
※電子書籍化について、他の記事で村上春樹さん、東野圭吾さん、有川浩さん、湊かなえさんにも言及していますが、タイトルと内容の順番が違うだけで、内容はほぼ同じです。
検索で記事を探す方のためにタイトルを変えているだけなので、ご了承ください。
最近、特定の作者の電子書籍を求めて当ブログを訪れてくださる方をちょこちょこお見掛けします。
そこで調べてみると、宮部みゆきさんも電子書籍化を認めていないことが分かりました。
この記事では、その理由について解説していきたいと思います。
そもそも誰に決定権があるのか
本題に入る前に、一体誰に電子書籍化を決める権限があるのか。
これは基本的にその本を書いた作家自身だといわれています。
なので、宮部みゆきの作品の電子書籍化を許可しない=宮部みゆき自身の意思だと思って構わないと思います。
宮部みゆきが電子書籍化を許可しない理由
肝心の本題ですが、その理由が明記されているものを見つけられませんでした。
しかし、以下の記事から宮部さんのスタンスが見えてきました。
https://www.zenshoren.or.jp/kyoiku/bunka/100830-10/100830.html
決して電子書籍を否定しているわけではなく、紙の本とうまく住み分けることを願っているのが分かります。
しかし、紙の本を愛し、出版文化を守りたいという思いも強いことがよく分かり、自身の作品を電子書籍化しないのはそういった点が理由になっているのかもしれません。
電子書籍化を認めていない作家
宮部さんは電子書籍化を許可していませんが、他にも許可していない人がいます。
ここでは、以下の記事を参考にさせていただきました。
村上春樹
今や日本を代表する大物作家である村上春樹さんです。
しかし、それはあくまで『かつて』の話で、20105年頃から旧作が電子書籍化されています。
試しにKindleストアを見たところ、2018年の文庫も電子書籍化されていたので、電子書籍派の方には朗報ですね。
ネットで調べても現在の意向は分かりませんでしたが、この様子から察するに、今は電子書籍化に対して寛容になったのだと思います。
有川浩
それから『図書館戦争』などで大人気の有川浩さんも、電子書籍化を一部許可していない作家です。
しかしあくまで『一部』であり、許可していないのは確認できた限りではAmazon が運営する『Kindle』だけでした。
大手電子書籍サービスである『ebookjapan』や『BookLive!』、『楽天kobo』などでは販売していることが確認できています。
その理由は探しても見つかりませんでしたが、有川さんの書籍に関する考え方からその理由を推測することができそうです。
有川さんは以前、一冊の本を出版するためにかかる費用や本を買う意義などを解説されていて、読者が業界を買い支える意味を伝えていました。
その点、Kindleではセールと称して値下げした電子書籍を販売することが多々あり、読者としては嬉しい限りです。
しかし、紙の本を電子書籍化するにあたって別途費用がかかりますので、製本しないから安く販売できるわけではありません。
そうした観点からすると、正規の価格で販売する電子書籍サービスのみ許可し、その例外がKindleだったのかもしれません。
あくまで僕の憶測なので、参考程度に考えていただけると幸いです。
東野圭吾
今や日本を代表する大物作家である東野圭吾さんです。
東野さんの作品は一切電子書籍化されていませんでしたが、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛を受け、2020.4.24より7作品が電子書籍として発売することが決まりました。
東野圭吾さんの小説が電子書籍に 「容疑者Xの献身」、「白夜行」など7作品
では、なぜそれまで認めていなかったのか。
明確な理由は分かりませんでしたが、以下の記事が東野さんの意向を一番的確に表現していると感じました。
理由とは違いますが、電子書籍黎明期に『自炊』と呼ばれる紙の本を自分で電子書籍化することが流行し、自炊代行業者が出現しました。
その時、東野さん含めた作家・漫画家七名が自炊代行業者を集団提訴し、勝訴しています。
こういったことからも、東野さんの出版物に対するスタンスが見てとれます。
読者からすれば、電子書籍という選択肢が増えれば良いことだらけですが、作家や出版業界にいる人たちからしたらそうはいきません。
製本や流通に関わる人にとっては文字通り死活問題です。
また、電子書籍になったからといって、必ずしも安価になるわけではありません。
プロモーション活動は変わらず必要ですし、電子書籍に置き換える作業も必要です。
これを各電子書籍ストアに合わせ、さらにiPhoneやAndroidといった各端末にも合わせていかないといけないので、紙の本よりも費用がかさむ可能性だってあります。
しかし、ユーザーからすれば、紙がない分安くなるはずと思うわけで、紙の本よりも値段を高く設定するわけにもいかないので、仮に費用がかさんだとしても最低限同じ価格で対応しないといけません。
そういった観点からも、東野さんは紙の本を買い、出版業界を買い支える読者を一番に考えたいのかもしれません。
湊かなえ
代表作『告白』などイヤミスの女王として知名度の高い湊かなえさんも、電子書籍に消極的です。
完全に禁止しているわけではありませんが、僕が調べた限りでは『望郷』、『白ゆき姫殺人事件』、それから他の方との合作本一冊しか電子書籍は見当たりませんでした。
湊さんの電子書籍化第一号は2013年の『白ゆき姫殺人事件』で、それ以降もほとんど増えていないということは、何かしらの理由で電子書籍化を許可していないのかもしれません。
最後に
電子書籍が普及し、読者はより一層手軽に本を読むことができるようになりました。
しかし一方で、果たして作家や出版に関わる人の利益は守られているのでしょうか。
そのことを考えると、電子書籍化に反対する作家の気持ちもよく理解できます。
僕個人的な意見としては、読者はそこまで深く考えず、好きな作家の本をとにかく買って読む。
これだけでいいのではないでしょうか。
読者が買い支えることでその作家のみならず、未来の作家を育成することにもなります。
僕もお金の許す限り、中古品にはなるべく手を出さず、新しい本を買ってわずかですが出版業界の未来を支えたいと思います。
もちろん、電子書籍も利用していますので、今以上に作品が増えるのは大歓迎です。