『悪いものが、来ませんように』あらすじとネタバレ感想!異常な絆で結ばれた二人の女性が引き起こす惨劇とは?
助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!
「BOOK」データベースより
タイトルからして読みたくなる本書。
ホラーともとれるタイトルですが、中身はドロドロのイヤミスです。
しかしそれだけでは終わらず、本書には読者の認識を覆すどんでん返しが仕掛けられていて、イヤミスだと高を括っていた僕は見事にしてやられました。
なに?どういうこと?
終盤、話が飲み込めず何度呟いたか分かりません。
ここまで物語ががらりと変わる仕掛けはなかなかないので、どんでん返し系が好きな人には特にオススメです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
不妊と夫の浮気に悩む紗英
庵原紗英は妹の毬絵の紹介で、彼女と同じ助産院で看護助手として働いていました。
紗英は子どもが欲しいと思いつつも不妊で悩み、月に一度訪れる排卵日を入念に調べては祈るような思いで夫の大志と行為に及んでいました。
ところが、大志は職場の別の女性と浮気をしていることを知ってしまいます。
もちろんショックを受けますが、浮気以上にショックなのが、排卵日に別の女の中に大志の精液が出されているという事実です。
プライベートなことを相談できる友人などほとんどおらず、紗英の心の拠り所となっているのが柏木奈津子でした。
奈津子とはずっと親交があり、奈津子を馬鹿にしたという理由で彼氏と別れるほど彼女に依存していました。
電話をすればいつでも奈津子は受け入れてくれるし、車で迎えに来てくれるし、ご飯だって作ってくれる。
親しいにしてもちょっと異常な関係であることが次第に分かってきます。
母や夫との関係に悩む奈津子
奈津子は日々育児に追われ、自分の言うことに従わないとすぐにヒステリックになる母親や育児に何も協力してくれない夫・貴雄との関係に悩んでいました。
これまで母親の言う通りの人生を歩み、そこに主体性はありませんでした。
人間関係の輪に自分から入っていくことが出来ず、唯一の心の拠り所が紗英でした。
奈津子もまた、紗英に依存しているのです。
事件と周囲の反応
紗英、奈津子それぞれの視点から生活が描かれ、二人の関係性の異常さが分かってくると事件が起きます。
大志が何者かによって殺害されたのです。
紗英、奈津子が関係していることは明らかですが、二人は事件とどのように関わってるのかが本書の焦点になります。
本書では二人の視点の他にもう一つの視点があります。
それは何者かによるインタビューで、その人物は紗英や奈津子の周囲の人間に大志の事件について話を聞くというスタイルで描かれています。
なので時系列が度々入れ替わり、読者は大志が殺害されたことではじめてインタビューの意味に気が付きます。
紗英、奈津子の情緒が不安定なせいで彼女たちの得る情報がいまいち信頼できない中で、どのように事件を解いていくのか。
終盤、事件の真相が描かれるのですが、そこには本書における大きな仕掛けがありました。
感想
ただのイヤミスではない
周囲や社会に馴染めない、適応できない二人の女性が互いに依存する。
自分たちを馬鹿にする相手を見下し、哀れみ、盲目的に相手を信用する。
そんな二人の女性を描いたイヤミスだと早々に断定してしまいましたが、これが大きな間違いでした。
確かに紗英、奈津子ともにやや極端な考えを持っていますが、紗英であれば子どもを望んでも恵まれない切実な女性の思い、奈津子であれば親族の支援が得られない中でも娘のことを思う母親の思いを持っていて、胸に突き刺さるものがありました。
エンタメとして読むにはかなり重たい内容で、気が滅入るから途中で止めたいと思う人がいても不思議ではありません。
しかし、待っていただきたい。
そこを我慢してでも読んで欲しい理由が本書にはあります。
大胆な仕掛け
ただのイヤミスでない最大の理由として、本書には終盤にどんでん返しが待っていることが挙げられます。
感覚で言うと歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだ時の衝撃に似ています。
読者が自然に誤認している事実を正す一言。
それだけで物語は根底から覆され、今まで見えていた景色はもう二度と見れなくなり、代わりに全く違う物語が目の前に現れます。
するとこれまで味わっていた違和感の連続の正体が分かり、全て計算づくだったのだと気づかされます。
この衝撃を生み出せる作品はほとんどないので、思わぬ名作に出会ったとかなり驚かされました。
二度読みで印象が変わる
どんでん返しがあって、そこからも怒涛の展開が続きます。
認識が正しくなったことで物語が結末に向かってスムーズに流れるのかと思いきや、ここにも小さな仕掛けがいくつも仕掛けられています。
世間に認知されている事件の真相。
それは本当に正しいのか?
疑い出すと疑問点がいくつも湧き上がり、やがて世間の知る事件が偽物であることが判明します。
この飽きさせない展開だけでもすごいのに、最後にタイトルの意味がしっかり絡んでくるところに著者の芦沢央さんの並々ならぬこだわりが感じられ、本書の評価がぐんと上がりました。
この点を踏まえてもう一度読むと必ず評価が変わってくると思うので、出来れば時間を空けずにもう一度読むことを強く推奨します。
おわりに
イヤミス系であることは間違いないので、賛否両論があることは仕方ありません。
しかし、否定的な意見だけを聞いて読まないのはもったいない。
それくらい強い衝撃を与えてくれる作品ですので、タイトルでビビッときた人は必ず読んでください。
きっと二度読みしたくなるほど本書に夢中になるはずです。
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