『違国日記 7巻』あらすじとネタバレ感想!
「『おれの酒が飲めないのか』みたいなの、大嫌いで」
偶然にも食事に行くことになった笠町と弁護士・塔野。そこで話題に上がったのは、「男社会の洗礼」。男なら、男らしく、男としてーー。
塔野は、空気が読めない性質ゆえに、それらと距離をとれたが、笠町は、かつて追い込まれ苦しんだ過去があった。今、その土俵から降りた彼はーーー。「なっていい自分」はいくらでもある。
Amazon商品ページより
変化にふみ出す第7巻!
シリーズ第七弾となる本書。
前の話はこちら。
なりたい理想の自分と、周囲から求められる自分。
誰もがその板挟みに苦しみ、それでもなりたい自分に向かって歩き出す力強さが描かれる七巻。
朝が少し吹っ切れた感じがしてここ最近の違国日記は本当に面白い。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
page.31
朝は槙生が普段口にする悪口をメモっては、意味を調べていました。
その中で空虚という言葉から、朝はなぜか亡くなった父親のことを思い出します。
思い出される父親は何事にも、娘の朝にも無関心で、自分の父親は誰だったのだろうと今さら思います。
朝はえみりの家に泊まり、その時の詳細は語られませんが、後日、槙生とえみりの母親はランチに行きます。
そこでえみりの母親はお泊りの日に、朝から父親がどんな人だったか聞かれ、良いことしか言えなかったと告白します。
嘘ではありませんが、本当はなぜ朝の母親・実里がなぜ父親を選んだのか理由が分かっておらず、もやもやを抱えていました。
page.32
笠町は弁護士の塔野とばったり会い、一緒に昼食をとることに。
話題は男社会の洗礼について。
塔野はそのひょうひょうとした性格からやがて無視されるようになりましたが、笠町は自らその土俵から降りる決断をしました。
そうすることで敷かれたレール以外が見えてきて、やっと人間になれたと感じていました。
塔野は朝からなりたい自分になるためにはどうすればいいのか、と質問されていましたが、何を言っているのか分からないと最低の返しをしていました。
一方、朝は自分の父親が自分のことを愛していたのか分からずに悩んでいました。
page.33
朝は軽音部のボーカルのオーディションを受けようか迷っていました。
過去に合唱コンクールで、父親に目立っていたと言われたことが引っ掛かっていました。
友人は朝のことは別ですが悪目立ちしない方が良いといっていて、朝にとって父親の言葉は一種の呪縛になっていました。
帰宅後、槙生は友人のダイゴとパソコンでテレビ電話をしていました。
成り行きで目立つことについて話すことになり、ダイゴはキャラなんてどうでもいいと一刀両断。
周囲は関係なく、自分がしたいようにしないと後悔すると。
それで吹っ切れた朝は突然歌い出し、それが上手いと好評。
そこには目標に向かって歩き出す強い朝がいました。
page.34
ストリートライブ当日、朝はしばらく学校を休んでいた千代と電車で会い、自分の歌を聞きにきてほしいといいます。
千代は医大志望でしたが、医大で女子だけ点を引かれて不正に不合格にさせられていたことを知り、心が折れていました。
一方、朝は両親を失っていて、自分と同じように人生が終わったと感じているのではと思っていました。
ところが朝は生きているから終わっていないと力強く表明し、その強さに泣き笑いを見せます。
page.35
ストリートライブ本番。
千代は校舎の窓から朝のことを見ていました。
朝は自分の歌で、自分のした小さなことで世界を変えられると思っていて、一生懸命に歌います。
その姿にオーディエンスは拍手を送ります。
千代もまた素っ気なく一言だけ言い残すと、クールにその場を去るのでした。
これは朝が高校二年の初夏のことでした。
感想
朝の悩みは若くて、でも素敵なものだと終始穏やかな気持ちで読んでいました。
綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、僕はしたいと思ったことはするべき派です。
もちろん失敗したら責任をとるのは自分です。
それでもしたいと思える、もしくは失敗した後のことなんて考えもつかない。
それくらい夢中になれるものを見つけることが出来れば、人生はきっと幸福なものになるだろうと思っています。
朝にとって歌がそれにあたるかは分かりませんが、今回のエピソードで好きなことを好きなようにしてほしいということに自信が持てたはずです。
十年後を匂わせる描写があるので、朝のこの歌が十年後、誰かに影響を及ぼしているのかな?なんて想像が膨らみます。
朝以外の人が比較的安定していたことから、彼女の成長をじっくり楽しむことが出来ました。
おわりに
なりたい自分に向かって歩き出した朝。
次はどんな成長を見えてくれるのか楽しみです。
ただそろそろもう一波乱きそうな予感もします。
次の話はこちら。