『ありえないほどうるさいオルゴール店』あらすじとネタバレ感想!心に流れる音を表現する短編集
「あなたの心に流れている音楽が聞こえるんです」――北の小さな町にあるその店では、風変わりな店主が、お客様のために世界にひとつだけのオルゴールを作ってくれる。耳の聞こえない少年。音楽の夢をあきらめたバンド少女。妻が倒れ、途方に暮れる老人……。彼らの心にはどんな曲が流れているのでしょう? 思わず涙がこぼれる、幸せ運ぶ7編。
Amazon商品ページより
とあるオルゴール店を舞台にした短編集。
客の心の中に流れる曲が分かる店員と、その曲が意味する客の心理状態。
短編なので短く読みやすいですが、一つの物語に温かい思いが通っていて、読んでいて気持ちの良い作品です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
よりみち
美咲は、三歳の息子・悠人に手を引かれてとあるお店に入ります。
そこにはたくさんのオルゴールが並んでいて、店員の男性は二人を快く迎え入れてくれました。
美咲は悠人のために一つオルゴールを買うことにしますが、そこで不思議なことを言われます。
店員の男性は、客の心の中に流れている曲を聴き、それをオルゴールの曲に選べるのだといいます。
美咲は気に入らなければ返品すればよいと了承しますが、そこで驚くべきことが起きます。
はなうた
順平は恋人の梨香と大学時代から良好な恋人関係を築いてきたつもりでしたが、ひと月前、彼女は実家に戻ると行ったきり、帰ってきません。
故郷が嫌いと言っていた梨香。
言葉にはしていませんが、面倒なことのために帰ることが推測できました。
順平は彼女が帰省する前に、二人がはじめて旅した場所への旅行を提案しますが、直前になって断られてしまい、今は順平一人で旅行しています。
何がいけなかったのか。
そんなことを考えながら、順平は目についたオルゴール店に入ります。
おそろい
歩美、萌、水原の三人は旅行をしていました。
三人は大学に入ってすぐバンドを組み、そこにはボーカルの瑠歌もいました。
瑠歌は音楽に対してこだわりが強いため、四人は四年間で何度もケンカをしましたが、それでも上手くやってきました。
それが上手くいかなくなったのは、進路の話で瑠歌と三人で行く先が分かれたからです。
このバンドで夢を見続けたい瑠歌と、現実を生きる三人。
三人は瑠歌のことを引きずった状態で、あのオルゴール店に入ります。
ふるさと
三郎は故郷が嫌いでした。
一番の理由は父親で、漁師の彼とはどうしても分かり合うことができませんでした。
そのまま父親は亡くなり、三郎は仕方なく帰省することにします。
実家に寄る前、三郎はかつて通い慣れた街に泊まることにして、そこにあのオルゴール店がありました。
バイエル
香音はうるさいのが大の苦手で、幼稚園では周囲の騒音に悩まされていました。
そんな時、香音はピアノと出会い、格段と生活しやすくなります。
それから香音は南先生からピアノを習うことになり、母親はそんな彼女に過大な期待を寄せます。
しかし、香音は自分の音に元気がないことに気が付いてしまい、はじめてレッスンを無断で休んでしまう。
これからどうすれば良いのか。
途方に暮れている時、香音は音に導かれ、オルゴール店に入ります。
おむかい
オルゴール店の向かいにある喫茶店。
そこで働く瑞希は、常連として店を訪れるオルゴール店の店員を『ムカイさん』と心の中で呼んでいました。
店長は男前だというけれど、タイプではない。
ただの店員と客という関係でしたが、ムカイさんのとある依頼により、その関係にちょっとした変化が訪れます。
おさきに
康則の妻・絹子は脳卒中で二週間前に倒れ、入院してしまいます。
幸い、命に別状はありませんが、記憶に影響があり、二人はそのことを他の人に悟られないようにしていました。
康則は絹子の退院祝いに何か買おうと街を歩き、偶然、二人でかつて行った喫茶店を見つけます。
今度こそ場所を忘れないようにしようと思っていると、向かいにあるオルゴール店に気が付きます。
感想
心温まる物語
音楽は生活に非常に密着していて、誰の心にも思い出の曲だったり、いつも流れている音楽が何かしらあると思います。
本書は、それを見抜くオルゴール店の店員と、お店を訪れる客が中心となって描かれているのですが、優しく染み渡るような物語でした。
読者でも予想がつくような音楽であることもあれば、一見客と全く関係がない音楽に見えて、実は過去の大事な、あるいは何気ない場面で流れていたこともあり、それは人によって様々。
でも、共通してどの音楽にも客の思いが詰まっていて、その思いを紐解いていく過程が丁寧で非常に好感が持てました。
読み応えも十分
七つの短編があり、どれも三、四十ページなので、それほどのボリュームではありません。
しかし、その中で客の背景、置かれている状況、店を訪れてからの変化がちゃんと描かれていて、ボリューム以上の満足感がありました。
さらに客がオルゴール店を訪れ、そこで心の中に流れる音楽をオルゴールにしてもらう、という骨子はどの短編にも共通しているので、テンポよく読める点も良かったです。
自分にとっての音楽
本書を読んで、自分だったらどんな音楽を選んでもらえるのだろうと、時々ぼんやり考えたりします。
一番好きな曲だと断言している、あの曲だろうか。
学生時代のテスト期間中、なぜか勉強中にいつもループで流れていたあの曲だろうか。
はたまた、僕がすっかり忘れてしまっている曲だろうか。
本書で描かれている街を頭の中で再現し、作中の登場人物同様、オルゴール店に足を踏み入れる。
そしてあの店員が優しく出迎えてくれる。
想像しただけでちょっと心穏やかになれる、そんな素晴らしい読了感を得ることができました。
おわりに
タイトル、表紙を見て衝動買いした作品ですが、思いがけない良作に出会えて感謝感謝です。
瀧羽麻子さんの作品を調べると、どれも僕の琴線に触れるものばかりなので、これからゆっくりじっくり楽しみたいと思います。
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