の自由さ
最近話題になった『蜜蜂と遠雷』もそうでしたが、まるで目の前で演劇が繰り広げられるようなリアリティ、存在感が本書にはありました。
これは決して僕の想像力が豊かなのではなく、恩田さんの文章が僕をその世界に引きずりこんだのです。
ほとばしる熱気。殺気立った演者の視線。戸惑い、恐怖、興奮。
文庫版で五〇〇ページを超える長編にも関わらず、気が付けば作品にのめり込み、あっという間に読み終えてしまいました。
文字だけでここまで表現できることに驚き、小説の持つ無限の可能性に感動すら覚えました。
天才の底が知れない
一般的に、天才を描くことは難しいとされています。
常人には考えの及ばないことをさせた結果、陳腐になったり意味が分からなかったりして違和感を与えてしまうからです。
しかし、恩田陸さんは佐々木飛鳥という天才を見事に描き切りました。
もちろん対となる響子もまぎれもなく才能を持った人なのですが、飛鳥はもっと理解が及ばない超人的な何かを持っているように感じました。
恩田さん自身も飛鳥を描くことに苦労し、これからの先の彼女に関して皆目見当がつかないと困惑していることからも、本書が並々ならぬ苦労と情熱で執筆されたことがうかがえます。
そんな本気のこもった作品に出合えることなど年に一回あるかどうかなので、読書家としてこんなに嬉しい作品はありません。
おわりに
本書で天才の圧倒的な魅力を見せつけられ、改めて恩田陸という天才の底の知れなさを実感しました。
小説にも先の見えない可能性と魅力がある。
本書を読むとそんな風に思えてきて、読書がまた一段と楽しくなりました。
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