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よなよな書房
『合理的にあり得ない２ 上水流涼子の究明』あらすじとネタバレ感想！
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天海祐希と松下洸平が出演した連続ドラマ原作のシリーズ第２弾。
Amazon商品ページより
不祥事で弁護士資格を失った上水流涼子は、ＩＱ140でめちゃくちゃアタマのキレる
貴山伸彦をアシスタントにして探偵エージェンシーを運営する。
涼子のモットーは「殺しと傷害以外はどんな依頼も引き受ける」
本日も「あり得ない」依頼が舞い込む。
・物理的にあり得ない 依頼主が中身を教えない不明の積み荷乗せたクルマの捜索を頼まれる。
・倫理的にあり得ない 別れた元夫から息子の親権を取り戻して欲しいという女性だが。
・立場的にあり得ない 情報を融通し合っている所轄の刑事が摂食障害になった女子大学生を助けて欲しいと。
シリーズ第二弾となる本書。
前の話はこちら。
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前作でキャラクターの役割や話の流れがしっかり構築されているので、本書は冒頭から没入して楽しむことができます。
新しい要素を取り入れつつも、メインの二人が無双する。
最後はハッピーエンドになるという確信があるので、単純で痛快な話が好きな人にこれ以上ないほどのエンタメに仕上がっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
物理的にあり得ない
涼子の事務所に古谷信之という依頼人から電話がきます。
手付金だけで百万円で、依頼はある車を探すこと。
国際便で輸送してくる過程で行方不明になり、積み荷は言えない。
古谷の様子から積み荷が怪しいのは一目瞭然です。
貴山が調べていく中で、積み荷に一つの可能性が見えてきます。それは絶滅の危機にある希少動物の密輸でした。
倫理的にあり得ない
今度の依頼人は澤本香奈江という女性で、離婚した夫から息子の直人の親権を奪い返してほしいという依頼でした。
報酬も魅力的で、事務所の家賃を滞納している涼子にとって渡りに船です。
しかし、香奈江の手から彼女やパチスロなど真っ当でない方法で稼いだお金であることは一目瞭然でした。
さらに貴山が調べると、香奈江の言うことと事実が異なる点が多々出てきます。
どうして香奈江は離婚直後ではなく、今になって親権を取り戻そうとするのか。
調べて分かったことは、倫理的には到底考えられないような真実でした。
立場的にあり得ない
涼子は仕事で組むこともある刑事の丹波からお願いをされます。
それは入院中の少女を救ってほしいという、経緯の見えてこない依頼でした。
少女は五十嵐由奈という大学生で、警視長の娘です。
彼女は自殺未遂をしたこともあり、食事もろくにとれないほど衰弱していますが、原因が分かりません。
無償の依頼ですが、人の親として由奈を見捨てておけない丹波に感化され、涼子と貴山は調査をはじめますが、やがて由奈を絶望に引きずり込んだ真実を知ります。
感想
全てが適切
本書は柚月裕子という実力作家が、『○○的にあり得ない』を題材に対して計算し尽くして書いていることやよく分かります。
分かりやすいテーマで、事件も一本道ですが意外性もちゃんとある。
涼子と貴山の持ち味や役割分担も明確で、どのような展開になるのかある程度読めるのに、それでもつい楽しんでしまう。
エンタメ小説として過不足ないくらいに仕上がっていて、一日であっという間に読めてしまいました。
素朴な疑問
これは本書に対する疑問というよりも、柚月さんの作品としてこういった作品が読みたいのだろうか？という疑問が終始頭をよぎっていました。
エンタメ中心の作家さんであれば、こんな疑問はおそらく出てこなかったでしょう。
一方で柚月さんというと、骨太で社会派な作品が多く、読むにはそれなりの体力・精神力をもっていかれますが、そこで得られる感動は計り知れません。
本書はそういった作品とは毛色が全く異なっているので、柚月さんの作品として読むとどうしても疑問が頭を離れません。
面白いけれど、なんだかなぁ。
次巻もおそらく出ると思いますが、読むかどうかはその時に考えたいと思います。
本書自体は間違いなく面白いので、上記疑問のニュアンスにピンとこない人は心配無用なのでご安心ください。
おわりに
数年ぶりに再会しても、涼子も貴山も相変わらず、あるいはパワーアップしていて安心しました。
疲れていて単純になりたい時、本書はかなり適切かもしれません。
柚月さんの実力を改めて感じられる一冊でした。
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