『宝石の国 8巻』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!
『宝石の国 8巻』が発売になりました。
表紙はフォスを中心に、ベニトアイト(左上)、ウォーターメロン・サファイア(右上)、ヘミモルファイト(左下)、ネプチュナイト(右下)となっています。さらに折り込まれた部分にはシンシャ、セミもいますので、ぜひ見てみてください。
前回、月人の正体を突き止めるために月に行くことを決意したフォスは、カンゴームの協力を得てやられたふりをし、月にわざと連れていかれますが、月でフォスを待ち受けているものとは一体何なのでしょうか?
早速ネタバレ感想を書いていきたいと思います。
未読の方はご注意ください。
なお、内容をまとめた記事なのでかなり長いです。
考察などを簡単に知りたいという方は、以下の記事をどうぞ。
第五十三話 月世界
金剛先生の部屋。地面には砕けたジェードの指などが散乱しています。
ジェードの右手が欠けるまで叩いて、ようやく目を覚ました先生。
フォスが月人に連れ去られたことを先生に報告するジェードとユークレース。
報告を受けた先生は動揺し、立ち上がる際に地面に亀裂を入れてしまう。
先生の心情を察し悲しい顔をする二人だが、先生はすぐに平静を装い、すまない、とだけ言います。
場面は変わって月。
月に到着するなり、月人たちは束ねていた髪をほどき、はあ! と大きく息をつきます。
一人が今日は大・収・獲~~! と呼びかけると、月で待機していた月人たちが大勢押し寄せます。
なんと、彼らは当たり前のようにしゃべることが出来たのです。
ヒントと言って叫んだ月人が宝石の欠片を投げて渡すと、それがフォスのものだと分かってみんな大喜びします。フォスは月人の中で変種ととらえられていました。
昔、よく採れたアポフィライトと似ているが希少だ、腕は金だが一緒でいいのか? などと話していると、突然月人の一人の首が切り落とされます。
フォスが動けないふりをやめたのです。
動かないと思っていたフォスに驚きを隠せない月人たちですが、フォスは当たり前のように喋る月人たちに怒りを感じ、次々に月人たちを霧散させていきます。
月には月人の住処と思われる無機質な建物があり、フォスはそこから出ようとします。
入口にいる男性と思われる月人はフォスに気が付きますが、ようこそ、と歓迎すると同時に胴体を切られてしまいます。
外に出ると、地面には大量の灰が敷き詰められていて、驚いて身を固めるフォス。
しかも背後から月世界へ、とさっき切ったはずの月人が元通りの状態で話かけてきます。
隣の女性型の月人が男性型の月人に何か耳打ちすると、男性はようやく自分たちが突然話し出したことにフォスが怒っていることを理解します。
彼いわく、月人はフォスたちがいる星の濃い大気が苦手で、昔の嫌なことを思い出すとのこと。
だから向こうにいる間は出来るだけ息を止めているんだと言う。
フォスは連れ去られた他の宝石たちの行方を聞くが、そこら中にいると男性は答え、好きなだけ持っていって良いと言う。
フォスは言っていることを飲み込めずにいると、男性はアンタークチサイトの贋物と呼ぶものを手に乗せる。採取時の形状を忠実に再現し、成分を似せた合成品で、ここで作っているという。
彼はそれを大きな機械に入れると、宝石は粉々に砕かれ、粉末となって出てきた。
この機械は四層で粗いが、本来は十層でもっと滑らかな粉末にしていると言い添えた上で、その粉末を地面に落とした。
遠くでは、粉末の山を巨大なアドミラビリス族と思われるかたつむりが平らに均しています。
つまり、地面の灰はかつての宝石たちそのものであり、男性はそれを好きなだけ持って帰って良いと言っているのです。
愕然とし、膝から崩れ落ちるフォス。
そんなフォスを気にする様子もなく、自分たちに何を訊きたいのか、と男性は問います。
第五十四話 祈りのための機械
フォスは再度男性の月人の胴体を切り落とすが、フォスたちの星よりも再生が早いためあっという間に元通りになり、逆に両腕両足を切り落とされ、倒れたところ、喉元に刃を突き付けられます。
奇抜な体だ。進化に疲れたろう。私たちもだよ。
他の月人たちが男性を王子と呼び、フォスを裁断機にかけていいかと問うが、王子は戻すよう命じ、フォスの体を修復させます。
王子はフォスに観光を提案し、フォスは警戒しながらもそれに応じます。
場面は変わり、都市内部を歩く王子とフォス。
この都市は、月内部からせり上がる特殊な金属と鉱油で作られていて、鉱油は夜に溶け出して朝にまた固まるため、都市の形も変わっていくのだといいます。
合成石などの材料も地下からせり上げってくるが、それはフォスたちの星と月が元々は一つだったためで、星そのものの物質組成が似ていて、だからフォスたち宝石に似た合成石を作れるのだといいます。
フォスは王子という呼び名を名前と勘違いしているが、王子とは彼らの祖、人間の中で社会主任者、もしくは単に目立つ個体をそう呼ぶと訂正し、しかし意味はない。
おまえたちはにんげんに戻りたいと、とフォスが問いかけるが、途中で王と同じサイズくらいのアドミラビリスたちがフォスに集まり、興奮していました。どうやら王の匂いを感じとったようです。
場所を移そうと王子はフォスを連れて別の場所に移動します。
王子が白いスーツに身を包んだ気品漂う男性の姿であること、フォスの衣服があちこち破れ、ドレスのようになっていることから、まるで王子と王女のように見えます。
場所は変わり、レストランのようなところでテーブルに向かい合うように座り、食事をとりながら話の続きをします。
話とは人間についてでした。
人間はかつて存在した生物の一種で、月人や宝石の祖でもあります。
人間は死と呼ばれる活動停止状態を迎えると、肉と骨は星に還り、一方魂は肉体から放出されると、分解されて純粋な魂の元素となり、宇宙のある一点に辿り着く。
そして、そこから別の宇宙へと吸い込まれる。
ここまでは実際に観測することができました。
別の宇宙は安寧の世界で、そこには余計なものを取り除かれた純粋な魂の元素でないと辿り着けないという。
その魂の分解には、質は問わないが別個体の祈りが必要で、祈りを得られず月に座礁して変容していったのが月人。
そして、先生は月人のために作られた機械で、人間が最後に作った祈りのための機械だということが判明します。
元々は最後の人間が寂しくないようにという心情的な意味合いで作られたが、実質は人間の肉体および魂を瞬時に分解してしまう強力な破壊装置でした。
しかし、いつからか壊れてしまい、月人という分解されていない魂があるにもかかわらず仕事をしなくなってしまったため、月人は先生に刺激を与えてどうにか本来の役目を果たさせようと考えていました。
そこで先生が宝石たちを大切にしているのを利用し、先生を刺激するために彼らをさらっていたのです。
先生は自分のことを話せないよう設計されていると王子は擁護した上で、数万に渡ってこの取り組みを続けてきたといいます。
フォスの先生がいなくなれば自分たちを襲わないのかという提案は却下されるが、先生を狂わせる真新しいアイデアはないかと王子は問いかけます。
第五十五話 呪い
遅い時間になったがまだ話し足りないと、今度はバーのような場所に移ります。
まずは先生についての話でした。
金剛とはこの世で最も堅いという意味でつけられ、外装は人口六方晶ダイヤモンドで作られています。
フォスたちの星に機械がないのは、文明を押し進めたくない先生のトラウマによるものと推測されます。また月人たちの技術を持っても、まだ人口六方晶ダイヤモンドの合成は成功していません。
王子は、これまで先生に与えてきた刺激を羅列していきます。
また、時おり完成しない分だけの宝石(1巻の矢じりに使われたヘリオドールなど)を返していたが、それらは全て合成石でした。しかし、壊れた先生には本物との区別はついていないようです。
長期計画としては、宝石たちの破片で輝く月を見せているといいます。
ここで、これまで月人が送り込んできたものについて、フォスが問います。
『シロ』と呼ばれる白い犬は、金剛が可愛がっていたもので、金剛は人間以外に祈ることを許可されなかったためその魂は月に行きつき、月人があの形に再生したものでした。
目玉のついた破片は、これも先生が大切にしていた分子構造パズルゲーム。
博士とは、先生を作った女性で、月人も再生を試みているが、以前姿を見せた形が限界だということです。
これまでの失敗を打ち明け、落ち込む王子。
月人たちは楽しそうに見えて、実は疲れ果てていて、王子は皆を早く自由したいと思っています。
彼らは人間の野生に取りつかれ、それを永遠にも似た時間の中でくり返すことに疲れ果てていました。
魂というだけあって、一番人間らしい感情にも思えます。
夜の底がやってきて、フォスは用意された部屋で眠ることになります。
別れ際、王子は君が我々を救ってくれる、そんな気がするよと言い残しました。
部屋の中で、フォスは想定していた月とは何もかも違うことに同様し、正気になって崩れないようにと考え続けるのでした。
第五十六話 合成真珠
翌日、目が覚めると多くの貝がフォスに群がっていました。
どうやらウェントリコススからもらった殻の匂いを辿ってきたようです。
そこにフォスの倍はありそうな巨大な月人がやってきて、セミと名乗り、フォスのお世話をするそうです。
会議までの間、都市の中を案内してくれるが、セミは頭が悪いのか持っているガイドブックを使っても説明がままならず、代わりに別の月人が説明してくれます。
工場のようなところでは宝石の種類に合った合成機械が並んでいて、特にフォスたちのレプリカを作る時は、最高級品質ものが使われ、最高の職人によって加工されるそうです。
本物と合成品の見分け方はインクルージョンの有無で、合成品にも先生を騙すために偽物のインクルージョンが注入されているが、天然ものとは質が違います。
次に見せられたのは人間合成実験場で、真っ暗な部屋の水槽?の中、白いびらびらしたものが漂っていて、これが人間の素だという。
フォスは気分が悪くなり、休憩しようとセミが移動させます。
フォスが王子の名前をたずねると、セミはエクメア様だとあっさり教えてくれるが、言ってはいけないことでした。
名前のある個体でいることは恥ずかしいとエクメアは考えているが、セミたちはエクメアに無理を言って名前をもらっているので、名前はとても大事なんだと言います。
そこでふと何かを思いつき、エクメアのところへ案内させるフォス。
植物園のような場所で何か作業をしているエクメア。昨日と違ってメガネをかけ、服も非常に簡素です。
特に気分を害していないエクメアに対し、先生がまだ体験していないこととして、自分たちが裏切るのはどうかとフォスは提案します。
他の宝石たちも月に連れてくると言い、エクメアも試す価値はあると一考するが、監視が必要だと言って、突然持っていたキリのような刃物でフォスの左の目玉を取り出し、代わりに合成真珠で出来た目玉をそこにはめ込みます。
この目玉は彼らの技術の結晶で、フォスの動きを把握するためのものだという。
気分が悪くなったフォスは、その場に倒れこみます。
場面は代わり、フォスは月人の用意した服をまとい、サーベルのような持ち手のついた剣を持たされると、星に戻るために普段フォスたちを襲う月人たちの集団に乗りこみます。
第五十七話 岐路
月には四十九日もの間、いたらしい。
フォスはエクメアを信用するには早すぎると警戒しつつも、まずは彼らに協力し、宝石たちにも真実を知ってほしいと考えていました。
しかし、ありのままを話しても頭がおかしくなったと警戒されるだけだから、そこも注意が必要です。
もう一つの目的は、月人の技術をもらい受けることでした。
そうすれば砂になった宝石たちも元通りになり、シンシャから毒を取り除くことだって可能かもしれないと考えています。
地上に降り立つ前、ついてきたセミが大丈夫かと心配するフォスだが、セミは鬼のような面をつけ、とても落ち着いて見えます。
月人の一人が矢を放つと、いつもフォスたちが目にする黒点が空に浮かび上がり、フォスは単独で降りて行きました。
場面は変わり、パトロール中のメロンとヘミモル。
フォスが月人にさらわれてから一度も月人は現れていないようで、緊張するヘミモルとマイペースなメロン。
すると、海に何かが着水するのが見え、同時に黒点も確認。
そこにベニトとネプチーも合流し、落下してきたのがフォスのようだと確認するが、セミ含む月人が降りてきたため、また連れていかれないように急いで助けに向かいます。
それを遮るようにセミが立ちはだかり、新型か?と警戒する四人。
先生を待つようヘミモルは提案するが、フォスらしきものがいよいよ連れていかれそうになったことで焦り、四人で戦いを挑むことに。
しかし、全く歯が立たず、蹴散らされる四人だが、そこにボルツが加勢します。
ボルツを持ってしてもフォスの救出は容易ではなかったが、最後は先生がきてセミたちを一蹴。
フォスの帰還に驚きを隠せない先生だったが、無事を確認するとよかった、と膝をつきます。
第五十八話 希望
家に戻ると、みんなに追及されるが、本当のことをそのまま話すわけにもいかず、忘れたと白を切るフォス。
それでも質問を浴びせるが、最終的には初めて月から戻ってきたフォスを僕たちの希望だと称えました。
しかし、カンゴームはフォスと二人きりになると、本当に覚えていないのか?と再度繰り返し、フォスの嘘を見抜いているようです。
だが、それ以上は言わずに別れるカンゴームに、フォスは心細さをのぞかせます。
そんなフォスの横を先生が通り過ぎます。
慌てて先生を問いただすフォス。
月から戻ってきたフォスに先生は何も聞かず、人間の道具であることを知っていると言っても何の反応もありません。
全く相手にされていないことに愕然とするフォスだが、やってみなければ分からないと次の行動に移ります。
場面は変わって医務室。
ルチルに対し、フォスは月で宝石の合成技術を見たと言うと、ルチルは信じられないという目でフォスを見ます。
インクルージョンのない宝石を見て、パパラチアを思い出したと言うと、ルチルは表情こそ変わらないが、甘い希望を見つけてしまったようでした。
第五十九話 動揺
月なら彼は治療可能ということですか?
案の定、フォスの話に乗っかてしまうルチル。
まだよく分からないと逃げるフォスだが、一人になってもルチルは明らかに戸惑っていました。
これがフォスの考えた手口でした。
フォスはセミが迎えに来る二十七日後までに、全員を月に行きたくなるよう仕向けなければなりません。
翌日、カンゴームが寝ていることを理由に、一人で見回りたいと先生に提案するとあっさり承諾され、泳がされているのではと訝しむ一方で、絶対に崩すと意気込みます。
一人でいると、ダイヤ、メロン、ヘミモル、ベニト、ネプチーが集まってきて、月の話が聞きたいとせがみます。
フォスはどうでもいい嘘を並べて、みんなの興味をあおります。
フォスを探すのに時間がかかったとみんな解散するが、なぜかダイヤだけが残っていました。
ペアであるイエローが今日は休ませてほしいと頼んだため、ダイヤも休みになったようです。
ダイヤはイエローを心配する一方で、フォスがみんなにショックを与えないように忘れたふりをしていると嘘を見抜き、ボルツのいない場所に行きたいの、と言います。
色々試したけれど変われなかった、月に行けば変われるのでは?とダイヤは考えているようです。
何か思い出したら話すとフォス嘘をつくと、ダイヤもそれに納得して去っていきました。
夜、一人でぼーっとするイエロー。
そこにフォスが現れ、イエローはフォスが戻ってこれたなら他のみんなも戻ってこれるのでは?という可能性に囚われ、戦闘に集中できないことを明かします。
彼は会って、月に行かせてしまったルビー、サファイア、グリーンダイヤモンド、ピンクトパーズに謝りたいと言います。
ここで名前だけの登場だった四人の姿を見ることができます。
ダイヤに向けたものと同じようなことを言ってイエローと別れるフォス。
この時点で、ダイヤ、イエロー、ルチルは大丈夫だろうと踏み、アレキ、スフェン、ペリドット、もイエローと同じ理由、つまり連れ去られた昔の相棒のことを引き合いに出せば連れていけると考えます。
またレッドベリルは月の服飾に興味がありそうだし、ベニトも月に興味がありそうだった、とまずまずの進捗状況に喜び、十名、ないし半分は月に連れていきたいと考えます。
そこでふとシンシャのことを思い出しますが、不確定要素を嫌うシンシャを誘うのは最後だと思い直します。
別の日、フォスが帰ってきた時と同じ黒点が西の浜に出現したとヘミモルが報告に来て、フォスは話が違うと焦ります。
第六十話 懐疑
現場にはセミたちがいて、すでにネプチー、ベニト、メロン、二人のアメシストが到着していました。
フォスは真意を確かめようと一人先行しますが、セミの持つ長い棒に捕まってしまいます。
しかし、棒の先端からセミの声がします。心配できちゃいました。
この棒はこちらでは息ができないセミのためにエクメアが作ったその名も『戦いながらお話しできる棒』で、それを通じて作戦が順調なことを確認すると、セミたちはすぐに退散し、フォスは海に落下していきます。
ベニトが駆け寄ると、フォスの白粉が落ちていないことに気が付きます。
樹脂じゃない、月の技術だと言うと、ベニトは興味を持っているようでした。
どうやら普通な自分にとって月人みたいな変なものに憧れ、ペアを組む変人の代名詞のようなネプチーと一緒にいると、時々普通な自分に自信をなくす、とベニトはもらします。
ネプチーには言うなと口止めされますが、これで月に連れていけるとフォスは一人笑います。
場面は変わって、夜、ジェードとユークレースは、アレキだけでなく、スフェン、ペリドット、レッドベリルの様子がおかしいと話し合い、理由はフォスの持ち帰った月の話だと考えていました。
建物を見回ると、フォスが宝石四人に月の話をしていて、遠回しに注意する二人。
二人はその場を去りますが、ユークレースはさらに不安を募らせます。
フォスの話は月のことを良いとも悪いとも言わないため、聞き手の判断に委ねられ、みんな都合の良い月を想像しているようだと。
それは相手を試すような感じで、ラピス・ラズリにそっくりだとユークレースは言います。
ラピスは賢くて優しいが、少し危ういところもあって、自分の好奇心を満たすのを楽しむようなところがあった、と。
フォスはラピスの頭を繋げたのだから、その性質を受け継いでも仕方がないと納得する一方で、フォスの話にはもう一段階意図的なものを感じ、悲しい妄想だと前置きした上で、月から帰ってきたのはフォスではないのでは?と疑っていました。
場面はさっきのフォスたちに戻り、アメシストサーティはフォスの話を聞いていて、エイティはサーティに体を預けて寝ています。
サーティは、常にエイティと一緒にいるため、別々に月に攫われることを恐れていて、安全な方法で離れる練習ができないかと考えていました。
僕が考えよう、とフォスが言うと、ほんと? ありがとう、とサーティは笑います。
うっすらとエイティは目を開けますが、二人の会話は聞こえてないようです。
場面は変わり、フォスは一人で考えています。
ダイヤ、イエロー、ルチル、アレキ、スフェン、ペリドット、レッドベリル、ベニト、アメシストのサーティ・スリー、交渉が足りない部分もあるが、ユークレースに気づかれた以上、彼らをすぐにでも連れていくしかないと決意します。
第六十一話 訣別
最後にシンシャに会いに行き、月でのこと、先生の正体の全てを打ち明けて、一緒に行こうと提案します。
しかし、それじゃ先生が可哀そうだ、とシンシャはフォスを拒絶します。
なおも引き下がるフォスですが、月人にすら好かれるおまえに、独りの気持ちなんてわからないとシンシャは冷たく、月なら毒を抑えられるという提案にもシンシャは俯き、それでも、と行かない意思表示をしました。
説得できないシンシャに焦るフォスですが、時間がないと諦め、連れていく人たちに月が傾き始める頃、虚(こ)の岬に来て、と指示します。
最後に寝ているカンゴームに月に戻ることを告げ、半ば強引に連れていきます。
岬にはカンゴーム、ダイヤ、イエロー、アメシストのサーティ、ベニト、アレキが集まりました。
アレキは月人を見て興奮しないよう、目隠しをしています。
そこにパパラチアの入った木製の棺?を抱えたセミが揃い、行こう、とフォスが促します。
その先には、月人たちが待っていました。
おわりに
これまで明かされてこなかった秘密が次から次へと明かされ、この記事を書いている今でもまだ整理しきれていません。
これからの展開が待ち遠しいと思う一方で、シンシャが惹かれた、無鉄砲だけど誰かのために全力になれたフォスがいなくなってしまったことに悲しくなってしまいました。
このままいくと、次の巻でさらに体が別の鉱石に置き換わりそうで、あまり良いイメージはわきません。
彼らは本当に月に行ってしまうのでしょうか?
残されたみんなは何を思うのでしょうか?
先生に変化は生じるのでしょうか?
まだまだ目が離せない『宝石の国』。
次巻が出ましたらまた記事にしたいと思いますので、乞うご期待を!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。