『祝祭と予感』あらすじとネタバレ感想!『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品!
また彼らに、会える。
Amazon内容紹介より
待望の『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編小説集!
【内容】
大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。 入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。全6編。
『蜜蜂と遠雷』の彼らにまた会えるということで、迷わず購入しました。
前作の持つ圧倒的な音楽の力を思い出しただけでなく、愛すべき登場人物たちの本編になかった裏話も見ることができて大満足です。
個人的には奏の短編が一番好きで、後半は鳥肌が立ちっぱなしでした。
この記事では、そんな本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
祝祭と掃苔(そうたい)
タイトルにある掃苔ですが、お墓の苔を綺麗に取り去ることを意味し、転じて墓参りを意味します。
作中では、栄伝亜夜が口にしています。
芳ヶ江国際ピアノコンクール終了後の話。
雑司ヶ谷の霊園に眠る恩師・綿貫先生のお墓参りに訪れた亜夜とマサル。
風間塵もそれについてきていました。
コンクールの入賞者には特典としてコンサートツアーがあり、三人はこれからパリに向かう予定です。
強行スケジュールの合間をぬって親睦を深める三人ですが、塵は不意に空を見上げます。
その時、師匠のホフマンの声が聞こえた気がしたのでした。
獅子と芍薬
タイトルについて。
獅子はナサニエル・シルヴァーバーグの髪型からとられ、芍薬は嵯峨三枝子が着ている着物に描かれた花のことを指しています。
日本では美しい女性を表現するのに『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』というたとえがあり、三枝子はあえてその柄の着物を作中でチョイスしています。
二人の出会いはお互いに十七、八歳の頃のコンクール。
その時の結果は優勝に値する一位はおらず、ナサニエルも三枝子も二位でした。
二人は互いに悔しさをぶつけ、周囲を気にせず涙を流します。
二人はどちらも、一位になれたら弟子にしてもらうとホフマンに約束していましたが、そのチャンスを逃してしまったのです。
出会いこそ最悪でしたが、別のコンクールでナサニエルは三枝子の演奏を耳にし、その素晴らしさに心打たれます。
そしてその後のパーティで、ナサニエルは三枝子の音楽の世界で生きていく覚悟を知り、ここから二人の関係が始まります。
それから結婚、離婚を繰り返し、三十年後、再び顔を合わせます。
二人はこれまでのブランクを忘れ、話し込むのでした。
袈裟と鞦韆(ぶらんこ)
作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった物語。
菱沼がかつて作曲の指導をした学生の中で、小山内健次は特別でした。
実家は岩手でホップ農家をやっていて、頭の中でイメージした音を楽譜に落とし込めないことを悩んでいました、
菱沼はそれを根気よく教え続け、健二は卒業後、実家にの手伝いをしながら曲作りを続けます。
健二は結婚をし、子どもを作っても曲作りを続け、ある賞を受賞して業界内で有名になります。
しかし、新曲の依頼に追いつくことができず、信用を失ってしまいます。
それでも曲を作り続け、菱沼とは年賀状のやりとりをしていました。
ところがある日、健二はくも膜下出血で亡くなってしまいます。
菱沼は急いで岩手に向かい、親族に挨拶をして健二の手掛けたホップ畑を見せてもらいます。
そして、健二が遺した曲を託されます。
その後、菱沼のもとに芳ヶ江国際コンクールの課題曲の委嘱の電話があり、菱沼の頭に『春と修羅』というタイトルが浮かびます。
これは健二がかつて菱沼に話してくれた宮沢賢治の詩のタイトルで、健二はこの詩を楽譜のようなだとかつて話していました。
菱沼は健二の見てきた風景(ホップ畑)を見たことで曲のイメージを膨らまし、この曲を二人のケンジに捧げるのでした。
竪琴と葦笛(あしぶえ)
マサルとナサニエルの出会い、そしてマサルがナサニエルの弟子になるまでの話。
中学生だったマサルはオーディションに参加し、そこで審査員だったナサニエルと出会います。
マサルはこの後、ミハルコフスキーの指導を受けるようになりますが、どこか違和感がありました。
一方、ナサニエルはマサルの本質を見抜き、ジャズ・クラブに連れて行きます。
そこでマサルの知らない音楽を聞かせ、ピアノ以外の楽器もやってみるよう勧めます。
マサルはその道を歩き始めますが、気に食わないミハルコフスキーは猛反対。
この時点でナサニエルの弟子になりたいと思っていますが、このままではミハルコフスキーと穏便に師弟関係を解消することはできず、後の音楽生活に影響を及ぼしかねません。
そこでマサルは有名コンクールの前日、ナサニエルに嘘をついてニューヨーク観光に付き合ってもらい、わざと風邪を引くよう無茶をします。
その結果、風邪を引いてコンクールには参加できず、ミハルコフスキーからは見放され、思惑通りにナサニエルの弟子になることができたのでした。
そして、マサルはナサニエルのアドバイスでトロンボーンを続け、今度は出演者としてあのジャズ・クラブにナサニエルと向かうのでした。
鈴蘭と階段
奏は約一年半前にヴィオラに転向しましたが、いまだに伴侶ともいえるヴィオラを決めかねていました。
料理と音楽は似ていると考える奏はある日、様々なキムチ、出汁を用意してチゲ鍋を食べ比べると同時に、三つのヴィオラから自分に合うものを決めようとしました。
迷った末、一つのヴィオラに決めようとしたその時、亜夜から電話がかかってきます。
亜夜は塵と共にパリにいて、二人はとあるヴィオラ奏者の家で奏のヴィオラを見つけたのだといいます。
奏は電話越しにその音色を聴き、戦慄、恐怖、絶望を感じます。
しかし、それは彼女の求めていたヴィオラでした。
感じた恐怖はここで覚悟を決めなければいけない武者震いのようなもので、奏はそのヴィオラを譲ってもらいます。
今はまだ弾きこなせないけれど、その先に広がる世界に思いをはせ、小さくガッツポーズを決めるのでした。
伝説と予感
ホフマンと塵の出会いの話。
ホフマンが友人の家に泊っていると、誰かがピアノを弾く音が聞こえます。
それは調律されていないピアノで、音を鳴らすことすら困難なはず。
そして聴こえてきたのはホフマンが昨夜弾いた曲で、伴奏者は彼の演奏を聴いてそれを再現していることになります。
ホフマンが慌てて見に行くと、そこには小さな男の子がいました。
そう、風間塵です。
ホフマンは不思議な高揚感を覚え、自己紹介をして塵と握手を交わすのでした。
おわりに
本書の出版が決まってから嬉しいと思う反面、人気が出たから出版したのだろうと変に勘ぐってしまう自分がいました。
蛇足にならなければいいなと、後ろ向きな気持ちで読み始めましたが、読んでほんの数ページでそんなことはただの杞憂であることが分かりました。
『蜜蜂と遠雷』に登場した彼らは本書でも生き生きと音楽、そして人生を楽しんでいて、そこには恩田さんの深い愛情を感じることが出来ました。
そして、例え前作が売れなかったとしても、恩田さんなら嬉しそうに本書を書いたのではないかと勝手に思っています。
本書の音楽の力に触れて、また前作の圧倒的な音楽の世界が見たくなりました。
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