『羊と鋼の森』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。
「BOOK」データベースより
2016年に第13回本屋大賞を受賞し、2018年に山崎賢人さん主演で映画化されることが決まった本作。
第13回本屋大賞では、又吉直樹さんの『火花』や住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』など話題作が豊富だったので、それらを抑えての受賞は本当にすごいことだと思います。
そして、実際に読んでみて、たくさんの人に読んでほしい作品だと心から思いました。
ストーリーだけでいけばそんなに起伏はないのに、心に様々な情景、音色が浮かんでくるんです。
しかも、捉え方も読者に委ねられていて、決して結論を押し付けてくるわけではない。
終始リラックスして、だけど最後まであっという間に読んでしまいました。
すでに読んだ方も、これから上映される映画を楽しみにしている方もいると思いますが、この記事はそんな人のお役に立てればと思い、あらすじや個人的な感想を書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
タイトルである『羊と鋼の森』ですが、これはピアノを指した言葉です。
ピアノの中にはハンマーと呼ばれる部分があります。
鍵盤を叩くと、中のハンマーが上がって弦を叩くことで音を響かせますが、このハンマーは羊のフェルトでできています。
また弦は鋼でできていて、主人公である外村は、ピアノの中を『羊と鋼の森』と称しました。
ただ、作中ではこのように明言されたのは最後の一度のみです。ただ森と表現することが多かったと思います。
タイトル意味については、読んでいけばすぐに分かると思いますが、これが本作の瑞々しさを引き立てているのだと思います。
きっと外村の出身が山ということもあり、幼少期から慣れ親しんだ風景に例えることで、彼はピアノというものを身近に感じていたのだと思います。
人生を変えた出会い
ここからは、本作の内容に触れていきます。
何にも興味が持てない高校二年生の外村ですが、ある日、体育館にあるピアノを調律しに来た調律師である板鳥宗一郎と出会い、運命が変わります。
板鳥が調律していくうちにピアノの音が変わり、彼には音の景色が鮮やかになったのが見えました。
ピアノを意識したことが外村ですが、すっかりピアノの虜になり、板鳥の働く楽器店に行って弟子入りしたいとお願いします。
すると、板鳥に調律師になるための学校を紹介してもらい、外村は北海道を出て本州にあるその学校で二年間、調律の勉強をします。
そして卒業後、北海道に戻り、板鳥の働く江藤楽器で調律師として働くことになりました。
初めての調律
入社して五か月後、先輩調律師である柳に同行して、初めての調律に向かいます。
そこで出会ったのが、双子の姉妹である和音と由仁(ゆに)と出会います。
一卵性双生児なのにピアノの演奏は正反対で、柳含めて周囲は妹である由仁の情熱的な演奏をより評価していました。
しかし、外村は和音の演奏を特別に感じ、以後、二人の音楽人生に寄り添っていくことになります。
目指す音とは
音に正解はありません。
お客さんが同じ表現をしたとしても、求めている音が違うことなんてよくあることです。
そのため調律師は、しっかりコミュニケーションをとってお客さんの求める音を見つける必要があります。
しかし一方で、調律師が良いと思った調律をしても、今度は演者が弾きこなせないなんてこともあります。
そのため、あえて弾きやすい音に妥協しなければならないこともよくあり、理想と現実の間で揺れる様が何度も描かれています。
その中で外村は、板鳥が目指しているという原民喜の言葉に感銘を受けます。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
文体か音かという違いはありますが、外村はそれ以降、迷った時にこの言葉を思い出し、理想の音を追い求めるのです。
場所が変われば、音も変わる
外村は板鳥に同行し、一流ピアニストのコンサートの調律に立ち会わせてもらいます。
これまで家庭での調律だけをやってきた外村にとって、コンサート会場での調律は全くの別物でした。
同じ音を求めるにしても、会場の広さも違えば収容人数も異なります。
板鳥が調律しているのを見て、外村はホールのピアノは別の生き物だともらしています。
それゆえに、理想の音を求めるにあたって、様々な場所での経験も必要なのだと悟りました。
夢を目指すこと、諦めること
ある日、双子姉妹の妹である由仁が突然、ピアノを弾けなくなってしまいました。
そして、由仁が弾けなくなってしまったことに憤りを感じ、しかしやり場のない怒りを消化することができず、和音もまた弾かなくなってしまいました。
夢を諦める苦しみが、そこにはありました。
以前、ピアニストを目指していた調律師の秋野は、その夢を諦めるのに四年もかかったといいます。
途方のない苦しみに唖然とする外村ですが、そんな心配に反し、二人はある決断をします。
和音はプロのピアニストを目指し、由仁は和音のピアノを調律するために調律師になりたいといいます。
由仁が弾けなくなったことで和音の中にあった情熱が爆発します。
ピアノを食べて生きていく、という表現が、これでもかというくらい彼女の決意を表していて、とても良かったです。
わがままになる
和音たちの決意に触発され、外村もまた自分にわがままになって理想を目指す決意が固まります。
板鳥の調律したピアノの音によって自分の人生は変わった。だから自分もそうなりたいのだと。
本人にはあまり自覚はありませんが、序盤から比べると外村は大きく成長を遂げました。
その成長を見守るのも、本作の楽しみだと思います。
柳の結婚
柳は、二十年以上一緒にいる幼なじみの濱野と結婚することになりました。
外村は披露パーティに招待されますが、余興で使用するピアノの調律をお願いされます。
演奏者が和音ということが後押しとなり、外村は引き受けます。
最初こそうまくいっていましたが、会場ではたくさんの人が行き交うことを考慮しておらず、納得のいかない仕上がりになってしまいました。
しかし、双子の助けも借りながらなんとか仕上げ、柳の結婚式に花を添えることができました。
調律師とは
柳の結婚式の一件があり、外村は考えを改めます。
演奏者のことを一番に考えるのなら、お客さんのことや環境も考えなければならない。
そして、外村の腕を信頼しているからこそ板鳥が掛けてくれた言葉。
ピアニストを育てるのも、調律師の仕事なんだと。
その言葉を受け、外村はさらなる高みを目指すことを決め、物語は幕を閉じました。
おわりに
美しい情景が目に浮かぶような瑞々しい文章は、読んでいて本当に気持ちが良かったです。
音楽に興味がある方もそうでない方も、もしまだ読んでいなければ、ぜひ読んでみてください。
僕の文章では伝えることのできない透き通った世界が、本作にはあります。
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