『巴里マカロンの謎』あらすじとネタバレ感想!11年ぶりの新作となる番外短編集
「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか?小鳩君は早速思考を巡らし始める…心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!
「BOOK」データベースより
もう読めないと思っていた『小市民シリーズ』が実に十一年ぶりに帰ってきました!
タイトルが『冬期限定○○』でないことに驚いた方もいると思いますが、本書は番外短編集なので、おそらくこれ以降に冬期限定がくるのだと思います。
ちなみにタイトルは『巴里(パリ)マカロン』と読みます。
ファンであれば読んで納得はもちろんですが、これを機に未読の方にも小市民シリーズが広がってくれると嬉しいです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
巴里マカロンの謎
小佐内さんに連れられ、小鳩くんは有名パティシエが名古屋にオープンしたお店に行きます。
目的はマカロンで、一人三つまで注文することができます。
ところが二人がちょっと目を離した隙に、小佐内さんのお皿には四つのマカロンが並んでいました。
肝心の小佐内さんは、どのマカロンを注文したのか覚えておらず、まずは増えたマカロンの特定から始めます。
小鳩くんはなんなく増えたマカロンを特定しますが、中になぜか指輪が入っていて、謎は深まるばかり。
推理が進むにつれ、マカロンに込められた謎の意味が判明します。
紐育(ニューヨーク)チーズケーキの謎
小佐内さんに連れられ、とある中学校の文化祭にやってきた小鳩くん。
目的はお菓子作り同好会が作るニューヨークチーズケーキでした。
二人はチーズケーキを堪能しますが、小佐内さんはここでも事件に巻き込まれてしまいます。
小佐内さんは男子中学生のケンカに巻き込まれ、上級生が探すCDを持っているとして拉致されてしまいます。
しかし、これは小佐内さんの計算のうちで、それに気が付いた小鳩くんはCDのありかを推理し、その中身を知るのでした。
伯林あげぱんの謎
小鳩くんは、新聞部の友人・堂島から依頼を受けます。
新聞部で『ベルリーナー・プファンクーヘン』というドイツ風揚げパンを使ったゲームを実施。
参加した四人のうち、一人だけはマスタード入りのパンを食べるはずでしたが、なぜか全員がおいしい揚げパンを食べました。
マスタードが入っていなかったのか。
それとも誰かが嘘をついているのか。
大したことのないように見えて、この問題の取り扱い方次第では新聞部の内部分裂を引き起こしてしまいます。
小鳩くんは慎重に事実を確認していき、やがて真実に辿りつくのでした。
花府(フィレンツェ)シュークリームの謎
小佐内さんの友人が飲酒で停学になってしまいますが、友人は無実を主張。
小鳩くんはその友人の無実を証明するために動きます。
様々な情報を得るにつれて、事件の全貌が見えてきました。
短編ですが、別の短編も絡んでくる話なので、詳細は割愛します。
感想
小市民から脱しつつある
小鳩くんと小佐内さんはお互いの本性を隠すために互恵関係を結び、一緒に行動しているはずなんですが、巻を増すごとに小市民になるという決意が緩いものになっている気がします。
今回はいいか、今回はしょうがない、などと何だかんだ理由をつけて謎を解いちゃう小鳩くん。
相手の思い通りになるのが嫌で、大人しく引き下がろうとはしない小佐内さん。
このままで本当に小市民になれるのだろうか。
そもそも小市民になりたいわけではなかった、なんて気が付く時がくるかもしれませんね。
緩すぎるミステリ
小鳩くんは読者にも分かりやすいように謎解きをしてくれますが、その確認いる?みたいなものがたくさんあります。
登場人物からも突っ込みが入ります。
この緩い感じが懐かしく、いかにも小市民シリーズという感じがしました。
やっぱり恋愛ではなく互恵関係
『秋期限定』を経て、小鳩くんと小佐内さんは恋愛関係に近づいたかな?なんて思っていましたが、全くの勘違いでした。
本書を読んで思ったのは、二人の関係を表すのはやっぱり互恵でした。
今はお互いの本性を隠すことで互恵関係にありますが、いつの日か、一緒にいることが互恵にならないかな?
読了後も、こっそりそんなことを思ってしまいました。
おわりに
時間はかかってもいいので、ぜひ完結してほしいシリーズだと改めて思いました。
例えもう十年かかるとしても待っています。
それくらいに大好きな作品、もっといえば小鳩くんと小佐内さんが大好きなんです。
次の話はこちら。
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