徹底ネタバレ解説!『Steins;Gate3 境界面上のシュタインズゲート:Rebirth』あらすじから結末まで!
「誰よりも大切な女性のことを、忘れたりはしない」まゆりの命を救うため、岡部はタイムリープを繰り返す。そして、紅莉栖かまゆりか、助けられるのは一人だという事実に辿り着く。究極の選択に苦しむ岡部に、紅莉栖は彼がとるべき行動を伝える。極限状態の中、気持ちを確かめ合う二人。秋葉原での別れのあと、彼女がとった行動は―。追加シーンと台詞で明かされる、助手・紅莉栖のすべて!大ヒットアニメノベライズ第3弾。
「BOOK」データベースより
ノヴェライズ第三弾で、本編最終巻となる本書。
前の話はこちら。
タイトルは本書だけ『Reverse』ではなく『Rebirth』となっています。
『Steins;Gate』という作品を見事に補完し、その面白さを何倍にも引き上げてくれます。
章タイトルに『形而上のネクローシス』がありますが、こちらは長いためか前巻の第6幕と本書の第7幕にまたがっています。
誤字ではありませんので、ご安心ください。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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第7幕 形而上のネクローシス:Rebirth
未来の世界
前巻の最後で、鈴羽が二〇三六年からきたタイムトラベラーであり、ジョン・タイターでああることが判明しました。
彼女はSERNに支配された世界でレジスタンスとして戦っていて、父親の作ったタイムマシンに乗ってこの時代に来たのでした。
未来を変えるために。
鈴羽が@ちゃんねるに書き込んだことのほとんどが本当のことでした。
SERNはタイムマシンの開発に成功し、時間という四つ目の次元に干渉できる唯一の存在となり、世界の秩序を塗り替えたのでした。
そして鈴羽の世界では、紅莉栖はSERNのタイムマシン開発に最も貢献し、『タイムマシンの母』として崇められていました。
鈴羽が紅莉栖を敵対視していたのは、こういった背景があったからであり、この時代の紅莉栖に思い当たる節がないのも当然です。
さらに岡部はレジスタンスとして活動し、二〇三六年では二人ともすでに死亡していました。
過去に行く目的
説明を終えると、鈴羽は過去に、一九七五年に行くといいます。
SERNがタイムマシン開発に成功したのは電話レンジが完成したこと、そして世界中からタイムマシンに関する情報を集める通信傍受システムに岡部が最初に送ったDメールが引っかかったことが関係していました。
そして、SERNのデータベースに残るそのDメールさえ消せば未来は変わり、そのためにはIBN5100が必要です。
紅莉栖は知りませんでしたが、他の世界線では様々な理由でIBN5100が失われていたのです。
一方、橋田はIBN5100なしでもLHCの遠隔操作や『ゼリーマンズレポート』の閲覧は達成していました。
鈴羽が一九七五年に向かう理由、それは失われたIBN5100を手に入れ、岡部たちに渡すことでした。
本来であれば一九七五年に直行するはずでしたが、父親がいる二〇一〇年に立ち寄ったのだといいます。
鈴羽は決意を固め、過去に向かおうとしますが、ここでトラブルが発生します。
なんと、タイムマシンが壊れていたのです。
修理
ラジ館に墜落した人工衛星と思われていたもの、あれこそが鈴羽の乗ってきたタイムマシンでした。
ところが、タイムマシンは八月九日、鈴羽が父親を捜した日にあった雷雨のせいで、故障していました。
原因は、岡部が彼女を無理やりラボに誘ったからです。
タイムリープマシンで過去に戻ってやり直そうとしますが、最大四十八時間しか遡れないため、雷雨のあった夜まで戻ることはできません。
そして、まゆりが死亡する時間が刻々と迫り、岡部はタイムマシンを修理することを選択します。
岡部は五時間前、そこからさらに四十八時間前に遡り、まだ事情を話していない鈴羽に事情を説明。
橋田にも説明し、二日でタイムマシンを直すようお願いします。
一方、事情を知らないまゆりは、鈴羽の父親捜しを手伝います。
手がかりは、父親のコードネームがバレル・タイターであること、そして形見のピンバッジだけでした。
そして結局、父親は見つかりませんでしたが、秋葉原にある露天商に鈴羽の持つピンバッジとよく似たものを作ってほしいと依頼してきた人物がいたことが判明します。
そこで岡部は再びタイムリープし、依頼主が橋田であることを突き止めます。
橋田は、過去に飛んで知り合いもおらず、一人になってほしい鈴羽のために、ラボでの繋がりを覚えていてもらおうと思い、依頼したのでした。
鈴羽の父親
なんとかタイムマシンの修理が間に合い、旅立つ時が迫ります。
そんな時、まゆりは鈴羽の父親の正体に気が付きます。
鈴羽の父親、それは橋田のことでした。
コードネームのバレル・タイターについて、樽は英語でバレルで、樽→ダル、と橋田の愛称になります。
そして、タイムマシンを作ることができ、岡部のリーディングシュタイナーのことを知っている人物。
これだけの条件が揃うのは橋田しかいません。
さらに最大の証拠はタイムマシンの名前で、『FG204』のFG=フューチャーガジェット、つまり未来ガジェット研究所を意味し、ネーミングセンスも橋田そのものです。
ようやく父親が見つかり、鈴羽は少しの間だけ親子の時間を過ごし、希望を胸に過去に飛びます。
これで、未来が変わるはずでした。
失敗
鈴羽が過去に旅立ってから一時間が経過しますが、岡部のリーディングシュタイナーが発動せず、不審に思います。
世界線が移動したのであれば、鈴羽が過去に向かった時点で発動するはずなのに。
そして、ダイバージェンスメーターの値も変わっていません。
IBN5100が手元にきてから変わるのかとその時を待っていると、ラボにブラウン管工房の店長が現れ、岡部に一通の手紙を渡します。
差出人は橋田鈴。鈴羽のことです。
鈴は店長が世話になった人物だといい、今日、岡部にこの手紙を渡すよう託していたのでした。
彼女は、十年前にすでに亡くなっていました。
鈴羽の身に何が起こったのか分からず、まずは手紙を読みます。
そこに書かれていたのは、鈴羽の慟哭でした。
彼女は、任務に失敗しました。
タイムトラベルがうまくいかず、記憶喪失になってしまい、記憶を取り戻したのはこの手紙を書いた一年前のことでした。
当然、IBN5100は手に入れることができませんでした。
彼女はもし時間を戻せるのなら、雷雨のあったあの日、自分を引き留めないでほしいと虚しい願いを綴り、こんな人生は無意味だったと断じます。
鈴羽の死因は首吊り自殺でした。
打ち消す
今回の失敗は、岡部が鈴羽にDメールを送り、引き留めたことが原因です。
ならば、そのDメールを打ち消す内容のDメールを送れば、彼女は無事に一九七五年に旅立つことができます。
そうすることで雷雨以降のこと、例えば親子の対面など、鈴羽に関する記憶は消えます。
とても悲しいことですが、このままではまゆりが死んでしまう未来を変えることはできません。
岡部はDメールを送り、世界線の移動を感じます。
店長に鈴について聞くと、彼女はすでに亡くなっていましたが、自殺ではありません。
鈴は岡部たちが通う東京電機大学の工学部の教授を務め、橋田ゼミでタイムマシンについて研究していました。
そしてラボの入っている建物も元々は鈴が所有していたものです。
消えてしまった記憶はあるけれど、こうして鈴の思いはしっかりと岡部たちに受け継がれていました。
ダイバージェンスメーターの値も、少しだけβ世界線に近づきました。
その結果、まゆりの死はこれまでよりも一日遅れるのでした。
残りのDメール
岡部は再び過去に戻り、途方に暮れていましたが、ここでも紅莉栖が助けてくれます。
必要なのはIBN5100ですが、鈴羽が過去に旅立っても柳林神社には奉納されていませんでした。
やはり他のDメールも打ち消して元の世界線に戻るしかありません。
取り消すDメールは、あと萌郁、るか、フェイリスが送ったもので、紅莉栖は送ったのと逆の順番で打ち消すよう指示するのでした。
第8幕 因果律のメルト:Rebirth
中止
ようやく岡部の話が終わり、この小説の視点・紅莉栖の時間軸に戻ってきます。
岡部はDメールを打ち消し、柳林神社にIBN5100が奉納され、紅莉栖と一緒にラボに運んだこの世界線にたどり着いたのでした。
IBN5100は鈴羽が死ぬ間際、知人だったフェイリスの父親に託し、彼が柳林神社に奉納したものでした。
あとは、SERNに感づかれるきっかけとなった最初のDメールをデータベースから消すだけです。
岡部は紅莉栖、橋田にそのことを伝え、作業にとりかかります。
ところが、紅莉栖が最初のDメールの内容に触れた途端、岡部はあることに気が付いてしまいます。
そして、理由も話さずに一方的に実験の中止を宣言するのでした。
苦渋の選択
翌日、紅莉栖はラボの屋上で岡部に中止にした理由を問います。
しばらくの押し問答の末、岡部はβ世界線からα世界線に移動するきっかけとなった最初のDメールについて話します。
そのDメールを消せば、β世界線に戻ることになります。
つまり、今度はまゆりではなく、紅莉栖の死が待っているのです。
その時、岡部のもとにまゆりから電話が入ります。
まゆりは岡部の様子がおかしいことに気が付いていて、紅莉栖は彼女を優先するよう伝え、自分からその場を離れます。
彼女は消えることについて考えながら、気が付けばラジ館の前にいて、またしても白昼夢を見ます。
それはβ世界線で岡部が目撃した、紅莉栖の死ぬ瞬間の光景でした。
紅莉栖はその時の痛みを感じ、死ぬことへの恐怖を覚えます。
そこにまゆりが現れ、様子がおかしい紅莉栖を心配し、フェイリスの働くメイド喫茶に案内するのでした。
過去
初対面の紅莉栖とフェイリスを残して、まゆりはいなくなってしまう。
紅莉栖もそんな気分じゃないと帰ろうとしますが、ここでフェイリスが紅莉栖の父親・中鉢のことを知っていること、もっといえば二人の父親は親友だったことを明かします。
紅莉栖が詳しい話を求めると、フェイリスは自宅に案内してくれます。
フェイリスが見せてくれたのはカセットテープで、再生するとそこには若き日の中鉢とフェイリスの父親、そして橋田鈴の声が録音されていました。
喫茶店での会話で、二人は鈴のゼミの教え子でした。
三人はタイムマシンの研究を行っていましたが成果は芳しくなく、フェイリスの父親も資金援助を止めざるをえない状況でした。
ここで、鈴が少しでも早く未来にIBN5100を渡すためにタイムマシンを研究していること、この頃の中鉢は紅莉栖のことを心から愛している様子がうかがえます。
テープが終わり、紅莉栖は話をぼかしながら、中鉢にひどい言葉をぶつけられたことをフェイリスに伝えます。
するとフェイリスは、今すぐ電話をして思いを伝えるよういいます。
紅莉栖は勇気を出して電話をしますが、またしても思いを告げられず、父親の自分への憎しみを再確認しただけでした。
それでも諦めたら後悔するとフェイリスは食い下がります。
しかし、紅莉栖はもう二度と会うことはないとフェイリスの家を後にするのでした。
あがき
自分が消えるまで残された時間が少なくなる中、紅莉栖は最後の実証実験を行おうとラジ館に向かいます。
屋上に行くと、岡部が寝転がっていました。
紅莉栖は一人になりたいからどけと伝えようしますが、突然雨が降ってきて、二人して建物の中に避難します。
よく見ると岡部の白衣は破けていて、紅莉栖は持っていたソーイングセットで縫ってあげます。
岡部は思い当たる場所をあたり、ずっと紅莉栖のことを探していたのでした。
紅莉栖は岡部の優しさに触れ、自分が死ぬ時のことをぼんやりと記憶していることを打ち明けます。
それでも、岡部にとってまゆりがどれだけ大切な存在であることを理解しているからこそ、彼に協力することを決意します。
しかし、岡部は二人を救う方法があるはずだと諦められず、その場から走り去ります。
紅莉栖には彼の行き先が分かっていて、ラボに向かいます。
誰よりも大切な女性
ラボに着くと、岡部はタイムリープマシンを起動させようとしていました。
しかし、逃げても苦しくなるだけだと紅莉栖が止めます。
岡部は何度もまゆりの死を見てきたため心が麻痺していましたが、いつ心が壊れてしまっても不思議ではありません。
まゆりを助けることはここまでの岡部や紅莉栖の目標であり、最初の世界戦に戻るだけです。
そう紅莉栖はいい、岡部はそんな彼女を抱きしめます。
それだけでこれまでの苦しみから解放され、紅莉栖は幸せに包まれます。
岡部は助けられないことを謝りますが、紅莉栖はもう悲しみに打ちひしがれているわけではありません。
例えβ世界線で紅莉栖が死んだとしても、別の世界線では生きているかもしれない。
たった一人だけでも、岡部が忘れなければ、自分はそこにいるから、と。
ここまで言われ、岡部も覚悟を決めます。
誰よりも大切な女性(ひと)のことは絶対に忘れない、お前のことが好きだと告白し、これには紅莉栖も驚きます。
それに対する返事を聞かれ、言葉にできなかった紅莉栖は岡部に目をつぶらせ、キスをします。
紅莉栖として精一杯の勇気を見せたつもりでしたが、岡部はこれでは印象が弱いと何度もキスを繰り返します。
紅莉栖は幸せな時があっという間に過ぎるのを感じ、相対性理論とはとてもロマンチックで、とても切ないものであることに気が付くのでした。
真実と告白
翌日、岡部の目の前で消えることを良しとせず、紅莉栖はアメリカに帰ることを決めます。
紅莉栖はこのままでは岡部を思い切らせることはできないと思い、岡部がよそ見をしている隙に姿を消します。
しかし、電車に乗ってすぐに戻ってきてしまい、別れて五時間が経った今も秋葉原駅にいました。
岡部の目の前にいなければどこでもいいと思い直しますが、紅莉栖の前にフェイリスが現れます。
彼女はいつもと違う口調で本名である秋葉留未穂を名乗り、紅莉栖のことを探していました。
留未穂は返すといって、小箱を紅莉栖に渡します。中に入っていたのは、本来であれば紅莉栖の十一歳の誕生日に中鉢から渡されるはずだったフォークでした。
中鉢はあの日、思ってもいない言葉で紅莉栖を傷つけなければ、このフォークを渡すはずだったのです。
それでも紅莉栖は信じられず、これ以上の干渉を拒みますが、留未穂は引きません。
実は、留未穂は十年前に飛行機事故で父親を亡くし、最後の言葉は『パパなんか、死んじゃえばいいんだ』であり、それをずっと後悔していました。
だから、紅莉栖には同じ気持ちを味わってほしくなかったのです。
そして、留未穂は前に紅莉栖に聞かせたカセットテープにはB面にも録音されていたといい、それを聞かせてくれます。
そこには紅莉栖にひどい言葉を言ってしまった後の中鉢の声が録音されていて、彼はひどい言葉を言ってしまったことを後悔し、タイムマシンを完成させたらその時に戻り、紅莉栖を傷つけるなと過去の自分に言ってやるつもりでした。
そう、紅莉栖は拒絶などされていなかったのです。
紅莉栖は覚悟を決めます。
まだ伝えていない気持ちがあると留未穂に告げ、岡部の元に向かって走り出します。
岡部のことが大好きだ、愛している。
もう、迷いはありません。
息を切らしながらラボに着くと、岡部だけでなく、橋田とまゆりもいました。
それでも構いません。
紅莉栖は気持ちを伝えようとしますが、その瞬間、視界にノイズがかかります。
気持ちは言葉になりませんが、紅莉栖は口の形だけで『大好き』と伝えます。
いつもじゃなくてもいい。百回に一回でもいい。
自分のことを思い出してほしい。
一%の壁の向こうに、自分は必ずいるから。
第9幕 循環輪廻のカーラチャクラ:Rebirth
臨死体験
さっきまでラボにいたはずの紅莉栖でしたが、気が付くと床も壁も天井も真っ白な見知らぬ空間にいました。
臨死体験だろうかと考えていると、背後から声を掛けられ、振り向くともう一人の自分がいました。
もう一人の紅莉栖は、紅莉栖に問いかけます。
あなたは、今どうやって考えているの?
この質問で、紅莉栖は気が付きます。
もし世界線が移動して本当に死んでしまったのなら、臨死体験を発生させる脳があるはずがありません。
だから、まだ死んでいないということになります。
もう一人の紅莉栖はそのことについて説明はせずに、もっと大切なこととしてシュタインズ・ゲートについて知る必要があると告げます。
彼女が指さす方向には空中に無数の歯車が並び、規則的に動いています。
もう一人の紅莉栖は、この歯車一つ一つが世界線で、歯の一つ一つがダイバージェンスの細かい数値だといいます。
そして本当に伝えたいこと、それは紅莉栖がシュタインズ・ゲートを観測しなければならない、ということでした。
シュタインズ・ゲート
シュタインズ・ゲートとは、岡部がβ世界線において名付けたとある世界線のことで、どうやっても観測することはできませんでした。
それは未知の可能性を秘めた世界線であり、何が起こるか分からない世界です。
もう一人の紅莉栖は、解説をします。
紅莉栖の消失後、岡部はβ世界線に移動しますが、そこは紅莉栖の死、そして第三次世界大戦が起きることが確定した世界でした。
原因は、紅莉栖の書いた論文です。
さらに解説は続きます。
ノヴェライズ一巻で、紅莉栖とラジ館で会って懐かしむような表情を見せた岡部がいましたが、それはついさっきまで紅莉栖と一緒にいた岡部のことで、彼はその後でジョン・タイター、β世界線では橋田鈴羽の訪問を受けます。
β世界線において、岡部は世界を救い、紅莉栖を死の運命から救出するために、鈴羽を二〇一〇年に送り出します。
β世界線のタイムマシンは、α世界線のものよりもずっと高性能で、未来にも過去にも行くことができます。
岡部はそのタイムマシンで七月二十八日、紅莉栖がラジ館で死亡する日に戻りますが、結果は失敗でした。
やはり紅莉栖の死は確定したものでした。
しかし、それは正確ではありません。
物事は観測して初めて確定するもので、岡部が目撃したのは誰かに刺されて血の海に横たわった紅莉栖であり、死んだかどうかは確定していません。
また、その後すぐにDメールを送って世界線を移動したため、岡部含めて限られた人間しかそのことを観測していません。
紅莉栖について言えば、彼女は死ぬ前に意識を失ったため、自身の死を観測したわけではありません。
つまり、『血の海に横たわった紅莉栖』という観測された事象さえ変えなければ、そこに至る過程は変えることができます。
非確定事項
しかし問題もあり、それは観測された結果がどこまでのことを指すのか、です。
α世界線において、まゆりの死を回避するために、タイムリープマシン完成の打ち上げなどは打ち消すことができましたが、まゆりの死は回避できませんでした。
つまり、確定事項と非確定事項が存在することになります。
その境目をどうやって見つけるかが問題ですが、それを確かめることこそが紅莉栖の役目でした。
役目というよりも、責任でした。
第三次世界大戦のきっかけ、それは紅莉栖の書いた論文を中鉢が手にしてロシアに亡命したことだからです。
中鉢を乗せた飛行機は、荷物室に火災を起こしながらもロシアに到着し、紅莉栖の論文によって中鉢は世界中から注目されるようになりました。
中鉢は報道陣に対して、これが金属探知機にかかったおかげで論文が焼けずに済んだとして、あるものを見せます。
それは、紅莉栖が論文の入った封筒に一緒にいれたメタルう~ぱでした。
紅莉栖自身も責任について理解したところで、スクリーンに何者かの後ろ姿が映し出されます。
それは、紅莉栖の知る岡部よりもさらに年齢を重ねた岡部でした。
意図的なバタフライ効果
岡部はいいます。
タイムマシンで過去に向かってミッションに失敗したが、それは必要なことだったのだと。
その苦しみがあったからこそ、岡部は紅莉栖を救うための計画を遂行する原動力を得ることができたからです。
そして長年の研究から、二つの条件をクリアすることでα世界線でもβ世界線でもない別の世界線、シュタインズ・ゲートにたどり着くことができることが判明しました。
一つは、紅莉栖の死を回避すること。
もう一つは、何らかの手段で中鉢がロシアに持ち込んだ論文をこの世から葬り去ることです。
しかし、中鉢が論文を持ってロシア行きの飛行機に乗ることは収束事項のため、変えることはできません。
つまり、『変えられない事象』と『変えることのできる事象』を見極め、その積み重ねで大きな変化を起こすことによって、意図的にバタフライ効果を起こすことが今回のミッションです。
厳密にいうと、紅莉栖が見極めたものを情報の形で岡部の脳に送り、それを通じて岡部に第三次世界大戦を防がせるのです。
誓い
紅莉栖はようやく理解します。
彼女はまだ死んでおらず、死ぬ直前になってスクリーンに映る岡部が時間干渉を行い、彼女の脳内に何らかの情報を打ち込んだのです。
そして、そのやりとりから得られるデータを欲しているのです。
紅莉栖がシュタインズ・ゲートを観測すれば、スクリーンに映る岡部がムービーメールという形で岡部に情報を流し、そうすればメールを見た岡部は『変えられない事象』と『変えることのできる事象』を見極めることができます。
誰もやったことのない、できるかも分からないことですが、それでも紅莉栖は挑みます。
無数の事象を動かし、少しずつ解きほぐしていきます。
やがて因果の果てが見え、そこにあったのはメタルう~ぱでした。
これは岡部がガシャポンを回して出てくるものですが、数少ない収束事項の例外であり、メタルう~ぱでなくても良いことが分かりました。
そして、岡部がガシャポンを回した時、最初に出てくるのがメタルう~ぱであることは収束事項です。
つまり、未来の岡部が『七月二十八日の岡部』よりも先に回してガシャポンを回せば、因果の輪を断ち切ることができます。
そうすればあの日、紅莉栖が拾うのはメタルう~ぱではなく普通のう~ぱになり、中鉢の持ち去った論文は金属探知されず、荷物室で起きた謎の出火によって焼失することになります。
紅莉栖は役目を終えると、メタルう~ぱを岡部に渡し、思考にノイズが走ります。
意識がなくなる直前、二人は再会を誓うのでした。
終幕 境界面上のシュタインズ・ゲート:Rebirth
結果として、岡部たちはシュタインズ・ゲートにたどり着くことができました。
場面は、あの七月二十八日から七年が経過し、紅莉栖は元気に暮らしていました。
あの日、岡部は紅莉栖に代わって中鉢にナイフで刺され、紅莉栖は気が動転して意識を失い、気が付くと岡部はいなくなっていました。
その後、紅莉栖は自分のことを助けてくれた男を探し回り、その二か月後に二人は再会します。
二人の誓いが果たされた日でもありました。
その後、岡部は紅莉栖を無理やりラボメンにし、彼女はアメリカと日本での二重生活を余儀なくされます。
そしてその中で、二人はお互いに好きだと告白し、付き合うことになりました。
そんなこんなで七年が経過し、今日は岡部いわく『約束されていた日』でした。
ラボメンのために作ったピンバッジにはラボメンの頭文字が表記されていて、最後のAは阿万音鈴羽を意味します。
今日は、彼女に会いに行く日でした。
正確には橋田鈴羽で、彼女は数日前、橋田と妻の由季の間に生まれたばかりでした。
由季と鈴羽の入院する病院に向かうと、ラボメンが集結していました。
そして、鈴羽を抱っこする由季が現れると、岡部は残った最後のピンバッジを鈴羽に渡します。
この時、紅莉栖はあることを思いつき、あとで岡部に相談しようと決めますが、その前に岡部は彼女の肩に手を置き、分かってるさ、といいます。
これも、シュタインズ・ゲートの選択だよ、と。
おわりに
すでに知っている内容であるはずなのに、見る方向を変えるだけでここまで感動できるとは思いませんでした。
ぜひ、もう一度アニメにも挑戦したいと思います。
きっと、初見とは違う感動が待っているはずです。
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