東野圭吾『時生』あらすじとネタバレ感想!時を超えた親子の感動の物語
不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った―。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。
「BOOK」データベースより
東野圭吾さんのSFを下敷きにした感動作品である本書。
息子と二十年以上前に出会ったことがある。
そこから始まる過去の話は信じられないことばかりですが、それが現在に繋がっていることが分かった時、とてつもない感動の波が押し寄せてきます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
秘密
宮本拓実・麗子夫婦の息子・時生(トキオ)はグレゴリウス症候群という遺伝病に苦しみ、高校進学前に入院して以来、寝たきりの状態になってしまいます。
夫婦で覚悟していたとはいえ、時生は本当に生まれてきて幸せだったのかと不安になり、それでも時生の命が終わるその時を待つほかにありませんでした。
いよいよ時生の最後が近づく中、拓実は麗子にこれまで秘密にしてきた昔話を始めます。
拓実は二十年以上前に、時生と出会っていました。
姿を消した恋人
拓実が二十五歳の時、トキオと名乗る青年と花やしきで出会っていました。
トキオは拓実の親戚だといいますが、拓実には心当たりがありません。
当時、拓実は職については合わないとすぐに辞め、いつか一発大きいことをすると大口を叩きますが、実際は恋人の千鶴の脛を齧るだけの小さな人間でした。
トキオはなぜかそんな拓実と行動を共にし、拓実もどこか憎めないトキオに不思議な感情を抱くようになります。
そんなある日、拓実は千鶴から警備員の面接をセッティングしてもらいますが、面接で短気な性格が出てしまい途中退席。
千鶴に嘘の報告をしようと思っていましたが、彼女の家に行くと書き置きがあり、千鶴は姿を消していました。
警察や政界を巻き込んだ大事件
千鶴の行方は知らず、イシハラと名乗る明らかに堅気でない男も千鶴を探していて、彼女が何か厄介ごとに首を突っ込んでいることは明らかでした。
拓実とトキオは千鶴の友人であるタケコなる女性が千鶴の行方を知っているのではと考え、大阪に向かいます。
一方、トキオはその前に名古屋に寄るよう拓実にいいます。
拓実は苗字を宮本といいますが、それは育ての親で、産みの親である東条須美子という女性は名古屋に住んでいました。
しかも現在、ガンを患って生死の境をさまよっていて、拓実に会いたがっています。
拓実はトキオになぜか強く反発することが出来ず東条家を訪れますが、拓実からすれば須美子は自分を捨てた女であり、そう簡単に受けいれられるはずがありません。
拓実のわだかまりが解消しないまま二人は大阪の地に辿り着きますが、千鶴失踪の件も一筋縄ではいかないものでした。
拓実とトキオは彼女の足跡をたどる中で、警察や政界にも及ぶ大きな事件に巻き込まれていきます。
感想
成長の物語
いきなりSF展開から始まりますが、これはそこまで重要ではありません。
本書を端的に表現するならば、親子の感動の物語といえます。
過去の父親と同じ年くらいの息子。
本来交わるはずのない二人が同じ時を生きて、父親の方は息子と認識せずにその青年と交流を深める。
簡単にいってしまえば、そんな物語です。
しかし、簡単に言い表せるほど本書の感動は浅くありません。
はじめ、拓実はどうしようもないほどバカで口だけの男で、トキオ以外であればすぐにでも見放すでしょう。
実際、何度も繰り返される拓実と口だけの態度に僕は腹が立ち、次こそ読むのを止めてしまおうと思いました。
しかし、トキオはいつでもそんな拓実を見捨てず、正しい道標を示してくれました。
トキオがいたからこそ拓実の舐めた態度に耐え、最後まで読み切れたという人も少なくないのではないでしょうか。
そして、本書は終盤から一気に姿を変え、これまでの苛立ちや苦悩が感動に代わる瞬間が訪れます。
この感動は東野さんの作品の中でもかなり上位に入るもので、人は考え方を変えるだけで生まれ変われるのだと知ることが出来ました。
自分ももしかしたら拓実のようになっているのかもしれないと思うと、やり直そうと思える強いメッセージを秘めています。
SFはおまけ
本書にはベースとして、時生の意識だけが二十年以上前に飛び、父である拓実と出会うというSF要素があります。
これはあくまでおまけ程度だと僕は考えていますが、考え出すと楽しくなってくるのも事実です。
時生が迷わず二十年以上前の拓実と出会えたのは現在の拓実の言葉があったからですが、拓実がこの言葉を発したのは過去に時生と出会ったからです。
こうすると、どちらか発端だったのかという問題が発生します。
いわゆる『鶏が先か、卵が先か』というジレンマです。
現在の拓実の言葉が先であると仮定すると、過去に時生と出会っていないことになり、最後に登場する言葉をかける理由がありません。
一方、時生が過去に現れた方を先だと仮定すると、時生は花やしきを探す理由がないため、二人は出会わなかったことになります。
まあ、平行世界を考慮すればこの問題は一応解決するんですけどね。
・過去に時生が飛び、偶然拓実と出会えた世界がある
・この世界の拓実が死ぬ間際の時生に言葉をかける
・時生は別の平行世界に飛ぶ
これを繰り返せば成り立つ話ではあります。
正直、本書を読む上でこの辺りの解釈はあまり重要ではありませんが、納得がいかず気持ち悪いという人はこのように考えるともしかしたらスッキリするかもしれません。
おわりに
拓実とトキオのやり取りがメインではありますが、その中でもしっかり細かい伏線も張られ、意外性もちゃんと取り入れているあたりに東野さんの構成の上手さを感じました。
設定が違和感なく構築されているからこそ、メインである感動の部分を心置きなく楽しめる。
面白さに気が付くまで多少時間がかかりますが、そこを何とか辛抱して読んで欲しいと強く勧めたい名作です。
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