著作100冊目前、全世界一億部を突破!日本で、世界でその人気を誇る東野圭吾。ミステリーもファンタジーも、シリアスもコメディも、すべてをベストセラーにしてきた大人気作家の35年間は挑戦の連続だった。25周年版公式ガイドに新作の自作解説を加え、貴重なロングインタビューを収録した決定版!
「BOOK」データベースより
作家として三十五周年を迎え、今や不動の地位を確立した東野圭吾さん。
本書にはデビュー作から『クスノキの番人』までの九十六作品について、東野さんのコメントが全て掲載されていて、作品に込められた思いや執筆に至るまでの経緯が書かれています。
ファンであればこれほど読んで楽しいものはありませんし、これから作家を目指す人、それ以外でも何か創作に打ち込んでいる人にとってたくさんのヒントが隠されていますので、挑戦している人にはぜひ読んでほしい一冊です。
この記事では、本書の感想を書いています。
特にネタバレというものはありませんが、内容に言及している部分もありますので、未読の人はご注意ください。
感想
ファンでなくても必見
九十六作品それぞれに寄せられた東野さんのコメントがとにかく読んでいて興味深かったです。
自信満々に世に送り出したのに、売れなかった作品。
何気なく書いたら、何だか売れた作品。
作家としての苦悩や葛藤が見られ、どんな作品でも簡単に生み出せたものなどないことを再認識させられました。
鳴かず飛ばずの時代があることは知っていましたが、こんなに作品を出しても評価されないのかと自分も苦しくなってしまいました。
その後、挫けず書き続けることで東野さんは今の地位を獲得したわけですが、勝負はそこで終わりではありません。
売り上げを維持することは成長なしでは成し遂げられず、知らないことを吸収して作品に昇華させないといけません。
終わることのないレースの孤独と辛さ。
読書の予想を上回る驚きを与えられた時の喜び。
東野圭吾という作家の人生が凝縮された一冊です。
ファンであれば必見です。
それだけでなく、何かに挑戦する人にとっても支えになる一冊だと考えます。
読書が二倍楽しくなる
東野さんの作品はとにかくとっつきやすい。
それでいて読めば読むほど奥に引き込まれ、読む前では想像もつかなかった充足感をくれる。
ミステリだけにとどまらず、あらゆるジャンルでも器用にこなす。
僕は読書が好きでない人に作家さんを薦めるとしたら、間違いなく東野さんの作品を薦めます。
世間では東野圭吾を好きなやつは読書好きでないとか、ミステリ好きを名乗る資格はないという人もちらほらいますが、それはただの決めつけです。
どんな読者にも受け入れられる、響く良作、名作が多く、こんなに好きになって間違いのない作家さんはいません。
そして、本書にはそれぞれの作品に対する東野さんの思いが書かれていて、これがとにかく面白いです。
明らかに思い入れのない文量のものもあれば、思い入れが強すぎてめちゃくちゃ説明している作品もあります。
特に読了後だと自分のイメージと東野さんの思い入れのギャップが生まれると思うので、読んだ後に本書を読み、もう一度読むとその作品を二倍楽しめます。
それか、東野さんの作品をこれから読むという人が、本書を読んで自分に合った作品を探すのも良いかもしれません。
おわりに
第1回野間出版文化賞を受賞した時のスピーチが最後に掲載されていますが、とても噛み締めながら読ませてもらいました。
六十歳を超えても東野さんの目は未来を見据えていて、悔いのないように生きる気概に感銘を受けました。
今日が、人生で一番若い日。
この言葉を胸に生きて、悔いのない人生にしたいと強く思いました。
東野圭吾さんのランキングを作りました。