『さかさ星』あらすじとネタバレ感想!圧倒的な質量と密度をほこる巨編ホラー
数百年続く、凄惨なる呪いの戦い――。至高の恐怖と異形の謎に挑め。
戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。死体はいずれも人間離れした凄惨な手口で破壊されており、屋敷には何かの儀式を行ったかのような痕跡が残されていた。福森家と親戚関係の中村亮太は、ある理由から霊能者の賀茂禮子と共に屋敷を訪れ、事件の調査を行うことになる。賀茂によれば、福森家が収集した名宝・名品の数々が実は恐るべき呪物であり、そのいずれか一つが事件を引き起こしたという。賀茂の話を信じきれない亮太だったが、呪物が巻き起こす超常的な事象を目にしたことで危機を感じ始める。さらに一家の生き残りの子供たちにも呪いの魔の手が……。一家を襲った真の呪物は? そして誰が何のために呪物を仕掛けたのか? 数百年続く「呪い」の恐怖を描く特級長編ホラー。
Amazon商品ページより
貴志祐介さんの新たな代表ホラーになり得る本書。
ホラーとミステリが高いレベルで融合し、恐怖に打ち勝つためには登場人物たちと共に謎を解かなければなりません。
この逃げ場を絶たされたヒリヒリした感じは久しぶりで、貴志さんの作品の魅力を改めて教えてもらった気がします。
本書に関する貴志さんへのインタビューはこちら。
【インタビュー】『さかさ星』刊行記念インタビュー 貴志祐介【お化け友の会通信 from 怪と幽】
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、本書のタイトルの意味について。
『さかさ星』は読んで字のごとく、星を逆さまにしたもので、『逆五芒星』を指します。
五芒星自体は世界中で魔術の印として用いられていますが、それを逆さまにすると悪魔の象徴を意味するようになります。
本書の中には様々なモチーフや呪物が登場しますが、その中でもとりわけ重要なものとして登場します。
あらすじ
依頼
中村亮太はホラー系のYoutuberとして活動していますが、目立った成果を出せずにいました。
そんな中、祖母・富士子からこれからのことを記録してほしいと依頼があり、カメラhを手に彼女に同行することになります。
同行者は二人いて、亮太の他に賀茂禮子という霊能者がいました。
目的地は福森家で、外にはマスコミがひしめき合っています。
福森家ではつい最近、とある惨劇があり、世間の注目の的でした。
賀茂禮子はいかにも怪しい風貌ですが、その一方で知らないであろう事柄をずばり言い当てることが度々あり、信用できるのかどうかよく分かりません。
惨劇
歴史ある福森家で、一家の四人が惨殺されるという事件が起きました。
犯人はいまだ分かっておらず、行方が分かっていない亮太の大伯母・八重子の可能性がありますが、一方で死体は人間離れの怪力で破壊されており、真実は見えてきません。
動機すら見えてきませんが、賀茂禮子は福森家にある数々の呪物が引き起こした結果だといいます。
賀茂禮子は福森家に入ると、呪物を一つずつ見て、その来歴や効果について語ります。
呪物の数自体も相当ですが、それらが悪意だけでなく、良い方向に作用することもあることを口にして、呪物自体も反発し合っている可能性があることを指摘。
事件で生き残った子どもが三人いて、彼らの危機が去っていないことから、この呪物たちをどうにかしなければなりません。
亮太は超常的な現象を目の当たりにして次第に賀茂禮子の言うことを信じるようになり、新たな惨劇を生まないためにも奔走するようになります。
疑惑
しかし、事態はさらに複雑になります。
賀茂禮子以外にも霊的な力を持つ人間が登場し、それまでの理屈を覆すようなことを言い出します。
何が嘘で、何が真実なのかもはや分かりません。
亮太たちは翻弄されますが、新たな悲劇は彼らの事情などお構いなしに着々と準備を進めます。
嫌な予感がますます膨れる中、亮太は決断を迫られ、自分にできる精一杯のことをしようと努めます。
感想
異次元の面白さ
僕は貴志さんの作品が大好きなので、絶対の信頼を寄せて本書を読み始めたのですが、その信頼すら超えるほど本書は面白かったです。
作中で起きた惨劇の裏には呪術的な理由があり、どの呪物もその来歴があり、怖い理由が明確にあります。
その数は膨大で、並みの著者であればその描写だけでも一苦労しそうなものです。
ところが、そこは貴志祐介さんです。
圧倒的な情報量を読ませてしまうリーダービリティの高さを見せてくれ、読了まで一度も止まることなく読むことができました。
七〇〇ページ以上のボリュームを二、三日で読めてしまったことがそれを物語っています。
ご都合主義など細かいことを指摘する人がいるかもしれませんが、僕はこの問答無用で作品の世界観に引きずり込んで楽しませてくれるスタイルが本当に好きです。
ただ強いていうのであれば、作品で重要な伏線なのでは、と思ったことがどうやらそうでもなさそうだ、という肩透かし感が何度かありました。
後述する続編で回収される可能性もありますが、その辺りは執筆してからその時の感覚で構築されているのかな?なんて思ったりしました。
怖さの正体
本書に関するインタビューで、貴志さんは人間自体の怖さもオカルトも同じだと語っていて、興味深かったです。
オカルトが怖いの先には人間の強い念があり、そこは切っても切り離せません。
本書中でも恐怖を垂れ流す呪物の裏には、しっかり人間の強い念があり、その描写があるからこそ呪物に対する怖さが倍増します。
僕はホラーを楽しむ上での新たな観点を見つけた気がして、予想外の大きな収穫を得ることができました。
今後の新たなホラー作品を見つける上で、歴史が関係するものも面白そうだ、とワクワクが止まりません。
続編に期待
タイトルからは分かりにくいですが、本書は全二作を予定しています。
本書は連載開始から六年ほど経ってから刊行に至っていますが、続編の構想自体はもうあるとのことで、そこまで待たなくても続きが読めるかもしれません。
本書だけだと、最後まで読んでもスッキリ度が五十パーセント程度で、爽快な読後感とはいえませんでした。
もちろんそれは本書がつまらない、というわけではなく、面白かったからこそ先が気になる、ということです。
もし気になるモヤモヤが嫌という人は、続編が出てから続けて読むのもアリかもしれません。
おわりに
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