『いなくなれ、群青』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。
「BOOK」データベースより
『サクラダリセット』シリーズに続き、もはや河野さんの代表作にもなった『階段島シリーズ』第一弾。
映画化、コミカライズされたことでより知名度を上げました。
河野さんの描く透き通るようなキャラクターが大好きで、本作も文句なしの仕上がりになっています。
それに加えて『階段島』という特殊な舞台。
ここでのネタバレは避けますが、階段島にいるということは、みんなそれぞれ理由があるということ。
じゃあ、それは一体なんなのか?
そんなことを考えながら読み進めていくと楽しいと思います。
以下は、本書に関する河野さんへのインタビューです。
この記事では、そんな本作の魅力について書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
これは階段島の物語だ
この島には二〇〇〇人が住んでいて、店の数が少なくて不便だけれど、ネットショッピングはできる。
そして、どうしてこの島にやってきたのか、誰も知らない。全員がそのときの記憶を無くしていた。
主人公の七草の場合、およそ四日分の記憶がない。
気が付くと、階段島にいた。
ここは捨てられた人々の島だという。
どうして捨てられたのか分からないが、七草は納得していた。
階段島について色々な憶測が流れている中、七草はある仮説を考えていたが、安定した今の生活に不満はなく、それを誰かに話すつもりなどなかった。
しかし、真辺由宇が現れたことで、状況は一変する。
再会
十一月、早く目覚めてしまった七草が散歩をしていると、誰かに呼び掛けられた。
顔を上げると、そこにはセーラー服を着た少女が立っていた。
真辺由宇。
二年ぶりの再会だった。
状況がうまく飲み込めない真辺に、七草はこの島は捨てられた人たちの島であり、ここを出るには自分がなくしたものを見つけなければならないことを説明する。
しかし、真辺は当然納得できず、また彼女には三ヶ月近くの記憶がないことが分かった。
ここで回想。
七草と真辺は小学四年生で知り合い、捨て犬の死がきっかけで親しくなり、中学二年生の時に彼女が引っ越すまでその関係は続いた。
彼女は誰よりも正しさを信じていた。
回想終了。
七草と真辺はこの島唯一の学校に向かい、そこで担任であるトクメ先生に彼女を紹介する。
トクメ先生は白い仮面で顔を隠している。
そして、手元にはなぜか真辺の履歴書があった。
真辺は階段島のことを問い詰めるが、答えは魔女しか知らないと、はぐらかされてしまう。
そこで真辺は自分と一緒にこの島を出るという約束を持ち掛け、七草もそれに応じた。
真辺は七草と同じクラスになったが、自己紹介で早速島から出ることを決意表明し、クラスメイトたちを騒然とさせた。
その後、昼食を委員長(女子)、佐々岡(男子)、堀(女子)と一緒にとり、島のことを話し合ったが、周りは七草と真辺の関係がよく分からないという。
それは七草自身にもよく分かっていない。
真辺に好意的な感情を持つ一方で、本質が真逆の彼女に心の底から苛立ち、我慢を強いられることも少なくなかった。
放課後、七草と真辺は島唯一のタクシーに乗って遺失物係に向かった。
そこには小さな郵便局と白い灯台があり、遺失物係とはその灯台のことを指す。
もし何を失くしたものが分かってそれを係の人に伝えれば、失くしたものを返してもらえるという。
しかし、そこには鍵がかけられていて、中のことは誰も知らない。
帰ろうとすると郵便局員の時任と会い、彼女にも遺失物係のことを聞いてみるが、彼女もまたそのことについて知らなかった。
また、学校の裏手には魔女の館へと続く階段があるが、階段は決して途切れることなく、いつまでも魔女の館にはたどり着けないのだという。
謎は深まるばかりだった。
捨てられた少年
時任の元を去ると、二人は寮へと向かう。
真辺の寮は七草の寮の向かいだった。
帰り道、小学二年生の相原大地と会うが、彼も真辺と同様、ついさっき階段島にきたようだった。つまり捨てられたのだ。
事実を受け止めきれず、泣き疲れた大地を七草は自分の寮に連れて帰ることにした。
真辺は大地が捨てられたという事実に怒りを覚え、ますます魔女を敵と認識していた。
寮に戻ると、大地を管理人に預け、代わりに堀からの手紙が受け取る。
彼女から一週間に一度手紙をもらっているが、今日のは短く、「真辺さんは危険」とだけ書かれていた。
ピストルスター
それから少しして、連続落書き事件が発生した。
星と拳銃を合わせたデザインに、魔女を批判する内容の文章。
学校では犯人探しが行われ、七草たち五人も手分けして落書きの犯人探し、魔女についての聞き込みをすることにした。
七草は堀と組んで魔女についての聞き込みをする中で、もらった手紙のことを聞く。
真意はつかみきれないが、堀が七草のことを心配していることは伝わってきた。
七草は真辺が危険であることに同意した上で、現状、彼女のことを理解しているのが自分しかいないため、離れることはできないと感じていた。
どちらも特に進展せず、また大地のことで七草と真辺は対立する。
大地は母親が嫌いだといい、しかし大地は母親を嫌うという感情を持つことを恐れていた。
真辺は大地の母親に会う必要があると考えたが、七草はこれ以上大地が悲しまないよう、それをよしとしなかった。
そして、その夜、七草は大地に落書きの犯人は自分であり、それがピストルスターであることを伝え、自分が犯人であることを管理人に伝えるようお願いした。
魔女との交渉
月曜の朝、堀は学校を休んでいた。前日に真辺と二人で会っていたことが関係しているかもしれない。
そして、昨日魔女に会いに行くといっていた真辺は登校していて、島から出て大地の母親に会いに行くという計画は失敗したようだった。
放課後、真辺の同行を断り、堀のお見舞いに向かった七草。
彼女は風邪ではなく、サボっただけだった。
話を聞くと、原因は真辺ではなく、七草に会いたくなかったことが分かった。
真辺に対し、七草の気持ちを想像して代弁したことを、堀は後悔していた。
なぜ真辺と一緒にいるのかと問う堀。
七草にとって真辺は英雄であり、彼女が汚れるのが嫌だった。
真辺のことが好きだ。
嘘をついたつもりで放った言葉だったが、七草には本当に嘘なのか分からなかった。
そして堀の部屋を後にすると、七草は遺失物係に向かう。
灯台の前で時任に会うと、魔女に手紙を書いたが届けてくれたかを確認し、確かに時任は手紙を届けていた。
時任は何かを知っているような口ぶりで、この島のことが知りたければ階段を昇るしかないと言う。
すると、七草の姿を見つけた真辺が追いかけてきて、堀から自分が七草に迷惑をかけていたことを知り、涙を流す。
七草は優しく、自分のことばかり諦め、そして彼が自分を守ってくれていることを真辺は知っていた。
隠し事に失敗した七草は真辺に告げる。自分も魔女に交渉するつもりだと。
七草が落書きを書いた理由は自分のためだった。
真辺が階段島にいることが許せず、魔女を脅して彼女を元の場所に返そうとしていたのだ。
灯台の中に入ると、そこにある電話機が鳴った。
魔女からの電話だった。
そこで七草は、灯台は島の人のためではなく、島の外から来る人のために存在し、だから遺失物係は灯台にいるのだと言います。
つまり、本当の七草は島の外にいて、島にいる七草は本当の彼が切り捨てた自分自身だったのです。
彼の場合、それは悲観的な人格でした。
誰もが成長していく中で欠点を切り捨てていく。切り捨てられたものの行きつく先が、階段島なのだ。
そして、七草たちがこの島を出るには、島の外にいる自分が切り捨てた自分を見つけ出すしかない。
魔女はこれを肯定した。
魔女はこの事実を島の人間が知ることを望んでいないが、この事実は交渉材料にはならなかった。
なぜなら、魔女は記憶を消すことができ、ここで二人の記憶を消してしまえば、この事実がもれる心配はないのだから。
結局、答えを見つけるには階段を昇るしかなかった。
真辺は昨日も昇り、失敗した。でも、二人で行けば大丈夫な気がした。
道中、大地の話になる。
彼は母親を愛するために、母親を嫌う自分を捨てたのだ。
しかし、それは本人にとっては正しくても、小学二年生に押し付けていいことではなかった。
真辺はなおも大地を島から連れ出すことが正しいと考え、まずは自分が島を出て、現実の大地を探そうと決めていた。
そして七草は、自分はここに残り、真辺だけが出ていくことを望んでいた。
真辺が三か月も記憶がない。
それは七草が三か月前に階段島に来た時期と合致する。
つまり、現実で七草と真辺は再会し、再び一緒にいるために不要な自分を切り捨てたのだ。
悲観的な七草と、理想主義の真辺を。
だから七草はここに残る。
理想主義の真辺が戻っても、現実の自分が受け止められるように。
しかし、真辺はそれに反論する。
捨てることが成長なんておかしいと。
話は平行線と辿り、二人は手を繋いだまま階段を昇り始めた。
真辺は再会の約束をし、七草は自分たちのままでいることを約束しようとするが、答えが返ってくる前に真辺はいなくなってしまった。
七草はそのまま昇り続ける。以前、この上で七草は現実の自分と会っていたが、その時は話がかみ合わず、何の意味もなかった。
でも、今は言いたいことがあった。
階段の先には、やはり現実の自分がいた。
彼には、これが夢として認識されているようだ。
七草は強い口調で言う。
大地を守れ。それが真辺の望みであることを。
以前とは違う。現実の七草も、ようやく会っているのが、自分が捨てた自分であることに気が付く。そして、そのことをどう思っているのか問う。
七草は、ほんの少しだけ自分のことが好きになったと告げ、階段を下りた。
結末
気が付くと、七草は学校の校舎裏にいた。
そして、なぜか真辺もいた。
彼女もまた現実の自分と会い、同じく大地に会うよう伝えていた。
そして、こちらの七草も放っておけなかったため、自分は残ったのだと言う。
彼女は理想主義者であり、選択肢が両方とれるのであれば、両方とるのが真辺由宇だった。
真辺は戻ってこないほうが良かったかと七草に聞くと、彼はまた会えて嬉しいと言った。
真辺が今、許せないこと。
それは、現実の自分と七草のことだった。
自分と七草がそのままで上手くいかないなんて信じたくない。
だから、現実の自分たちが間違っているということを証明するのだと、真辺は言う。
そして、迷惑でなければ手伝ってほしいと手を伸ばす。
七草はその手をつかんだ。
おわりに
七草と真辺はお互いを思い合っているけど、それが恋愛感情なのかはまだ分かりません。
でも、二人合わさることでちょっと前に進むことができた。
それだけことでここまで胸が熱くなるとは。続編が気になって仕方ありません。
要約のため、登場人物もかなり省いていますが、主要人物から脇役にいたるまで、階段島という世界観は魅力でいっぱいです。
未読だという方がいたら、ぜひ本書を読んでその魅力を体感してください。
次巻はこちら。
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