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『夜空の呪いに色はない』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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かつて子どもだった すべての大人たちへ。郵便配達人・時任は、階段島での生活を気に入っていた。手紙を受け取り、カブに乗って、届ける。七草や堀を応援しつつも、積極的に島の問題には関わらない。だが一方で、彼女は心の奥底に、ある傷を抱えていた……。大地を現実に戻すべく、決意を固める真辺。突き刺さるトクメ先生の言葉。魔女の呪いとは何か。大人になる中で僕らは何を失うのか。心を穿つ青春ミステリ、第5弾。

Amazon商品説明より

階段島シリーズ第五弾となる本作。

前の話はこちら。

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話はますます予想外の方向に展開していきます。

表紙を見て分かる通り、時任が本作のキーパーソンになってきます。

魔法を堀に譲り、郵便配達員として気ままに暮らしていた彼女に起きた変化、そして過去。

この記事ではあらすじや個人的な感想を交えながら本作の魅力を書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

大地を救うために

七草は堀を、安達は真辺を魔女にするために、自分たちの幸せを証明することを決意した前回。

また七草は幼い頃に捨てた自分を拾ったことで考えも多少変わり、でも相変わらず堀と真辺のどちらを優先するかで悩んでいました。

そんなある日、大地を現実の世界に帰し、母親とうまくやっていけるように七草はある手を考えます。

それは、現実のトクメ先生に協力してもらうというものでした。

具体的には、トクメ先生に階段を上ってもらい、現実の自分の大地の現状を話し、協力を呼び掛けるというものです。

七草も階段を上り、そこで現実の自分と対峙し、現状を伝えます。

七草が七草を拾う

相変わらず意見の合わない二人。

すると、現実の七草が階段島の七草を拾うと言い出します。

それは魔法に頼らず、捨てた自分を否定し、成長するための彼の決意でした。

果たして階段島の七草はいなくなり、こうなることは分かっていたはずの堀は涙します。

また、真辺も隣に七草がいなくなったことで泣いてしまいます。

しかし、それでも彼女は理想を追うことを止めません。

現実では、七草と真辺はトクメ先生、もとい大江と会っていました。

彼女は夢で捨てた自分に会ったことに困惑しつつも、産休中で自由がきくということで、大地のために力を貸してくれるようになります。

大地のことは一旦大江に任せ、二人は大地が捨てたものについて考えます。

それは、これまで階段島の七草の言い分を考慮すると、大地が嘘をついていると分かってしまったからです。

大地が捨てた自分。

現実では『母親を嫌えない感情』ですが、階段島では『母親を嫌う自分』だと考えていました。

答えの出ない問題。

そんな時、七草の前に魔女である堀が現れ、力を貸す代わりに七草の一部を貸してほしいと提案してきます。

大地の母親のこと

堀の提案に乗る七草。

彼女が見せてくれたのは、いつかの大地と母親の日常でした。

大地の母親は彼をまるでいないかのように扱い、大地もまた物音を立てず暮らしていました。

母親の顔に浮かぶ感情はよく分かりません。

それから七草は、大地の父親が亡くなったことも知ります。

魔法を返すとき

階段島にある唯一の学校である柏原第二高校。

これは、時任の母校である柏原高校がモデルになっています。

時任には、かつて『先輩』と呼んだ女性がいて、その人のために魔法を使いました。

そして、それがきっかけとなり、魔法を手放したいと考えるようになりました。

しかし、堀が魔法によって悲しい思いをするところを間近で見てきた彼女は、ある決意をします。

それは、堀から魔法を奪うことでした。

大地の父親のことまで話し終えたところで時任は堀と七草の前に現れ、自分の方が幸せだと宣言します。

七草を失った堀は不幸を認めてしまい、魔法は再び時任に戻りました。

二人に戻る

現実の七草は階段島の七草を拾いましたが、それをうまく消化することはできませんでした。

また、時任からもう一度もらいにきたと言われ、決意します。

もう一度自分を捨てることにしました。

捨てる自分を幸せだが、自分も幸せになると、そう決意します。

七草が階段島に戻ると、時任は昔話をしてくれます。

それは、時任の過ちの話でした。

時任の過ち

時任の『先輩』には婚約者がいましたが、病気によって先が長くないと予想されていました。

『先輩』は仕事と彼の介護に疲れ果てていました。

時任は彼女を魔法で救おうと考えますが、魔法で出来ることは限られているし、第一『先輩』はそれを望んでいません。

しばらくそんな状態が続きましたが、そこに中田という男性が登場することで事態は急変します。

中田は『先輩』と同じ中学校に通っていて、ずっと彼女のことが好きでした。

そして医師になり、初恋に区切りをつけるために彼女にプロポーズしました。

中学校時代からろくに話したことのない相手を好きになれるわけありませんが、中田は告白の件とは別に、婚約者の治療費の援助を申し出ました。

この中田とは、階段島の配電塔の隣の小屋に住み、時計の秒針を解放している男性のことで、階段島の彼がまだ捨てられる前の姿です。

『先輩』は悩み、それを婚約者に打ち明けますが、彼の反応は穏やかでした。

それを不満に思った時任は彼の心を覗いてみます。

すると、彼はすでに生きることを諦めていたのです。

そこで時任は魔法を使い、『諦め』を奪いました。

心の在り方が変わったことで彼の病気は良くなり、外を出歩くこともできるようになりましたが、二か月後、婚約者は自殺してしまいました。

時任が『諦め』を奪ったことで、諦めないで生きることに疲れ、諦めずに自殺したのです。

時任はこのことを『先輩』に伝え謝罪すると、魔法で何とかしれくれと頼まれます。

だから時任は、『先輩』の『愛情』を奪いました。

そして、奪ったもの同士が魔女の世界で出会ったといいます。

そして、『先輩』とは相原美絵、大地の母親のことでした。

時任はその時、美絵が妊娠しているとも知らず『愛情』を奪ってしまいました。

だから彼女は、大地を愛することができないのです。

この話を聞いて、七草は決意します。

理想の魔法を見つけるのだと。

大地の捨てたもの

それは『子供の自分』でした。

彼は母親に愛されるために、大人になろうとしたのです。

しかし、何を捨てても大人にはなれないと七草は諭します。

子供のままでいくつもの辛い経験をし、それを乗り越えることで初めて大人になれるのであり、魔法では大人になれないと言います。

だから七草は、こう提案します。

子供の大地のままで、愛される方法を探そうと。

理想の魔法とは

七草は真辺、安達を伴い、堀と時任に会いに行きます。

目的は単純で、時任から魔法を奪うためです。

しかし、七草の提案は少し違っていました。

魔法を堀と安達(=真辺が言う通りに使う)に貸して、責任は時任がとる、という無茶苦茶なものでした。

ただし、貸す魔法に制限をつけて、取り返しが付くようにしてほしいと。

その中で大地を幸せにすると七草は言い切ります。

当然、時任は反論しますが、堀が胸を内を明かします。

堀が時任に魔法を奪われたのは、七草がいなくなったことが悲しかったのではなく、魔法を好きになろうとしていたのに、それを否定するために時任が取り上げたのが悲しかったからでした。

それでも、彼女は彼女はまだ魔法が好きで、綺麗に使えるのだと信じていました。

この言葉に時任は、魔法を奪われることを覚悟しました。

しかし、堀の口から出てきたのは「魔法を貸してください」でした。

時任は降参し、考えさせてほしいと言いますが、その顔には笑顔が浮かんでいました。

こうして二人の魔女が誕生し、七草・堀と安達・真辺のどっちが正しく魔法を使えるのかを証明していくことになりました。

また、こちらにいる大地の母親に会いに行くことを決意します。

おわりに

目が離せない展開がこれからも続きそうですね。

あと、結婚の話は不覚にもドキドキしてしまいました。

しかも当の本人、特に真辺が意識していない辺りが余計に読んでいて恥ずかしかったです。

そして。

2019年に完結編が刊行されるということで、この階段島で紡がれる物語を見れるのもあと少しです。

そう思うと寂しい気もしますが、とにかく続編にさらなる期待をしたいと思います。

次巻はこちら。

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