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『ばくうどの悪夢』あらすじとネタバレ感想!極楽の悪夢が忍び寄る

harutoautumn
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眠れば、死ぬ――

東京から父の地元に越してきた「僕」は、何かに追われる悪夢に悩まされていた。夢で傷付いた箇所に、現実でも現れる謎の痣。急死した同級生の遺体にも同じ痣を見つけた「僕」は、父の幼馴染の野崎と妻の真琴に助けを求める。彼らの調査と対策で「僕」や同級生らが件の悪夢を見ることはなくなり、事態は解決したかに思われた。しかし、今度は「僕」の夢に「比嘉琴子」と名乗る女性が現れ――。

Amazon商品ページより

比嘉姉妹シリーズ第八弾となる本書。

前の話はこちら。

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夢という人間が最も無防備になる時。

本書は夢の特性をフルに活かし、それでいて読者に納得感を与える見事な構造をしていて、最後まで目が離せませんでした。

本書に関する澤村伊智さんへのインタビューはこちら。

澤村伊智さん「ばくうどの悪夢」インタビュー 眠りの世界に忍び寄る、死の恐怖

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

この世の地獄

兵庫県東川西市T台にある東川西総合病院。

中年の男が妊婦やその胎児と子ども、職員含めて大量に殺害します。

冒頭、数ページにわたり残虐な描写が続きますが、そこで男は謎の笑い声を聞いていました。

片桐軍団

僕は東京から東川西市T台に引っ越してきました。

居酒屋で両親の小中学校時代の同級生やその子どもたちと顔を合わせます。

親たちは僕の父親・片桐孝朔を中心とした片桐軍団を組んでいて、その集まりでした。

僕は地方の閉鎖的な価値観やノリに今でも慣れることできず、常に疎外感を抱いていました。

悪夢

僕は悪夢に悩んでいましたが、ある日起きると、蛇の鱗のような痕が体についていることに気がつきます。

そんな時、同級生の早坂彬良が急性心不全で亡くなり、体には僕と同じ痕がついていました。

加えてその痕は同じく同級生の樋口由愛、伊庭劉にもついていて、しかも他の人には痕が見えません。

悪夢と何か関係しているのか。

得体の知れない恐怖に震える中、僕の父親はこの件の適任者として、片桐軍団の一人を紹介してくれます。

それがシリーズでお馴染みの野崎で、真琴も一緒でした。

感想

澤村さんの集大成

比嘉姉妹シリーズの長編としても久しぶりでしたが、個人的には『ぼぎわんが、来る』に匹敵する面白さを恐怖を覚えました。

部分によっては超えているとすら思えます。

田舎という閉塞的で価値観が多様性が許容されにくい空間。

行き場がなく、そこで適応していくしかない辛さ。

コンプレックスを抱えたまま大人になって、その鬱屈とした感情が放たされた時の強烈さ。

どれをとっても澤村さんならではの持ち味が光っていて、序盤は読み進めるのが辛かったです。

もちろん後でそういった描写や設定が納得いくものがあったので、自分の中で上手く消化できることができました。

登場する『ばくうど』も最後まで正体が不明確で、いつまでも油断できないところが良かったです。

結末を見届けないと、僕も悪夢に襲われるのではと。

いい年した中年がと思いますが、それくらい面白かったことを改めて強調しておきます。

刻みこむような読書

本書で一番強く感じたのは、読む作品ではなく読者に強制的に刻みこむような作品だということです。

途中からは僕の意思でやめるという選択肢はなく、どれだけ適当に読もうと思っても目が文章を拾ってしまい、強制的に描写が頭の中に流れ込んできます。

これ自体がもはやホラーなのでは?と気づいて怖くなりました。

何も信じられなくなる

本書は夢という特性をこれでもかと活かしていて、読んだ人であればこれは本当に現実なのか?と疑うことをやめられないはずです。

それくらい本書は何度も読者を奈落の底に落とすし、そこから這い上がれるよう絶妙に手心を加えてくれます。

結果として、五〇〇ページ超えでしたが、もっとボリュームがあっても良かったのに、と思えるくらい面白かったです。

もしかしたら次巻くらいで夢から覚めるのでは?なんて妄想もしたくなりました。

そして複雑な構成ゆえに、二度目の読書がめちゃめちゃ面白いです。

幾重にも張り巡らされた伏線に気が付きながら読む本書もまた面白く、正直単行本の時点で買えば良かったと後悔したくらいです。

おわりに

ちょうど澤村さんのデビュー十周年に対するXのコメントも見たせいか、ホラー作家としての意地と覚悟が感じられました。

読者としてはひたすら買っては読み、最後までついていくだけです。

余談ですが、単行本の表紙がかなり好みだったので、文庫版でいつもの文庫版テイストになってしまったことがやや残念でした。

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