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『赤い指』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

「BOOK」データベースより

加賀恭一郎シリーズ第七弾であり、加賀が練馬署の刑事として活躍する最後の作品となった本書。

次作以降の加賀は一皮むけた印象があり、その転換点となったのが本書です。

事件の他に、入院している加賀の父親・隆正と加賀の関係についても描かれ、これまでの確執が和らぐのが分かります。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

親子の確執

胆嚢と肝臓を癌に冒され、入院する加賀の父親・隆正。

加賀は過去の確執からお見舞いに訪れず、隆正の妹の克子やその息子・松宮脩平が代わりに訪れていました。

隆正の日々の楽しみは将棋で、相手は金森登紀子という看護師でした。

松宮にとって隆正は実の父親同然の人で、警察官の道を選んだのも隆正の影響でした。

嫁姑問題

前原昭夫は十八年前に妻の八重子と結婚。

三年後には息子の直巳が生まれ、幸せでした。

ところが八重子と昭夫の母・政恵のそりが合わず、昭夫は二人をなるべく近づけないようにしてきました。

しかし父の章一郎が亡くなり、今度は政恵が複雑骨折をし、元のようには歩けなくなってしまいます。

そこでなんとか八重子を説得し、昭夫の実家をリフォーム。

こうして昭夫たち家族と政恵の同居が始まりますが、政恵は認知症にかかり、意思疎通も難しくなってしまいます。

隠蔽

昭夫の仕事終わり、八重子から電話が入ります。

普段、政恵の面倒を見に顔を出してくれる昭夫の妹・春美に今日は来ないでほしいと伝えてほしいという内容で、どこか切羽詰まっていました。

昭夫は嫌な予感を覚えます。

春美にそのことを伝えてから帰宅すると、八重子は庭を指さします。

そこには黒いビニール袋があって、その下には小さい見知らぬ女の子の死体があるといいます。

殺害したのは、直巳でした。

昭夫は直巳を問い詰めますが、反省の色が見られず、八重子も直巳を庇います。

女の子の特徴から、帰る途中、父親らしき人物が探していた女の子であることに気が付く昭夫。

このままではすぐにバレると思い、警察に通報しようとする昭夫ですが、八重子は断固反対。

協議の末、なるべく痕跡を消した上で、死体を捨てることにします。

昭夫は死体を自転車に載せると、近くの銀杏公園のトイレの個室に死体を捨てます。

死体には前原家の庭の芝が付着したままで、完璧な隠蔽とは程遠いものでした。

捜査

死体はすぐに見つかり、捜査一課の松宮も捜査に加わります。

死体の女の子の身元が分かり、春日井優菜、昭夫が昨日見た父親の娘でした。

優菜は近隣に住んでいることから、警察は近隣を回って聞き込みをし、その中に前原家も含まれていました。

同時に芝の捜査も行われ、高麗芝という品種であることが判明。

しかし、庭に高麗芝のある家庭はそう珍しくなく、すぐに決め手となることはありませんでした。

松宮は所轄である練馬署の刑事・加賀と組んで捜査を進めます。

松宮は、隆正のことがあって加賀に対して複雑な心境を抱く一方で、捜査の手腕には感心させられます。

覚悟

昭夫は警察に芝のことを聞かれ、いずれ直巳の犯行だと知られるのは時間の問題だと考えました。

そこで昭夫は、悪魔的な発想を閃きます。

中途半端な状態では警察に見破られると、八重子と直巳とも打ち合わせ、最大の隠蔽を覚悟します。

一方、これまでの捜査から、加賀は前原家に狙いを定めていました。

すぐに見つかる公園に捨てたことで、遠くまで運べずに仕方なく選んだのだと推測。

そこで車がなく、後ろに荷台のついている自転車を所有する家を探し、合致したのが前原家でした。

また聞き込み時、政恵が庭に落ちていた手袋をはめていて、そこから尿の匂いがしました。

被害者である優菜が尿を漏らしていたことから、ますます前原家が怪しいと踏みます。

過去

事件と同時並行で、隆正の過去が明らかになります。

隆正の妻は二十年以上前に、隆正と加賀を置いて家を出ました。

加賀は、家庭を顧みない隆正が原因で母親が家を出たのだと考え、それ以降、親子の中はギクシャクし始めます。

隆正もそのことを後悔していて、そこで夫を事故で亡くした克子と松宮の面倒を見たのでした。

加賀と松宮では、隆正に対する見方が全く違ったのでした。

警察のもとに、事件のことで話したいことがあると昭夫から連絡が入ります。

家に向かう加賀たちですが、昭夫は死体を遺棄したのは自分だと白状します。

しかし、殺害したのは政恵だと嘘をつきました。

認知症である政恵を身代わりにすれば、そのことを認識できない政恵からバレる心配はありません。

政恵は認知症のせいで少女時代に気持ちが戻っていて、人形でよく遊んでいました。

その人形目当てに優菜が庭に入り、何かの拍子に政恵が殺害してしまったのだと話をでっち上げます。

死体を実際に処理したのは昭夫なので話に説得力もあり、松宮は本当の話だと信じます。

しかし、加賀は署に連絡しようとする松宮を止めます。

政恵について聞くと、膝を悪くして二階には上がれないこと、夫婦の部屋は二階にあることが判明します。

この時点で、加賀は真実が隠されていることに気が付いていて、それを引き出すために賭けに出ます。

罪悪感

前原家に春美が訪れます。

連れてきたのは加賀です。

加賀は春美に事件のこと、政恵を留置所にいれなければならないことを話します。

昭夫の心情に訴えかける作戦ですが、なんとか堪えます。

それから昭夫の幼い頃の写真が収められたアルバム、そして政恵の杖が登場します。

杖には鈴と札がついていて、札に政恵の名前を彫ったのは幼い頃の昭夫です。

何十年も前のものを大事にしてくれている母親を、無実の罪で警察に突き出そうとしている。

その事実についに昭夫は耐えられなくなり、本当のことを自供するのでした。

真実

加賀は昭夫たちの嘘を見抜いていました。

ポイントは、政恵の赤い指です。

これは口紅でついた色ですが、加賀はその重要性に気が付いていました。

優菜の死体に口紅の跡はなく、昭夫が拭いたという供述もなかった。

つまり、事件後に指につけたことになります。

しかし、政恵は二階に上がれないため、八重子のものではありません。

捜査の結果、春美の口紅であることが判明しますが、春美と政恵が最後に会ったのは事件前。

これでは政恵が犯人であるという供述と矛盾することになります。

そこで加賀は昭夫の良心に訴えかけ、嘘をついたことを認めさせたのでした。

そして、昭夫は本当のことを知ります。

政恵はボケたふりをしているだけで、隠れて春美と連絡を取り合っていたのです。

昭夫たち家族に絶望した政恵にできたのは、ボケたふりをして自分の世界に閉じこもることだけでした。

そして政恵を犯人に仕立て上げるという話を聞き、赤い指のことを思いつきます。

昭夫が罪を犯す前に計画をやめてほしかったからです。

そこには、母親の愛情が込められていました。

春日井家のパソコンを調べた結果、優菜のはまっていた『スーパープリンセス』というキャラクターのフィギュアの画像が大量に添付されたメールが見つかります。

差出人は直巳でした。

ある日の学校の帰り、直巳の持つスーパープリンセスのキーホルダーに気が付いた優菜から声を掛け、後日、他のフィギュアを見るために前原家を訪れます。

しかし優菜は見た後に帰ると言い出し、それに耐えられなかった直巳は優菜を殺害したのでした。

甘やかされて育ち、自分の思い通りにならないと気が済まない直巳。

最後に、親が悪いんだと呟くのでした。

結末

隆正の死期が近づき、病院を訪れる克子と松宮。

夜中になり、外を見ると加賀の姿もありました。

しかし中に入ってくることはなく、隆正は克子と松宮に見届けられて息を引き取ります。

隆正が亡くなったことを知ると、加賀は病室に入り、隆正の棺桶に入れるための家族三人で写った写真を取り出します。

加賀が隆正の最期に立ち会わなかった理由、それは隆正との約束があったからでした。

加賀の母親は仙田のアパートで一人で死に、隆正はどれだけ加賀と会いたがっただろうと後悔していました。

そこで自分も死ぬ時は一人で死ぬと決め、加賀も隆正の意思を尊重したのでした。

最後に、隆正の将棋相手について明かされます。

実際に打っていたのは看護師の登紀子ですが、指示していたのは加賀でした。

結局、勝負はつきませんでしたが、隆正の手には『桂馬』が握られていました。

おそらく、隆正は相手が加賀だと気が付いていたと登紀子はいいます。

加賀は桂馬を隆正が置きたかったであろう場所に置きます。

加賀の詰みで、隆正の勝ちでした。

加賀は隆正の方を振り返り、良かったなと口にするのでした。

おわりに

ギクシャクしているように見えて、見えないところでしっかりと繋がった親子の姿が描かれた作品でした。

今回の一件を通じて加賀はさらに一皮むけますので、次作以降も必見です。

次の話はこちら。

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