『皆勤の徒』あらすじとネタバレ感想!誰も追いつけないSFの最高点
百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない―第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。現代SFの到達点にして、世界水準の傑作。
「BOOK」データベースより
Kindleのセールがきっかけとなって購入した本書。
タイトル、表紙の時点で他のSFとは何か違うと思っていましたが、読んでみると、その認識すら甘いことをまざまざと見せつけられました。
理由は後述しますが、良くも悪くも今年一番記憶に残った一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
はじめに
僕は、本書を三分の一程度読んだ段階で、読むことを断念してしまいました。
読解力が足らず、どう足掻いても理解ができなかったからです。
なので、ここで書くあらすじというのは僕の理解ができた範囲のもので、本書を概略を表現するにすら至っていないことをあらかじめお伝えしておきます。
世界観
グョヴレウウンという従業者が主人公で、彼の職場には自立歩行できるレイチョウルイが他にいないのだといいます。
この説明の段階で、本書の世界観が僕らのいる世界とはかけ離れていることが分かります。
高さ百メートルの鉄柱が支える甲板の上に、彼の職場があります。
ここで商品を作っているわけですが、その過程はいくら描写を読んでも理解できないような、常識の範疇の外にあるようなことばかり。
途中に挿絵があるので、それによってビジュアル的な補足がされるのですが、それがあることによって逆に困惑してしまうかもしれない。
そんな混沌とした内容になっています。
短編ごとの繋がり
本書は表題作をはじめとした短編集です。
解説を読んでもらえれば分かりますが、本書は実は短編ごとに繋がりがあって、後半に進むことによって前半の意味や全体の構成が分かるようになっています。
なので詳しい読み方は後述しますが、一ページ目からあえて順番に読まないことによって、少しは読みやすくなるかもしれない可能性を秘めています。
感想
理解どころではない
序章と書かれた1ページ目。
この時点で、まず全く理解できませんでした。
見たこともない単語の群れだけでも手に負えないのに、それが文章になると、どれだけ集中しても頭に1ミリもイメージが湧いてきません。
それでも大体の読書は先を読み進めると何となく調子が掴めてくるのですが、本書はその真逆。
進めば進むほど理解から遠ざかり、数年ぶりに途中で読むのを断念してしまいました。
悔しいというよりも、ホッとしたというのが本当のところです。
あのまま読み続けていたらと思うとゾッとするので、今はこれで良かったのかなと思います。
これが現代SFの到達点かと、畏怖の念すら覚えました。
解説を読むのも手
もし本書を手にして、僕と同じく挫折しそうになっている人がいたとしたら、もし抵抗がなければ先に解説を読むことをオススメします。
そこには大森望さんによる本書の読み方が書かれていて、どうやったら本書の構成が分かるのかというヒントが書かれています。
簡単にいうと、最初から順番に読むと理解が進まないので、順番を変えて読んでみましょうということです。
ちなみに僕はこの解説に従って順番を変え、確かに読みやすさを感じました。
しかし、それでも本書の面白さを見出せなかったため、一度寝かせることにしました。
こればかりは試してみて、合うかどうか判断いただくしかありません。
それでも本書が他にはない圧倒的な存在感を持っていることは疑いようもない事実ですので、いつもよりエネルギーを使って能動的に読書を楽しむのも一興かもしれません。
おわりに
残念ながら今回は僕の完敗でしたが、本書は絶対に面白いはずだから、いつか必ずリベンジしたい。
そう思わせてくれる一冊でした。
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