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『真実の檻』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

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1994年、現職の検察官が殺人犯として逮捕され、死刑判決を受けた―2015年、大学生の石黒洋平は、母が遺した写真から実の父がその死刑囚・赤嶺信勝であることを知ってしまう。苦悩する洋平は冤罪の可能性に賭け、雑誌記者の夏木涼子と私的な調査を開始する。人はいかにして罪に墜とされてゆくのか、司法とは本当に公正なものなのか、そして事件の真相は!?『闇に香る嘘』の新鋭がおくる、迫真のリーガルミステリ!!

「BOOK」データベースより

作者の下村さんは、2006年より九年連続で江戸川乱歩賞に応募し続け、2014年、五度目の最終候補となった『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家デビューしました。

そんな下村さんが本作で描いたものは、司法の闇、正義とは何かということです。

帯に書かれている『2人の父 どちらかが殺人犯』という強烈なフレーズが目を引き、すぐに購入しました。

会ったことがないけれど血の繋がる実の父、二十年に渡って育ててくれた育ての父。

どちらが犯人でも傷つくことになり、それでも正義を信じて突き進むその姿。

一見関係ない事件がだんだん一つに収束していくのは、とても快感でした。

ご都合主義な部分も多くありますが、今回の事件のような冤罪は決してどこか遠い場所で起こるのではなく、僕たちの身近なところで実際に起こっていることです。

それを本書を通じて知ることができ、とても考えさせられました。

以下は本書に関する下村さんへのインタビューです。

「冤罪」はなぜ起こるのか? 司法が抱える問題点を鋭く、話題のミステリー小説『真実の檻』|週刊現代

この記事では、本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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実の父は殺人犯

大学生の石黒洋平はがんで母の由美を亡くし、遺品整理のために千葉の実家に向かいます。

遺品を整理していく中で、洋平は天井裏にアルミ製の小箱を見つけます。

中には若かりし由美と一緒に写る赤嶺信勝という男性。

仲睦まじい姿に、赤嶺はまるで由美が妊娠しているように愛おしそうにお腹に手を当てています。

一緒に入っている手紙には妊娠を喜ぶ内容が綴られていて、日付は洋平の生まれる一年ほど前。

嫌な予感がして、由美が亡くなる前に離婚した父・剛のもとを訪れて自分が誰の子なのかを問いただします。

剛は、赤嶺は二十一年前に交通事故で亡くなっている、このことは忘れろと何かを隠している様子。

洋平は納得いかず、赤嶺の名前をネットで検索します。

すると『赤嶺事件』というものがヒットし、そこには由美の両親が殺害され、それを由美が発見したこと、殺人犯として当時検察官だった赤嶺が逮捕されたことが書かれていました。

動機は、当時交際して妊娠までしていた由美との結婚を反対されたから。

犯人の写真は、間違いなく屋根裏で見つけた赤嶺その人でした。

洋平は自分に殺人犯の血が流れている事実を知り、恐怖します。

さらに赤嶺は現在も東京拘置所に収容されていることを知り、事件はまだ終わっていないことを知ります。

洋平はその事実に耐えられず、何か他の情報はないかとネットを漁ります。

すると、赤嶺事件は証拠が揃いすぎていて、冤罪だと疑っている人がいることを知り、洋平はそこに希望を見出します。

赤嶺がもし冤罪で捕まったなら、それを証明すれば自分は元の日常に戻れると。

洋平はその記事を書いたのが『社会の風』編集記者である夏木涼子という人物だと知り、悩んだ末に彼女のもとを訪ねるのでした。

痴漢冤罪疑惑

涼子の勤める『久瀬出版』を訪れた洋平。

赤嶺の息子であることを隠す洋平に対して、彼女は冤罪疑惑事件を専門に取材しているというだけあって、赤嶺事件の疑問点をいくつも挙げていきます。

洋平は涼子の取材についていく形で、事件を追っていきます。

まず涼子が目をつけたのが、赤嶺事件で死刑を求刑した検察官で、数年前に弁護士に転向した柳本という男です。

アポイントがとれずに警察署で待ち伏せしたところ、柳本は女性に対して告訴を取り下げるよう脅していました。

涼子は取材を申し出ますが断られしまい、まずは彼の不正を突き止めて赤嶺事件のことを聞き出そうと考え、痴漢冤罪疑惑事件について二人は調査を始めます。

被害者が三津谷彩という女性で、告訴されているのが二階堂という男性であることが分かり、涼子は知り合いの警察官から情報収集します。

電車内で痴漢をしたとされる二階堂は留置場にいることが分かり、まずは柳本に脅されていた彩に会いに行きます。

柳本との会話から父親のことで脅されていることが分かり、力になりたいと持ち掛けますが、彩からは突き放されてしまいます。

仕方なく今度は二階堂の娘である麗香に会いに行きますが、彼女は彩に嵌められたの一点張りでした。

そこで洋平は警察が自白させるために被疑者に対してひどい取り調べをしている実態を知り、冤罪を許せないという思いを強めていきます。

また涼子が冤罪事件にこだわる理由も聞き、彼女への信頼も強めていきます。

翌日、事態は急変し、告訴が取り下げられたことが判明し、涼子は再度綾への面会を申し出ます。

約束の時間前に行くと、綾と柳本が会話しているのが耳に入り、柳本はまたしても脅迫のようなことを口にしていました。

洋平はたまらず止めに入りますが、柳本は気にする様子もなく立ち去ってしまいます。

残された彩の力になりたいと再度説得しますが、それでも彼女は頑なにそれを断ります。

どうしても納得できずに調査を進めると、実は彩の父親は二階堂が人事権を握る四藤電気に勤めていて、しかも痴漢で捕まって会社をクビになっていたことが判明します。

状況が飲み込めない二人は彩の父親の裁判を傍聴し、ようやく真実に気が付きます。

裁判に彩、柳本も来ていて、二人はそこで彼女たちに真実を告げます。

実は、柳本は彩の父親の弁護人だったのです。

柳本は無実を証明しようと努力している中で、彩は別の方法をとります。

自分自身で痴漢をでっち上げ、警察が被害女性の言い分だけで無実の人間を犯人と決めつけて自白させる、ということを実証するという方法です。

その相手に選ばれたのが、二階堂でした。

しかし、柳本はかえってそれによって彩の父親が不利になると思い、止めさせたのです。

そこで四人は意見を交わし、柳本は彩の父親の無実を証明するために涼子の意見を取り入れ、二人の調査に協力してくれることになります。

ここで涼子、柳本が信頼できると感じた洋平は、ようやく自分が赤嶺の息子であることを打ち明け、改めて冤罪であることを証明するために協力してほしいと依頼します。

すると当時、検察官だった柳本も赤嶺が犯人であることに疑問を感じていましたが、立て続けに無罪判決を出してしまったためどうしても有罪を勝ち取る必要があったことが分かります。

柳本もまた、後悔していたのです。

柳本の話から赤嶺の父親が健在であることが判明し、涼子と洋平は赤嶺康夫に会いに行きます。

また赤嶺の無実を証明するために戦った弁護士・田淵とも会い、改めて当時の状況を整理します。

すると一度だけ赤嶺が再審を望んだが、すぐにそれをやめてしまいます。

またその時に赤嶺は警察官による覚せい剤使用疑惑事件のことを気にしていたことが分かり、涼子と洋平はその事件について調査を始めます。

警察官の覚せい剤使用疑惑

まず二人は、公判を聞いて状況を整理します。

そこでもやはり冤罪の気配を感じ、二人は調査を始めます。

二人が会いに行ったのは、被疑者である原に警察内の裏金問題を告発するよう持ち掛けた堂園というライターの男でした。

しかし、警察はその事実を否認し、その直後に原は覚せい剤取締法違反で逮捕されたのだといいます。

不正を隠蔽するために警察が仕組んだとしか考えられず、今度は裏金問題で責任をとってやめさせられた平野という男に会いに行きます。

そこで警察の不正を暴こうとした原さんに覚せい剤を飲ませたのは警察のはずなのに、なぜ彼らがそのことを隠蔽しようとするのかという矛盾点に気が付きます。

はめたのは、警察ではないのでは?

そこで二人が行き着いたのが堂園でした。

彼は告発を決意させるために原に覚せい剤を飲ませ、それを警察の仕業だと誤認させて復讐心を煽ったのです。

しかし、堂園が仕組んだという証拠は見つからず、またなぜ赤嶺がこの件を気にしているのかも分かりませんでした。

ところが、事態はまたしても動きます。

康夫に洋平が会いに行くと、赤嶺は検察官時代に吉川芳江という女性を死刑に追い込んだ過去があることが判明します。

彼女は二十五年前のヒ素混入無差別殺人事件の犯人として死刑されたが、冤罪疑惑があったのだといいます。

赤嶺事件に近づいている予感のした二人は、この事件についても調査を始めます。

ヒ素混入無差別殺人事件

二人が向かったのは、芳江の夫で山で暮らす吉川駿一郎という男のもとでした。

駿一郎は記者が来たことで警戒しますが、芳江の無罪を証明したいということを話すと、 当時の事情を話してくれます。

吉川家は貧しく、芳江には保険金が掛けれていたため、最初は保険金詐欺を疑われていましたが、その前に保険を解約していたことが判明します。

さらに洋平は芳江の弁護人だった西郷に会いに行き、さらに当時の状況を調べます。

そこで洋平が知ったのは、無茶苦茶な判決を平気で通す裁判の現実でした。

また赤嶺事件と今回の事件の関係性を調べる中で、芳江の死刑執行起案書を作成したのが赤嶺だったことが判明します。

それによって赤嶺は芳江を死刑にしても問題ないという意思表明をしたのです。

さらに洋平は芳江の裁判の時に左陪席裁判官をしていた室瀬と会って話を聞きます。

彼の口からも芳江が無実だった可能性、さらに今の司法制度の問題点を聞かされます。

しかし、調査を進めるうちに涼子はとある事実に気が付きます。

それは、実はやっぱり芳江が犯人で、それを駿一郎は知っていたということです。

彼は真実を知っていましたが、子供たちを守るために裁判で真実を話さなかったのです。

洋平は、この話を聞いて改めて両親が自分を守るために赤嶺事件から遠ざけていたことを実感します。

そして、赤嶺が間違ったことをしていないことを教えるために、彼に会いに行くことを決心します。

赤嶺はあえて洋平を拒絶しますが、芳江が犯人で合っていたことを知って安堵します。

しかし、自分が無実だとは最後まで言いませんでした。

赤嶺事件の真実

洋平は柳本のもとを訪れ、赤嶺事件の証拠品を確認していきます。

さらに赤嶺の友人である大町と会い、赤嶺には事件当時、アリバイがあったこと、それを証明するための写真のフィルムの入ったカメラを警察に提出するも、フィルムがないと突き返されたことを知ります。

さらに当時、現場写真に不審な点があるから不起訴事案だと言った関という検察官がいたが、途中で異例の担当交代をさせられていたことが判明します。

柳本は関のことを調べ、洋平は現場写真を改めて確認します。

すると、現場に残されていた血痕の色が違うことが判明し、誰かが事件後に赤嶺の血を現場に撒いた可能性が浮上します。

それは、警察か検察の仕業にしか思えませんでした。

洋平と柳本は関のもとを訪れ、赤嶺事件について話を聞きます。

そこで赤嶺は警察の裏金問題を調べていて、それが動機になって警察と検察に嵌められたのではという推測が登場します。

そこで二人が次に目を付けたのが、警視庁捜査一課長、当時の捜査官だった神谷でした。

彼との会話から、何かを口止めされる代わりに出世させてもらったことが分かり、赤嶺を助けるためには警察を切り崩す必要性を改めて認識します。

また父親の剛は司法書士と依頼人という関係で由美と知り合ったと話していましたが、実は高校時代の同級生で、彼女に想いを募らせていたことが判明します。

好きな人が恋人を作り、妊娠したと分かったら剛はどうするか。

洋平の中で、ある妄想が生まれます。

さらに涼子と洋平は当時の鑑識官である塩村と会い、世間には公表されていないが、被害者宅の窓枠に赤嶺以外の指紋が付着していたことが判明します。

調べれば調べるほど剛への不信感は募り、洋平はたまらず涼子に相談します。

赤嶺は芳江の件が正しかったことを知ってもなお無実を叫ばない。

それは、赤嶺事件の真犯人が剛であることに気が付き、洋平たちの平穏な暮らしを守るためにあえて罪を被っているのでは?

考えても埒が明かず、洋平は柳本を連れて赤嶺のもとを訪れます。

しかし、彼が明かした真実は思っていたものとは違う内容でした。

証拠をでっち上げたのは警察ではなく、赤嶺本人だったのです。

彼は由美が両親を殺害したのだと思い、自分が犯人であるよう偽装し、大町の写真のフィルムを抜き取ってアリバイを証明できなくしたのです。

しかし、事件から数年経った後で疑問を感じ、剛が犯人であると思うに至りますが、それも手遅れ。

再審を認めさせる新しい証拠などどこにもないように思えました。

しかし、洋平は剛から自白させることを考え、涼子たちと共に作戦を考えます。

そこで涼子は、神谷に対して赤嶺事件が警察の証拠捏造だったとする記事を掲載することを伝え、それを取り下げる代わりに自供をとるための協力をとりつけます。

こうして役者は揃い、剛といざ対面します。

剛は最初こそ自分が犯人だと認めませんでしたが、涼子のはったりもあってついに自白を始めます。

剛は由美から父親の横暴さについて相談を受けていて、彼女を助けるために両親を殺害します。

さらに由美が犯人のように偽装し、それを知った赤嶺が機転を利かせて罪を被るよう仕向けたのです。

こうして真実が明るみに出て、赤嶺事件の裁判のやり直しが決定。

まだ無実と決まったわけではありませんが、赤嶺は釈放され、洋平とようやく親子として並ぶことが出来ました。

結末

あれから八年。

洋平は猛勉強の末に司法試験に合格し、司法修習生になっていました。

赤嶺と電話でやり取りをして、洋平は赤嶺事件を通じて得た経験をどう生かすべきなのか、その答えが出るまであと一歩のところまできていました。

おわりに

最後まで赤嶺が無罪かどうかは明かされていませんでしたが、親子のやりとりからきっと無罪を勝ち取ることができたのだと信じています。

展開として予想の範囲内だったものの、司法の抱える闇や正義の意義について考えさせてくれた大変有意義な作品でした。

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