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『暴虎の牙』あらすじとネタバレ感想!孤狼の血から続くシリーズが堂々完結

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「極道がなんぼのもんじゃ!」博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原――。愚連隊「呉寅会」を束ねる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、その情報網から、呉寅会と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の臭いを嗅ぎ取る。賭場荒らし、シャブ強奪……酷薄な父からの幼少期のトラウマに苦しみ暴走を続ける沖を、大上は止められるのか?

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広島呉原最大の暴力団・五十子会と、愚連隊「呉寅会」を束ねる沖虎彦との一触即発の危機に、マル暴刑事・大上章吾は間一髪で食い止めることに成功、沖は収監されることに。時は移り平成の世、逮捕直前に裏切った人物に報復を誓い沖はシャバに戻るが、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖の暴走を止めるべく動き出す。果たして沖の運命は? 最強の警察小説「孤狼の血」シリーズ完結編!解説・白石和彌(映画『孤狼の血』監督)

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『孤狼の血』から始まったシリーズの第三弾にして完結編となる本書。

前の話はこちら。

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前後半で時代が大きく異なり、予想外の展開に驚かされました。

時代の移ろいと共に警察やヤクザを取り巻く環境が大きく異なり、彼らはどのような道を進むことになるのか。

読むと様々な感情が溢れて、改めてこのシリーズを読めたことに感謝したくなりました。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

獰猛な虎

第一作『孤狼の血』より約六年前に話は遡ります。

暴力団係の刑事である大上は、喫茶店でちょっとしたトラブルに遭遇します。

ケンカの片方は大上の知る暴力団・笹貫組の関係者でしたが、その相手の若者三人に大上は見覚えがありませんでした。

後に沖虎彦、三島孝康、重田元だと判明。

沖の父親は呉原最大の組織・五十子会の組員をしていましたが、七年前に姿を消していました。

沖は呉寅会という愚連隊を率いる頭で、ヤクザ相手でも恐れることなく襲い掛かる獰猛さを持っていて、恐れられていました。

しかし、五十子会のシマを荒らしたことで呉原にいられなくなり、広島に流れてきました。

さらに今度は広島で綿船組が仕切る賭場を荒らし、その二次団体である笹貫組からも追われていました。

正体が知られていないとはいえ、見つかれば命はありません。

大上は無謀ともいえる沖に興味を持ち、彼のことを調べ始めます。

目的

大上は事故によって妻と一歳の息子を失っていました。

しかし状況から故意の殺人であることは明らかで、大上の存在を疎ましく思う五十子会の仕業でした。

その日以来、大上は五十子会を壊滅させることだけを目的にして生きてきました。

そして、そこに沖が登場します。

沖を利用すれば、五十子会に打撃を与えられるかもしれない。

そう考えた大上は事あるごとに沖に近づき、それとなく思う方向へ誘導します。

一方、はじめは大上のことを疎ましく思う沖でしたが、次第にその生き様に嘘がないことを感じ、自分と似ている部分も見出すのでした。

激変

沖率いる呉寅会は勢力を伸ばしますが、その翌年に状況は一変します。

そして時代は移ろい、平成十六年。

大上が亡くなったことを知った沖は墓参りに訪れ、そこで大上の遺志を継いだ日岡と出会います。

警察とヤクザを取り巻く環境が激変した中で出会った大上を知る二人の男。

これまでのやり方が全く通じない時代において、日岡と沖はどのようにして自分を貫くのか。

どれだけ時代が変わっても自分を貫くしかない不器用な男たちが、本書には描かれています。

感想

懐かしさと寂しさ

本書の開始直後、懐かしい姿に思わず感激の声が出ました。

大上がまだ生きているのです。

日岡に出会う前の話で、大上の活躍が見られるだけで本当に嬉しかったです。

本書では大上は沖に目をつけ、復讐のための道具としてだけでなく、一人の男として気に入った様子が見受けられました。

これは『孤狼の血』でいう大上と日岡の舎弟コンビのようなもので、懐かしさを堪能しながら読むことができました。

一方で、日岡と沖が邂逅する頃には時代がすっかり変わり、ヤクザはこれまでのようには生きられない時代になっていました。

一般市民の視点に立てば、平和で安心して暮らせる幸せな世の中です。

しかし、本シリーズを通じて悪事に手を染めながらも曲げない信念と厚い人情を見せてくれたヤクザ見てきた僕からすると、勝手ながら寂しいという感情が湧いてきました。

前後半で全く違う感情が湧きあがる本書。

完結編にふさわしい一冊だったと思います。

細かい伏線回収

『孤狼の血』において、大上が被っていた白いパナマ帽。

あれがどのようにして彼の手に渡ったのかが本書にて明らかになります。

本筋とは関係ない部分ですが、ファンとしては非常に嬉しい伏線回収でした。

本書を読んでから『孤狼の血』を読み返すと、違った視点からもう一度本シリーズを楽しめそうです。

やや消化不良

おおむね満足のいく内容でしたが、多少の不満があることも事実です。

終盤、かなり駆け足で話が進み、すっぱりと終わります。

沖の物語としては良い幕引きだったかもしれません。

しかし、日岡の見せ場が少なく、大上の遺志を継いだ彼というシリーズ屈指の存在がかすんでしまったのが残念でなりません。

一方で、シリーズとしては何十年にもわたっている話なので、続編を書くのはそう難しいことではない気がします。

蛇足にはなってほしくないですが、大上や日岡の活躍をもう一度見てみたいと身勝手ながら思わずにはいられません。

おわりに

これだけ重厚な世界観を女性で書ききった柚月さんは本当にすごいと思います。

彼女の中にも大上や日岡のように揺るがない信念があり、それを燃やして物語を書いていることが伝わる超大作でした。

柚月さんの名作は本シリーズ以外にも本当にたくさんあるので、これからも追いかけ続けたいと思います。

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